ペットを飼うことは私たちの健康に良い影響を及ぼすようですが、彼らのフードは環境に悪影響を及ぼしているようです。

Plus Oneに掲載された論文[1]によれば、犬猫は6400万トンの温室効果ガス投棄の責任を問われるべきなのだそう。彼らの肉を中心とした食事が、1250万台の運転と同程度のインパクトを環境に及ぼすというのです。

食肉生産の環境コスト

調査を行ったのはUCLAの地理学者であるオキン氏（Gregory Okin）。「犬猫に恨みはない」と言うオキン氏ですが、調査の結果は犬猫に厳しいものとなりました。毎年米国で消費される動物由来カロリーの約25％を消費するのは、米居住の犬猫だというのです。

Washington Postは約25％という量について、「米在住の犬猫が主権国家を擁立した場合、肉の消費量で第5位につける」と非常にわかりやすく説明しています。すごい量ですね。

植物を育てるのに比較すると肉の生産は、土地、水、そしてエネルギーを必要とし、より多くの温室効果ガスを作り出します。米国科学アカデミー紀要によると、鶏肉1キロの生産では約3.7kg、豚肉1キロの生産では24kg、そして牛肉1キロの生産には1000kgの二酸化炭素が排出されます。オキン氏はペットフードに着目し、米国の犬と猫の数、平均体重、ペットフードの成分を計算することで、温室効果ガスの排出量を計算しました。

犬猫フードが環境に与える影響は大きい

オキン氏は、2015年のペット所有数を犬7780万匹、猫8560万匹と推定し、カリカリ（ドライフード）に焦点を当てて調査を行いました。フードのラベルに記載された栄養素を確認し、エネルギーの約3分の1は動物由来の食材に由来していることがわかりました。また、計算により、米国に居住する犬猫を支えるフードを作るためには、人間を支える家畜を育てるための土地や水などの約3分の1が必要になることがわかりました。さらに、フードを生産するための2つの温室効果ガス（メタンと亜酸化窒素）が気候変動に与える影響は、年間で約6400万トンの二酸化炭素からの影響に匹敵することもわかったそうです。これは年間で1250万台の車が年間平均11,346マイルを運転したのと同程度の影響だといいます。

ワーオ。

オキン氏は、この数字はさらに大きなものになるだろうと指摘しています。米国では犬猫所有世帯数が右肩上がりで増えていること、ペットフードのリッチ化が進んでいることもこの状態に拍車をかけるだろうとみているそうです。

全世界的に見ても、ペットの数は増加しており、フード含有の肉の量や質が向上する傾向が続いています。ペットの幸せにはプラスとなりますが、環境にとってはマイナスの影響が大きそうです。

犬猫を排除する以外の環境に優しい方法を

環境のために私たちは、犬猫をバスタブに沈めてしまわなければならないのでしょうか？「そうではない」とオキン氏は強調します。「私は犬も猫も好きですし、ペットの排除を勧める訳ではありません」

「ただ、我々はペットが与える全ての影響を考慮しなければなりません。そうすることで彼らについての真剣な議論ができるようになると考えます。ペットには多くの利点がありますが、環境へのインパクトもとても大きいのです」

一つの解決策として、人間が食べない部位などを使用する方法や、非動物由来のたんぱく質を含めるなどの方法があるとしています。「（この研究で示された数字によって）市場の関係者が選択肢を増やすきっかけになることを、そして（これらの数字が）消費者が商品を選択する上での基準になることを願っています」

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Environmental impacts of food consumption by dogs and cats (2017), G. Okin https://doi.org/10.1371/journal.pone.0181301

Featured image credit ra2studio / Shutterstock

犬の繁殖機能衰え〜ペットフードに含まれる環境化学物質が原因か（イギリス研究） | the WOOF イヌメディア

英国で26年にわたり行われた調査によれば、犬の繁殖力が衰えつつあるそうです。原因は、環境化学物質ではないかとみられています。