昨年、ハワイのペット業界視察を目的に、ハワイに行ってまいりました。3泊5日の慌ただしい旅でしたが、ハワイにすむ動物たちの現状をみることができた大変貴重な経験でした。
ペット業界視察、と大げさにうたいましたが、目的はペットだけでなくこの楽園ハワイに生息している生き物に会いにいくこと! 今回はそのときのお話をさせていただきます。わんちゃんだけでなく、様々な生き物が登場しますが、どうぞおつきあいください。
生き物にとっての「自然」を大切にするハワイ
まず向かったのがホノルル動物園(Honolulu Zoo)。園内のつくりは、日本よりも素朴。動物たちはほんとうに自然の中でのびのびとして生活をしているなぁ、という印象でした。特に、キリンとカバが一緒のエリアで仲良くご飯を食べている姿が微笑ましかったです。
餌や食べ物は一切あげてはいけないところは日本と同じ。きちんとした管理をすることで、動物たちの自然な暮らしを守ろうとしているのでしょうね。
動物園を離れ、ハワイの美しい海岸沿いをドライブして向かったのが、ノースショアです。ここはウミガメに接近できることで有名で、とても人気のある場所。観光客でもかなりの確率で、浜辺にあがったウミガメに遭遇できるのだそうです。
感心したのは、ウミガメを保護のために徹底した管理が行われていたこと。複数のボランティアがロープを張って、見学者とウミガメの間に一定の距離を保っていたのが印象的でした。人が触ったり、近づきすぎたりしてウミガメの自然な環境を壊さないこと、そして彼らをペット化しないことはとても重要で、そのために必要な管理なのだと痛感しました。可愛がることと、彼らの生に責任を持つこととは、全く違いますものね。
ウミガメのキッスにも遭遇できて、とても幸せな気分になれました。
美しい海、そしてそこに暮らす生き物たちに出会う
次の日はココナッツアイランド(Hawai‘i Institute of Marine Biology)という、島全体がハワイ大学の海洋研究所の保護区となっている場所を案内していただきました。こちらではサメや珊瑚、海洋に関する調査・研究を世界中の研究者たち行っているとのことです。
研究者たちは、最近の温暖化や汚染によって、海そのものが変化してきていることを嘆いていました。美しい海が育む多くの生物。彼らの生息環境が変化していることは、その生物たちの恩恵を授かっている人間にとっても深刻な問題だとあらためて考えさせられました。
周りを見渡せば、美しい海!
この透き通った海が、いつまでもいつまでも変わらないことを願ってやみません。
動物たちにできることは何? 共通のテーマに悩む
次に向かったのは動物保護団体であるヒューマンソサエティー(E Komo Mai | Hawaiian Humane Society)。団体が運営する動物の保護シェルターを訪問しました。
登録ボランティアは3000人! 「ボランティアのみなさんは、掃除や給餌、お散歩などのお世話を、まるで自分のわんちゃんにするかのように完璧にこなしてくれるのです」と語るスタッフの表情がとても自信に満ち溢れていて、とても印象的でした。
保護されている犬猫のうち引き取り手が見つかるのは20−30%程度。なんとか引き取り手を増やしたいと、懸命な努力をされていました。日本でも保護犬の問題は大きなもの。私達が動物たちにできることは何なのかを、とても考えさせる訪問となりました。
ペットの救急救命のノウハウを学び認定も!
アメリカ赤十字社(American Red Cross)で、ペットのファーストエイドコース(Pet First Aid Course)を受講したことも、とても貴重な体験となりました。
これは3時間のセミナーで、人工呼吸の方法や止血の仕方など、知っておかなくてはならないペットの救急救命の知識やノウハウを実践的に学べます。
永久的、世界的に有効な認定書もいただきました!
たくさんの驚きと喜びをくれたハワイ・ペット・エキスポ
そしていよいよ、ハワイペットEXPOへ。[1]
初めて参加しましたが、会場は南国ムードに溢れています。そしてハワイ中にこんなにわんちゃんがいたのかとびっくりするほど、沢山のわんちゃんが来場していました。マナーが良いのはもちろんですが、粗相をするコが本当に少ないことにも驚かされました。
アジリティーやトークショーなど、さまざまなイベントを観客として楽しみました。そして・・・なぜか私もイベントでの舞台へ!! 即興で、無麻酔歯石除去のデモストレーションをすることになったのです。
参加者に挙手していただき、その中で「自分の犬は暴れて無理じゃない? 」という飼い主さんの愛犬、チワワちゃんの歯石を取ることになりました^^。いつもの施術を開始すると、チワワちゃんは大人しく、ストレスなく口を開けてくれて、あっという間に真っ白な歯に大変身。ハワイではわんちゃんを押さえつけない無麻酔歯石除去は浸透していないようで、気がついたら黒山の人集りができていました。施術をしてほしいと列を作ってくださったのにはびっくりです!
思いがけない機会をあたえられて、本当に感謝した出来事でした。
あっという間の3泊5日。ありきたりですが、ペットへの愛情ってどこでも共通しているんだなあと感じました。
いいと思うことはどんどん取り入れようと好奇心おう盛だし、
ペットの為になにができるのか、生活レベルで考えているし。
日本のみなさんと変わらないですよね!
そしてペットの仕事をやってきて、本当に良かったと実感した旅でもありました。
言葉や人種などの垣根を超えて、共通の話題と動物への愛情をもつ人たちと出会いがありました。そして、彼らととても親しくなることができました。今のお仕事があってこそのことだと思います。
みなさんも、ハワイにいく機会は多いかと思います。旅程の中の1日を、動物の観察と触れ合いに充ててみるのも楽しいかもしれませんね。
[1] 2015年は5月9日〜10日にオアフ島ワード地区のニール・ブレイズデル・センターで開催されました。