日食は動物の行動に影響を及ぼすのか?〜そして犬に保護メガネは必要か?

生態・行動
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自然界の現象は動物たちに影響を与えることが一般的に知られています。地震や急激な天候の変化を前にしての、動物たちの”いつもと違う行動”は、ときにニュースを賑わせます。

それでは、日食はどうでしょう?お日様が欠けていくと一大イベントは、彼らの行動にどう影響するのでしょうか。

市民を巻き込んでの”動物行動観察”

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image by jimnista / Flickr

日食とは、「月が太陽の手前を横切るために、月によって太陽が隠される現象[1]」のこと。一部が隠れる現象を「部分食」、すべてが隠れる現象を「皆既食」、月の周りから太陽がはみ出して見える現象を「金環食」といいます。

なんだかすごいという印象しかない日食ですが、地球規模で考えると、それほど珍しい現象ではありません。18ヶ月ごとに、地球のどこかで観測できます。次回は2017年8月21日(アメリカの一部地域)に、その次は2019年7月3日(南太平洋や南米大陸の一部)に、皆既食を観測できます。

これだけ頻繁に起こっているなら、動物の行動も多く観察されているに違いない…と思ってしまいますが、公式の動物行動の記録はほとんど発表されていません。同じ地域で見られるのは数十年に一度、しかも短い時間で終わってしまうので、致し方ないところでしょう。つまり、動物が”いつもと違う行動”をするのかは、現在のところよくわかっていません。

今月21日に日食を控えたアメリカでは、現在、「市民科学者」たちの協力を得て、動物の行動記録を集めようという動きが広まっています。カリフォルニア科学アカデミー市民に対し、アプリ(iNaturalist)を使って動物の行動を記録するよう求めていますし、ナッシュビル動物園では、来場者に日食観賞用のメガネを渡すとともに、SNSやアプリでの記録をリクエストしています[2]。市民科学者の協力で、動物達の新たな行動習性がわかるかもしれませんね。期待です。

ペットの犬は日食には気づかない!?

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image by Gary Robertson / Flickr

とはいえ、「よくわかっていません」で終わりにするわけにはいきません。かつて起こった日食の時に、動物たちはどんな行動をとったのかを紐解いてみることにします。

2015年3月、大西洋から北極海にかけて皆既日食が、北アフリカからヨーロッパ全域で部分日食が観測されました。このときのイギリスでは、動物園での異常行動は特に見られませんでした。しかし、市民からは、「鳥のさえずりや飛ぶ姿がなくなった」「羊や牛は舎に戻った」という報告があったとのこと[3]。フクロウやコウモリは行動が活発になり、アリは巣に戻ることも観察されており、「突然夜になったことが、動物の行動を変えたのだろう」と推測がなされています。

ただし、ペットの犬猫に関しては「特に変化がない」という報告がほとんどで、多くの観察好きな飼い主をがっかりさせました。「もっと食べるようになるかと思った」「不安がると思っていた」という予想に反し、犬はいつものようにソファを噛み噛みし、猫はだらけて寝ていたとのこと。「日食にふさわしい奇妙な行動をとった動物はいないの?」と嘆くTwitterユーザーもいたようです。残念でした。

科学編集者のマクレンドン氏(Russell McLendon)は、ペット動物は野生動物と違って日食への影響を受けにくいと推測しています。ペット動物は人間のペースで日常生活を送っているため、反応が違うものになるだろうというのです。数分ほどしか持続せず、大きな音もない日食には、気がつかないペット動物がほとんどなのでしょう。

犬に保護メガネは必要か?

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image by Julie Falk / Flickr

ペット達の関心を引くことのない日食ですが、人々の関心は高まるばかり。愛するワンコと一緒に、一大イベントを体験したいという飼い主は少なくありません。

そこで湧いてきたのが「犬に保護メガネは必要か」という疑問です。専門家の意見は分かれており「安全を期して保護メガネをするのは良い」という意見もあれば、「特別なものは必要ない」という意見もあります。「そもそも日常生活の中で、ペットは太陽を直視しようとはしない」と考えれば、どうやら必要はないのかも…[4]

意見の一致をみたのが、「人間が盛り上がるイベントは、愛犬と一緒にテレビで楽しむ方が良い」という点です。太陽の強い光より、人間達の大騒ぎの方が、犬に大きなストレスを与えるというのです。人混みや大きな音は、犬達がもっとも嫌うもの。日食に限らず人の集まるイベントの時は、お留守番をお願いした方が良さそうです。


残念ながら日食も月食も、ペットの行動を変えることはないみたい。愛犬の心が平穏なのは嬉しいことですが、ちょっと残念な気もします。もしこれまでの日食・月食で”いつもと違う行動”が見られたのなら、ぜひthe WOOFまでお知らせください。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 皆既日食(日本では見られない)(2017年8月) | 国立天文台(NAOJ)
[2] Solar Eclipse And Your Pet’s Behavior: What Do Animal Experts Predict?
[3] How did YOUR pets respond to the eclipse? | Daily Mail Online
[4] Can Your Pet Go Blind from the Solar Eclipse?

Featured image credit Adrian Fallace / Flickr

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