皆さんこんにちは!読書犬のパグ、ぐりです。お元気ですか?
地上での飼い主だったNさんのところは、母子3人、インフルエンザの予防接種を終えたとのことです。冬支度(?)をみんな着々と進めているのかな。
こちら、WOOFOO天国出張所はそれほど寒くならなくて、快適な温度で過ごせるんだ~。時々地上の気温差も懐かしくなったりするけれど、それは贅沢なんだろうね。
さてさて、今年も年末スペシャルがやってきました。今回は子ども向けの絵本から5冊、選ばせてもらいました。絵を眺めているだけでもちょっとゆったりした気分になれる本。お子さんだけでなく、大人にもおすすめです!
『もうあかん!』〜なにがあかんの?!
この本の作者である、岡田よしたかさんは、くいしんぼうの僕にとってキラ星のような作家さんです。というのもこの方『こんぶのぶーさん』『ちくわのわーさん』『うどんのうーやん』(いずれもブロンズ新社)という実に楽しい絵本を描かれているからです。そんなわけで、僕は以前から大好きな作家さんだったのですが、この方が犬の絵本を描いてくれました!わーい。
これは、ある犬のうんちのお話です。この本、たぶん小さいお子さん、ハマると思います。なぜなら、子どもというのはほぼみんな、うんちの話が大好きだから(笑)。主人公は自分のうんちをする場所にこだわりをもつ犬。こだわりが強すぎるがために、もうすぐ出ちゃいそうなのになかなか場所が決められない。場所を探す途中にはいろんな動物が出てきて
きみ あんまり がまんしたら からだに わるいで。ここで だし(本文)
といわれる始末。でも、でも、でもー!!! と犬はものすごい腹筋を使って(たぶん)がまんしながらウロウロ。そんなに頑張ったのに、結局は…というお話です。でも最後のオチが、さすが大阪人!という感じですからお楽しみに。
『いぬがかいた~い!』〜犬が飼いたくなったら行く場所
子どもってよく言いますよね。「おかーさーん!おとうさーん! いぬがかいたいよー」って。この本の主人公、ケイトもそうでした。ケイトがいつもベッドで一緒に眠っていた猫のタイガーが天国に行ってしまって、寂しい思いをしていました。そして両親に言うのです。「いぬがかいた~い!」って。
そこからがこの本の読みどころ。日本だったらまず、ペットショップに行く人が多いと思うのですが、ケイト一家は「犬救済センター」へ向かいます。「家のない犬ひとりぼっちの犬のための施設」です。そこには新しい家族を待つ、いろーんな犬が暮らしていました。ケイト一家は1匹1匹とあいさつ。そして、思っていたのとぴったり合う、小さくて元気いっぱいのデイブと出会えたのです! 喜びにあふれて帰ろうとしたケイトたちは、ある視線を感じます。そう、ロージーです。大きくて年を取ったロージーがこちらを見つめています。でも、2匹は飼えません。
だれかの いえの リビングで、のんびり できるようにって、いのってるよ(本文中)
と、お父さんは言い、後ろ髪ひかれる思いでデイブだけを連れて帰りました。でも翌日…
というお話。犬救済センターで、1匹の犬を家族に迎えるということは、その他たくさんの犬までは迎えられないということとイコール。その苦しい心情を、わかりやすく、ポップな絵で伝えています。犬が欲しいという無邪気な子どもの思いと共に、すべての犬にあたたかい家庭を、という願いも込められている1冊です。
⇨『いぬがかいた~い!』 ボブ・グラハム作 木坂涼訳 評論社 2006年
『きょうはマラカスのひ』〜犬がタイツはいてマラカスふるの
これは不思議で、おもしろい絵本です。まず、主人公(犬)の名前は、「クネクネさん」。そう、クネクネするからクネクネさん。そして、この本はクネクネさんがマラカスをもって踊る、その発表会のお話です。犬のなのですが、タイツも履くのです。
クネクネさんは マラカスが だいすき!おともだちの パーマさんと フワフワさんと「マラカスのかい」を つくっています。(本文冒頭)
こんな楽しげな一文から始まる物語。クネクネさんはマラカスをもって踊る練習に余念がありません。そして迎えた発表会の日。パーマさん、フワフワさんの発表が終わり、お腹がすいた3人は、お昼にしました。その後再開された発表会でしたが、思わぬアクシデントに見舞われて…
絵本ですが、なんだか味のあるタッチの絵だなあと思い、最後の作者プロフィールを見てみたら、銅版画家さんでした。たぶんこの絵本も銅版画。だからタッチがじんわりとあたたかいのでしょう。どうして犬にマラカス?!なぜ犬がタイツ?!(ちなみに洋服は着ないで、タイツのみ着用)と、冷静に読むと思ったりもするのですが、それがしっくりおさまっているのが不思議な魅力です。あと、僕が大好きなのは、マラカスをもって踊るクネクネさんのシーンの効果音。よくこんな音思いつくなあ、というくらい秀逸です。ぜひ確かめてみてね。そして、一緒に踊ってね!
