米国では、なんと成犬の5頭に1頭が関節炎を患っているそうです。
遊ぶことが大好きなワンコが、探検したり追いかけっこができない・・・。考えるだけで辛いものですね。関節炎とは一体どんなものなのでしょう。
関節炎とは
関節炎は、骨同士の接合面を保護して動きを滑らかにしている軟骨に支障が出て、関節の炎症を引き起こし、徐々に悪化していく病気です[1]。たいていの場合、怪我や長年にわたる関節の磨耗や消耗が原因で起こります[2]。高齢のワンコさんによくみられる病気ですが、若齢の犬であっても、怪我や感染症、栄養不良または骨軟骨症、股関節形成不全、肘形成不全などの発達障害によって関節炎が起こることがあります。
年齢、品種、体型にかかわらず発症するとのこと。まだ若いから、スリムだから大丈夫と油断するのは禁物です。
関節炎になるとどうなるの?
関節炎になると、ワンコさんには以下のような徴候がみられます。
- 運動後や起床時のこわばり
- 運動を嫌がる
- 階段や段差に飛び乗れない
- 歩き方がおかしい
- 関節の膨張・変形
- 可動域が狭くなる
- 動かしたときに音がする(音がする感覚がある)
- いつもの生活(食欲、睡眠など)に違い
関節炎になってしまったら
獣医さんと相談しつつ、治療プランを立てましょう。外科的処置や食事療法、薬物療法など、そのコに適した方法を提案してくださるでしょう。
痛みを予防、または最小限に抑えるために飼い主さんができることには、以下のものがあります。いずれもお医者さんと相談したうえですすめましょう。
- 体重を正常範囲内におさめる
- 栄養バランスを調整した食事療法を試みる
- 関節炎に効果のある栄養サプリメントを試みる
- お散歩時間を短縮する
- お散歩のルートを変更し、平らな道を選ぶ
- お散歩のスピードをゆっくりにする
- 関節可動域訓練やストレッチ、マッサージを取り入れる
- 患部の温め(痛みやこわばりの緩和)
- 患部の冷却(腫れ、熱をもっているとき)
お食事およびサプリメント
食事について
予防および対処療法として、食事制限(カロリー制限および食事回数制限)があります。自由摂食させた犬は、食事の時間が決められた犬より肥満になりやすいこと、変形性関節炎を発症した犬が多く、症状が重くなったという研究結果があります[3]。フードボウルの出しっぱなしにしないように気をつけましょうね。
関節炎のためにつくられた処方食もあります。食事だけでも症状が改善した例もあるようです[1]。
サプリメント
グルコサミンやコンドロイチン硫酸は、関節の変性を遅延させるだけでなく、抗炎症薬の必要性も低減する[2]そうです。
グルコサミンは、関節の腫れを減少し、痛みを和らげる効果があり、関節の機能の向上させる効果があります。多くの獣医さんが、既に症状が出ている犬にも効果があるとしてグルコサミンの摂取を推奨しています。
犬は痛いということを教えてくれません。気がついたときにはすでに症状が進行し、かなりの痛みを我慢していた、ということもよくあるお話です。お散歩や遊びの時間にはワンコに集中して、いつもと違う様子であれば注意して観察するようにしましょうね。
[1] 犬の関節炎のおはなし|スペシャルコンテンツ|プリスクリプション・ダイエット
[2] フュージェバーバラ. (2010). 『ペットの自然療法事典』. ガイアブックス. Retrieved from http://www.amazon.co.jp/gp/product/4882827743/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4882827743&linkCode=as2&tag=fromcorporate-22
[3] Kealy, R. D., Lawler, D. F., Ballam, J. M., Lust, G., Smith, G. K., Biery, D. N., & Olsson, S. E. (1997). Five-year longitudinal study on limited food consumption and development of osteoarthritis in coxofemoral joints of dogs. Journal of the American Veterinary Medical Association, 210(2), 222–225. Retrieved from http://europepmc.org/abstract/med/9018356
このページに登場していただいたのは、治療に励むMaestroさんです Photo by Rhona-Mae Arca via Flickr