芝生をゴロゴロと転げ回る愛犬たち。幸せそうなのは良いことですが、彼らは一体何が楽しくて草に背中を擦り付けているのでしょうか?
野生の名残〜先祖から受け継がれた本能
野で暮らしていた先祖から受け継がれた本能であるというのが、理由の第一に挙げられるものです。オオカミやコヨーテは、草についた獲物の匂いで自分の香りを隠し、狩猟を成功させようとします。また、仲間にメッセージを伝えるために匂いをつけることもあります。「ねぇ!そこに死んだウサギがいるよ」「昨日、キツネがここを通りがかったみたい」ということを伝えるために、草を転げ回って匂いをつけるのです。
生存のために必要な行動・工夫であり、仲間とのコミュニケーション手段でもあったゴロゴロ行動が、現代ワンコにも受け継がれているというわけです。
現代ワンコが草の上を転げ回る理由
先祖の名残、という理由はなるほど納得です。しかし、現代ワンコはちょっと複雑で、他にも様々な理由からゴロゴロと転がっているようなのです。
・好みの香りである
良い匂いを纏うことが好きな私たちと同じく、犬も好きなニオイをつけたい欲求があります。草や家具、糞便や虫など、大好きなニオイをつけたい纏いたいのです。
・嫌なニオイを取り去りたい
好きなニオイがあれば、嫌いなニオイもある。草の上をゴロゴロするのは、嫌いなニオイを取り除くためかもしれません。草に擦り付けることで、ニオイの上書きをするというわけですね。シャワーの後にローリングを始めた時は、使用しているグルーミング商品(シャンプーやコンディショナーなど)がお気に召さないのかもしれません。
・自分のニオイをつけている
「ここは僕の場所!」「私のお気に入り〜」と主張しようとしているのかもしれません。新しいオモチャや新しいクッションなどに自分の匂いをつけるのと同じで、所有権を主張していることが考えられます。
・身だしなみを整える
私たちが食事の後に歯磨きをしたり、髪の毛についたゴミを取るように、犬も食事の後のお口の周りや、歯の間から、食べ物はゴミ、埃などを取り除くために転げ回ることがあります。あるいは、背中などの手入れができない場所の毛玉や抜け毛を取り除き、綺麗を保とうとしているのかもしれません。芝の上は、犬たちにとっての洗面所というわけですね。
・かゆみや不快感を緩和する
かゆみや不快感、あるいは痛みを緩和するために、草を転げまわり背中を擦り付けているということも十分に考えられます。皮膚アレルギー、炎症や感染症、擦り傷などからの不快感を緩和するため、転げ回っている可能性もあります。気になるほどに頻度が高いとか、長時間擦り付けが止まらない時などには、獣医師の診断を仰ぎましょう。
・強迫性障害による行動
絶え間なく転がり続けて呼び戻しにも反応しない…。この場合は、強迫性障害の兆候が疑われます。最近の生活を思い返し、ストレッサーになるものがなかったかを振り返りましょう。運動や散歩の充実で解決できることは少なくありません。目に余る場合や他にも問題行動が見られる場合は専門家に相談しましょう。早めの対処が早めの解決につながります。
・気持ちがいい。ただそれだけ
ちょっと尖った芝のチクチク感が気持ちいい…。柔らかくて寝心地が良い。マッサージのような快感を得たいなど、ただただ気持ちよさを求めて転げ回っているということも十分に考えられます。嬉しい気持ちをゴロゴロして表現しているのかもしれません。
転げ回る犬は、止めるべきなのか?
犬が転げ回るのは上記のとおり、概ね正常な行動です。ほとんどの場合は犬の気持ちを表したり、欲求を満たすための行動ですから、”禁止令”を出す必要はありません。ちょっと汚れてしまうかもしれませんが、そのくらいはまぁ良しとして暖かく見守ってあげましょう。ただし食事直後の犬や感染症対策をしていない犬、そして危険な場所(糞便がある、農薬や除草剤が撒かれた)の転げまわりは、きっぱりと止めさせましょう。健康面に悪い影響を及ぼすことがあります。転がり終わったその後は、ノミ、ダニ、異物や傷、汚れなどのチェックをお忘れなく。
ただし、あまりにも執拗に転げ回るのであれば、心身の健康が脅かされている恐れがあるので注意です。少しでも心配に思うのならば、獣医師に相談することをお勧めします。「病院に行くほどでもないが、ちょっと心配」という時にできることは、使用しているグルーミング製品や掃除・清掃などに使う家庭用品の見直しをしてみましょう。犬に合わない、またはニオイ刺激が強過ぎる商品なのかもしれません。
泥サイコ〜!と転げ回る「泥ハイ状態」になった犬たちが幸せそう 【動画】 | the WOOF イヌメディア
目の前でこれをやられたら「うわぁぁああ!」と叫んで、がっくりと膝をついてしまいそう。一方の、泥を身体に擦り付ける犬たちは、心の底から楽しそうで幸せそうですね。 …