⇨『きょうはマラカスのひ』樋勝朋巳 文・絵 福音館書店 2013年
『いいこだ、ファーガス!』〜ファーガスは元気いっぱい
この本は、白いスコッチ・テリア(たぶん)のファーガスの1日を追った絵本。まず絵が元気!ファーガスの性格をそのままに表したような勢いのあるタッチで、犬がぴょんぴょん飛び跳ねて本の中から出てきそうなくらいです。
朝いちばんはまず散歩。猫に気づいて家を飛んで出るファーガス。途中道草をくってなかなか帰ろうとしないファーガスに、飼い主の心の声。
そろそろ かえるよ、ファーくん。こっち、おいで、ファー。ここにきなさい。ファーガス、おいでったら! ここに くるんだ、ファー、ファーくん!(本文)
と、名前の呼び方がどんどん強くなる(笑)。これ、ワンコの飼い主の人たちにならちょっと心当たりあるかも?!でも僕たち犬にとって散歩はほんとうに楽しみの一つだから、なるべくじっくり…という気持ちもあるんだよね。
ご飯の場面も僕は好き。おいしそうな物、どうしてもほしくてずーっと見ちゃうの。飼い主は最後には根負けして… きっとこの絵本の作者は犬を飼っているんだろうな。だってあまりに日常的な「そうそう!そういうことあるよね!」ということばかり描かれているから。犬ってこんな感じなんだよ、というのを親子で堪能できる1冊です。
⇨『いいこだ、ファーガス!』 デイビッド・シャノンさく 小川仁央やく 評論社 2009年
『アンガスとあひる』〜あひるにちょっかい出してみたら…
犬とあひる。ってどんなお話?!と思うかな。これは、黒いスコッチ・テリアの子犬「アンガス」と、隣の家の庭で飼われているあひるの物語。子犬はみんな、いろんなことに興味津々。家の中でも、椅子の下に何かいないかのぞいたり、モップをひっぱってみたり。好奇心のかたまりがコロコロところげまわっているイメージだよね。僕も子犬の頃はそうだったって、よくNさんが懐かしそうに言ってたよ。人間はそんな子犬をかわいいと思ったり「こらこら!」と思ったりしているんだろうね。この絵本には人間は出てこないんだけどね。
ある日、家の中だけでは飽き足らなくなったアンガスは、散歩中に隣の家の庭からおかしな鳴き声が聞こえることに気づきます。それは、
ガー、ガー、ゲーック、ガー! といっていましたが、ゲーック、ゲーック、ゲーック、ガー! ということもありました。(本文中)
ある日、どうしてもこの鳴き声の正体を見たくなったアンガスは、家を飛び出して隣の庭に突入します。すると…
この本の翻訳者である瀬田貞二さんは、数多くの海外絵本を見事な訳で日本の子どもたちに紹介した方です。特に擬音の訳し方が素晴らしいなって僕は思っていて。この本に出てくるアヒルの鳴き声の描写にも関心しました。きっと生き物にも興味をもっていろいろと観察していた方なのではないかと想像します。1974年という、大昔の作品ではありますが、今でも読み継がれている作品、ぜひ手に取ってみてくださいね。
⇨『アンガスとあひる』 マージョリー・フラック作 瀬田貞二訳 福音館 1974年
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