愛犬の死が心筋症の誘因に〜ストレスが飼い主の心を引き裂いた

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最愛の家族を永遠に失うことはとても辛いもの。「心にぽっかり穴があいたような」とはよく使われる表現ですが、人によっては実際に、心臓に異常がみられることもあるようです。

ひどい胸の痛みから病院に搬送されたテキサス州の女性は、医師から「たこつぼ心筋症」であることを告げられました。誘因とみられるのは愛犬の死で、強いストレスが心臓の異常を引き起こしたとみられています。

愛犬の死が女性の心を引き裂いた

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image by itarife / Flickr

61歳のジョーニー・シンプソンさんは、ひどい背中の痛みで目を覚ましました。心臓発作が疑われた彼女でしたが、検査の後に医師が伝えた病名は「たこつぼ心筋症(Takotsubo cardiomyopathy)」。別名、ブロークンハート症候群とも呼ばれる病気です。女性は最近心の底から愛していた愛犬のヨークシャーテリアを失くし、”心を引き裂かれる(ブロークンハート)”ような経験をしていました。

たこつぼ心筋症は、「急激な感情の変化によるストレスや肉体的ストレスが誘因となって、心臓の動きに障害が起こる疾患[1]」です。正常な心臓は全体が収縮して体に血液を送り込みますが、たこつぼ心筋症の場合は心臓の根元の部分だけが収縮し、急性心筋梗塞と類似した症状を起こします。

強烈な精神的ストレス、または身体的ストレス(感染などの急性内科疾患)が誘因になることが多く、患者の多くは高齢の女性。閉経後の女性に多い(ある研究では80%、男性は11%)と言われています。死亡率は10%に満たないほどで、急性期を乗り切れば1〜4週間で回復します。

なお、たこつぼ型心筋症が初めて報告されたのは日本人(1991年 佐藤光)で、日本語名がそのまま国際的に通用しています。

ペットの病気や死は大きなストレス

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image by athriftymrs.com / Flickr

シンプソンさんの場合は、愛犬メハ(Meha)の死が誘因となったようですが、前々から悩まされてきた家族関係の心配事も背景にありました。息子は手術を控えており、義理の息子は失業し、不動産売却ではトラブルに見舞われているところに、愛する犬をうっ血性心不全で失ったのです。

ペットの病気や死は、飼い主の心をえぐり、病気を引き起こす可能性があるというのは注目すべき点です。最近の研究では、慢性疾患の動物を持つペット所有者がより高いレベルの「介護者の負担」、ストレスおよび不安を有することが判明しています。

子供たちが独立したシンプソンさんにとって、愛犬は娘のようなものでした。プールに飛び込むのが好きなメハと、ハンバーガーを分け合ったこともありました。しかし元気な犬も9歳になり、病気を患い、最後に非常に苦しんで死を迎えたそうです。他にも様々なストレスを抱えていたシンプソンさんの心にメハの死は、巨大レンガのように大きく重くのしかかりました。

シンプソンさんは自身の心境をこう語っています。

やるせない。本当にショックだった

シンプソンさんの病状は薬により安定し、2日後に帰宅。予後は安定しているとのことです。

現在、彼女の家には猫が1匹います。新しい犬を受け入れる心の整理はできていないそうです。でもそれは、心臓に負担がかかることを恐れてのことではないとのこと。

「(ペットを失うのは)本当に心を引き裂かれるものだし、トラウマになる。とにかく悲しいこと」とシンプソンさん。「だけど、ねぇ。彼らはたくさんの愛を与えてくれる。私はこれからもペットと暮らすし、彼らとの生活をやめるつもりはないわ」

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] ストレスと心臓 | 心臓 | 循環器病あれこれ | 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
[2] 慈恵ICU勉強会資料, 遠藤新大

Featured image credit Chad Miller / Flickr

飼い主を襲う「介護うつ」〜ペットの病気が大きなストレスに | the WOOF イヌメディア

ペットは老人、病気、障害者に強力な治療法を提供することができます。しかし一方で、精神的な苦しみをもたらすこともあるようです。 専門誌に掲載された研究では、慢性の病気や末期のペットを介護する飼い主は、ストレスや不安、うつ症状などを経験し、生活の質の低下にもつながる可能性があることが示されました。

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