穀物〜米、ムギ、トウモロコシは犬が食べても安全か?

食・フード
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穀物は私たちの生活に欠かせないもの。毎日の食卓にのぼるものですから、ついついワンコにおすそ分けしたくなっちゃいますよね。

でも、「犬は穀類を消化できるの?」とか、「穀類アレルギーが起きたらどうしよう」とか、「遺伝子組み換えは影響するの?」など、気になることもいくつかあります。

そもそも「穀物」には何が含まれるの?

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image by aboikis / Shutterstock

穀物とは、食糧のために栽培されたでんぷん質を主体とする種子です。一般的には、イネ科、マメ科に擬禾穀類を含めたもの、すなわち米、オートムギ、トウモロコシ、大麦、キビ、オートミール、キノアなどが含まれます。

すべての穀物は炭水化物の良い供給源であり、身体にエネルギーを与えるものです。穀粒の種子は繊維の良い源である「ふすま」と呼ばれる硬い外層でできており、内部の胚乳と呼ばれる部分には豊富なデンプンが含まれてます。胚芽(種子の生殖部)は、ビタミンE、葉酸、マグネシウム、リンなどの微量栄養素の良い供給源です。

全粒粉とは、穀物種子全体が食糧に使用されているものを指して、加工された場合は精製穀物食品と表示されます。加工されると栄養成分の一部は失われます。

穀物はそれぞれ異なる栄養成分を有しています。キノアのようにタンパク質が高いものもあれば、ブルグアのように高繊維のものもあります。

穀物は犬が食べても安全なの?

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image by Audrey Saracco / Shutterstock

犬は肉食に近い雑食動物で、植物を消化し体の栄養にすることができます。

肉食動物も、獲物を捕まえて食べることで間接的に植物を摂取しています。草食動物を獲物として食べるということは、未消化の植物や穀物でいっぱいの餌食動物を食べているということです(腸内容物の植物等は獲物動物の重量のほぼ30〜40%を占めると言われています)。

先祖の摂食行動から身体の器官を進化させてきた犬は、植物や穀物を消化することは可能です。トウモロコシ、小麦、大豆、米、大麦は、犬にとって有害ではありません。主成分がデンプンなどの可溶無窒素物であり、エネルギー源としての役割を果たします。

しかし、消化期間は草食動物のようには発達していないため、生の全粒粉は消化できません。つぶして加工したものや柔らかく調理されているもの以外は、消化器に大きな負担をかけることになります。

穀物はアレルギーの原因になるの?

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image by Tamonwan apaikawee / Shutterstock

「穀物 犬」と検索すると、グレイン(穀物)フリーのドッグフードについての情報が並びます。これを見ると「穀物は犬に食物アレルギーを引き起こす悪い食材」と思えてきますが、必ずしもそうだとは限りません。

「穀物はアレルギーを原因になるか?」という問いへの答えはイエスでありノーでもあります。

AKCは「穀物はアレルギーを引き起こさない。しかし、それらはアレルギーの標的になり得、そしていくつかの食品は他のものよりもアレルギー性がある」としています。小麦のような特定のものはアレルギーの原因となるタンパク質(グルテン)を含んでいますが、穀物という大分類では、アレルギーを多く誘発するものではないとの見解です。

犬のアレルギー誘発成分を含む食べ物は、上から順番に牛肉、乳製品、小麦、チキン、卵であり、「穀物」は入っていません。

一方、穀物はアレルギーを誘発するダニを引き寄せます。いくつかの研究では、密封されていない容器に6週間開封保存されたドライドッグフードは、しばしば貯蔵ダニを繁殖することがわかっており、これらを食した犬が症状を呈する可能性は十分にあります。なおこれらのダニは、フードを密閉された容器に入れて涼しく乾燥した環境に置き、1ヶ月以内に消費することにより防止することが可能です[1]

遺伝子組み換えの影響はあるの?

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image by Carlos Amarillo / Shutterstock

穀物といえば、遺伝子組み換え(genetically modified organism:GMO)の影響も気になります。遺伝子組み換えによって付与される形質には、除草剤への耐性、害虫への抵抗性、ウィルスへの抵抗性、栄養成分を増やすなどがあります。

現在では、遺伝子組み替え穀物を食べることは有害ではないとされ、各国で食物としての利用が許可されています。しかし、遺伝子組み換え穀物には未知のタンパク質を摂取することへの懸念から、アレルギー反応やリーキーガット症候群(腸から栄養素や食物分子などが体の内に漏れて侵入してしまう状態の通称)を引き起こすのではないかと言われることがあります。現時点ではこれらが起こるという実証も、起こらないという科学的実証もありません。

与えるときに注意すべきはどんなこと?

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image by Susan Schmitz / Shutterstock

穀類は、アレルギーのない犬にとっては、食べさせても問題のない食物です。白米、雑穀米、うどん、そば、パスタ、パンなど、適量をたまに注意して与えるぶんには問題はないでしょう。

麺などの穀類を加工したものは、塩分含有量と小麦由来でないかを確認しておきましょう。上述のとおり、小麦に含まれるグルテン(タンパク質の1種)は食物アレルギーの原因となるため注意が必要です。パンやラーメンは塩分が多めに含まれいるのであまりオススメはできません。お餅は、人間でも飲み込めず死に至ることもある食べ物です。犬も喉に詰まらせる恐れがあるので与えるのはやめましょう。

穀類について気をつけるべきは、消化に良い状態で与えることと、与えすぎないということです。炭水化物は糖質ですから、与えすぎは胃腸の不調や肥満の原因になります。

最後に、どんな食べ物でも個体に状態・状況によっては、何らかの影響を及ぼす可能性はあります(絶対に安全だということはありません)。治療中や投薬中ワンコは必ず獣医師に確認してから与えること、そしてはじめて与えるときは十分に注意して与えることを徹底しましょう。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Can Dogs Eat Wheat And Other Grains? – American Kennel Club
[2] Leaky Gut Syndrome(LGS) 腸管壁浸漏症候群

Featured image creditmjurik/ shutterstock

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