米国人女性、インドで子犬に噛まれ狂犬病に感染、死亡

世界の犬事情
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CDC(疾病管理予防センター)は、2017年に米国人女性がインドで狂犬病に感染し死亡したと発表しました。

米国人の狂犬病による死亡事例は過去10年間で9人目。CDCは、特定の国には狂犬病リスクがあることと、事前にワクチンを接種しておくことが重要だと強く訴えています。


CDC(疾病管理予防センター)の報告によれば、死亡したのはバージニア州在住の65歳の女性。2017年1月から4月までの7週間、インドでヨガリトリート(自然の中でヨガで自分を癒す、合宿のようなもの)に参加していました。

女性は、ホテルの外で子犬に噛まれましたが、患部を水で洗ったのみで他の治療は行わないまま帰国。約6週間後の2017年5月に、右腕にチクチクする感覚を覚えて医師の診察を受けたところ、「手根管症候群(神経が障害される結果、しびれや痛みなどの症状がでる病気)」と診断されます。

しかし翌日、パニックに似た症状により再度病院を訪ね、パニック発作と推定され抗不安薬を服用することになったのです。

さらに1日が経過すると、胸痛、息切れ、チクチクする痛み、しびれ、そして不安の増加、心臓の問題が加わったため手術が行われることに。しかし、次第に興奮して攻撃的になり、水を飲む際に困難をきたす、”狂犬病の症状”がみられるようになります。

狂犬病は「一度発症すれば致死率はほぼ100%」の死に至る病。女性は2017年5月21日に息を引き取りました。

狂犬病は感染から発症までの潜伏期間が長く、噛まれた部位によっても異なりますが、一般的に1〜2ヶ月とされています。死亡した女性も感染に気づかず、帰国後も通常の生活を再開していました。ヒトからヒトへの感染例は、角膜移植の例を除いては報告されていませんが、唾液などによる感染リスクを排除するため、女性の世話や治療を行った72人に予防接種を受けるよう勧告されたそうです。

狂犬病は、日本では1957年以降発生していないため、その危険性についてはあまり認識されていません。しかし、インドを含む120カ国以上で流行し続けており、毎年3万5,000〜5万人が死亡する、現在でも十分な配慮が必要な致死の病です。

今回のケースでCDCは、「滞在先がインドの農村地域であり、狂犬病ワクチンを検討すべきだったにも関わらず、健康診断を受けていない」と報告し、狂犬病が心配される地域を旅行する際は専門家に相談すべきと訴えています。国立感染症研究所は「海外、特に東南アジアで狂犬病が疑われるイヌ、ネコおよび野生動物にかまれたり、ひっかかれたりした場合、まず傷口を石鹸と水でよく洗い流し、医療機関 を受診する」ことが必要だとしています。


国立感染症研究所の分析では、日本で狂犬病が根絶できたのは、イヌへのワクチン接種、および検疫制度、島国であることのおかげ。他国から持ち込まないように努力するとともに、飼い主として愛犬へのワクチン接種は欠かさないようにしなければなりません。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Doctors Thought a Woman Was Having a Panic Attack. She Actually Had Rabies.
[2] 狂犬病とは – 国立感染症研究所

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