ホリデーシーズンに限らず、チョコレートは犬に毒性がある食べ物です。ただ、この時期にはより一層の注意が必要です。
イギリスの調査によれば、犬のチョコレート中毒のピークはクリスマス時であり、病院に担ぎ込まれる数がイベントがない他の時期に比べて4倍にのぼることがわかりました。
チョコレートは犬には毒
チョコレートは、テオブロミン、カフェインを含む高脂肪な食べ物であり、犬に限らずペットには危険です。犬と猫は人に比べ、テオブロミンとカフェインに敏感であり、またこれらの代謝に時間がかかるため、体内で中毒症状を引き起こすほどに蓄積する可能性があります。嘔吐や下痢、発作、そして大量に食べた場合は死に至ることもあります。
リバプール大学のノーブル博士らは、オンラインで入手可能な文書化された臨床記録(※)からチョコレートに関するものを抽出し、その傾向や症状について分析しました。
※ 英国で2012年11月から2017年5月までに収集されたデータが対象。チョコレートの曝露事例の定義と一致するとされたのは375匹の386件
- チョコレート中毒について、症例の多くは(Many cases)1時間以内に出現、6時間以内に大部分が(the majority)出現した
- 中毒症状で多く認められたのが嘔吐(64例、17%)で、神経学的徴候(興奮、自発運動)は珍しい(12例、3%)。28例(7.5%)で120bpmを超える心拍数が認められた
- 治療には、活性炭(121例)、アポモルヒネ(114例)、静脈内流体療法(12例)、嘔吐防止薬(31例、通常アポモルフィン後)があった
- チョコレート中毒はシニア犬では有意に少ない(8歳以上の犬では4歳以下の犬ほど多くない)
- 犬種による違いは特にみられない
- チョコレートの投与量が分かっている185例のうち、ほぼ60%がテオブロミンの毒性レベルを含んでいた
デコレーションやアドベント・カレンダーにも注意を
研究者らはまた、祝祭日の前の1週間と後の2週間についても調査。クリスマスとイースターがチョコレート中毒の重要なピークであることを突き止めました。クリスマスやイースター時期は祝祭日でない日に比べ、4倍超も病院に駆け込むリスクが高くなるそうです。
調査によると、犬が魅了されるのはチョコレート本体(35例)やチョコレートケーキ(22例)の他、チョコウサギやチョコサンタ、アドベント・カレンダーなどがありました。驚いたことにハロウィンやバレンタインにはクリスマス時期のようなピークは見られなかったのだそう。
このような傾向はイギリス特有のものなのか、それともハロウィンやバレンタインには飼い主が特に注意を払っているせいなのか、あるいは他に要因があるのかはわかりません。ただ、たくさんの飾り付けがなされ、人が集まりお菓子が集まるこの季節は、特に注意をしなければならないということです。
この他、レーズンやキシリトール、玉ねぎやリキュールなどをチョコレートと同時摂取しているケースも少なからず見らたそう。チョコレートだけでなく、ケーキやプディング、お肉の付け合わせやソースにも注意が必要です。特に好奇心いっぱいの食いしん坊がいるご家庭は、キリリと目を光らせておきましょう。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Noble, PM., Newman, J., Wyatt, AM., Radford, AD., Jones, PH. (2017) Heightened risk of canine chocolate exposure at Christmas and Easter Veterinary Record 181, 684.
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