【犬には毒】溶けた雪は「食べるな危険」〜凍結防止剤と融雪剤

暮らし
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雪の中で喜び駆け回っていた犬が、ふと気づくとガシガシと雪を食べていた…というのはワンコあるある。喉が乾いてしまったのか、あるいはフワフワした雪の味を確かめているのか、気がつくと結構な量を食べています。

しかしちょっと待って!そもそも雪って食べてもオッケーなの?

雪って食べてもイイの?

雪は、雲の中の小さな氷の粒に周りの水蒸気がくっついて地上に降ってきたものです。たいていは、気温が2℃以下になれば雪になり、それより気温が高ければ雨になります[1]。雪と氷を研究するオレゴン大学のノーリン教授によれば、ほとんどの雪は飲料水と同じくらいクリーンなのだそう[2]。だったらちょっとくらい食べても問題はなさそうです。

でも、雪が降ったのが都会なら、ちょっと話は別のようです。2016年のマギル大学(カナダ)の研究は、都市部の雪は排気ガスからの大気汚染物質により有害になる可能性を伝えています。研究責任者であるAriya教授は、警戒主義者にはなりたくないとしながら、都市の子供たちは雪を食べない方が良いと述べています

たとえ都会でなくても、地面の色つきの雪は絶対に食べてはいけません。赤も緑も黄色もNG。ゴミや排水、あるいは尿かもしれません。黒や灰色は泥や煙かもしれませんし、動物の糞が混ざっているかもしれません。

残念ながら真っ白な積もった雪も、実は安全ではありません。食いしん坊わんこは特に、注意をしなければなりません。

雪を食べて嘔吐する犬

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image by Christine Meerman-Cooper / Shutterstock

雪を食べた後の犬が胃腸にむかつきを覚えることは、そう珍しいことではありません。中には嘔吐してしまう犬もいます。

そもそも、何かを食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると気持ちが悪くなるのは、犬でなくても起こること。冷たい雪を一気に掻き込んだら、胃腸な敏感な犬なら戻してしまうこともあるでしょう。

雪が何かで汚染されている場合、特に雪に犬が食べてはならないものが混ざっていた場合は、ひどく嘔吐することもあります。草、木、石なども心配ですが、もっとも怖いのは凍結防止剤や融雪剤です。

凍結防止剤も融雪剤も、散布することで成分が溶けて凝固点降下が起こり、融点(固体が液体になる温度)が下がることで雪を溶かすものです。凍結防止剤には塩化ナトリウムが、融雪剤には塩化カルシウムが主に使用されており、これらはいずれも「犬には毒」という代物です。

凍結防止剤と融雪剤

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image by thka / Shutterstock

雪が降るぞ!となると、歩道にも車道にも凍結防止剤がまかれます。凍結防止剤に含まれる塩化ナトリウムは、効果の持続が長いため、雪が降る前に使用されます。

雪が積もったぞ!となると、塩化カルシウムを含む融雪剤が使用されます。凝固点が非常に低く、また塩化カルシウムが水に溶けるときに熱を発するため、即効性が高いのです。

凍結防止剤や融雪剤の成分は塩化ナトリウム、塩化カリウムのほか、塩化マグネシウム、カルシウム塩、尿素があり、いずれも犬の健康に悪影響を及ぼします[2]

  • 塩化ナトリウム:軽めの摂取は嘔吐や下痢などの消化不良を引き起こします。大量に摂取した場合の症状には、脱水、脈や呼吸が早くなる、発熱、中枢神経系の症状、そして死亡が含まれます。致死量は4gと言われます
  • 塩化カリウム:塩化カリウムは重度の刺激物であり、嘔吐や下痢などの胃腸障害を引き起こすことがあります
  • 塩化マグネシウム:胃腸障害を引き起こす可能性があります。胃の病気をもつ犬が大量に摂取した場合は、高マグネシウム血症を起こすこともあります
  • カルシウム塩(炭酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウム酢酸マグネシウム):もっとも刺激性が高く、胃腸障害のほかの、犬の脚の皮膚に局所的に大きな刺激を与えることがあります
  • 尿素:比較的安全で、通常は唾液分泌が増えたり軽度の胃腸炎を引き起こす程度で済みます。しかし大量の摂取は、元気がなくなったり、筋肉の不随意運動(振戦)を起こしたり、メトヘモグロビン血症を引き起こす可能性もあります
  • 雪の中で安全に遊ばせる

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    image by Ekaterina Brusnika / Shutterstock

    雪を食べる犬は一部かもしれませんが、ほぼ全ての犬は雪のついた足先を舐めるものです。足や爪についた化学物質を舐めてしまわないよう、雪遊びの後は丁寧に足を洗い乾かしてあげましょう。

    犬たちの安全を守るために、以下の点を心に留めておきましょう。

    • 凍結防止剤や融雪剤が撒かれた場所は避ける
    • 飲み水をしっかり用意する。喉が乾いても溶けた雪は飲ませない
    • 雪や氷が溶けた水たまりを避ける
    • 雪のお散歩の後は、いつも以上に丁寧に足を洗い、裂けたり出血しているところはないか、乾燥しすぎていないかを確認する

    愛する犬たちを化学物質から守りつつ、冬にしか楽しめない雪遊びを大いに楽しんでくださいね!

    ◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
    [1] 【雪と氷について】 – 地球科学のせかい
    [2] Is It OK To Eat Snow? | Popular Science

    [1] 融雪剤・凍結防止剤とは?違いや使い方を解説 | 建設土木資材ブログ
    [2] Is there really a “safe” ice melt? | Pet Poison Helpline

    Featured image credit Anastasiia Tarasova / Shutterstock

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