愛犬が分離不安になるのを防ぐ方法

生態・行動
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「うちのコが分離不安になったらどうしよう」というのは、多くの飼い主さんが抱くお悩みです。前はお留守番ができていた犬でも、大きな環境の変化に対処できずに、突然分離不安の兆候をみせることもあるのです。

[icon name=”comments” class=”” unprefixed_class=””] この記事の監修者

WanByWan 三井 惇(みつい じゅん)CPDT-KA

1997年ボーダー・コリーを迎えてからドッグトレーニングの面白さを知り、ドッグダンスを始めてから、ドッグダンスを広めたいとドッグトレーニングのインストラクターになる。
現在は二頭のボーダー・コリーと共に、一般家庭の愛犬のトレーニングやドッグダンスのレッスンに携わる。本人も競技者としてオビディエンス競技やドッグダンスコンペに出没中。

この記事には、こんなことが書いてあるよ!

分離不安ってなあに

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image by Sigma_S / Shutterstock

分離不安とは、愛着のある人物から離れることへの不安により引き起こされる反応のこと。分離不安の犬は、飼い主の外出準備時や留守中に、破壊的な行動を起こしたり自分で自分の身体を傷つけるなどの行為をすることがあります。

分離不安の犬にみられる行動には、以下のようなものがあります。飼い主がいるときにはしないけど、ひとりになるとやってしまう場合は、分離不安が疑われます。

  • 排尿と排便:飼い主と離れたときのみ(不適切な場所で)排便または排便をする
  • 吠え、遠吠え:飼い主と離れたときにひどく、しつこく吠え続ける
  • カミカミ、ホリホリ、物を破壊:ドアや窓枠を噛む、掘る、あるいは飼い主の物を破壊する
  • 脱走:ドアや窓を蹴破って逃走する
  • 食事の拒否:留守中の食事に口をつけない
  • 食糞:排泄物の一部または全部を食べる

なぜ分離不安になるの?

なにが分離不安を発症させるかは、はっきりとはわかっていません。以下のような変化が関連すると考えられています。


  • 環境の変化:家族や同居犬と別れる
  • 生活のリズムの変化:夏休みなどの長い休みのあと、家族の就職や就学
  • 引っ越し:新しい場所、住居に越すなど
  • 家族構成の変化:家族の死亡、就学、単身赴任など、家族が突然不在になること

愛犬を分離不安にしないための7つのヒント

犬の中にはもともとが不安がちのコもいますが、飼い主が無意識に犬の不安を助長していることもあります。

分離不安の兆候がみられない場合、あるいはまだ軽度の兆候しかみられない場合は、飼い主さん自身が行動を変えることで愛犬を今後起きるかもしれない分離不安から守ることができるかもしれません。

以下は、愛犬を分離不安にしないための行動のヒントです。

1. ひとりでいることに慣れさせる

家にいるときも愛犬を四六時中構うのはやめましょう。家にいるときに構ってばかりだと、不在のときの寂しさとの違いが際立ってしまいます。

愛犬に自分だけの空間をもたせ、ひとりでゆっくりすることに慣れさせると良いでしょう。日常的にクレートやハウスのように囲われた場所を用意して、家族が在宅のときも中に入れる時間を作り、ひとりのときでも安心してそこで過ごせるようにします。

2. 要求がすぐ通らないことを教えていく

愛犬が構って欲しい要求を出してきても愛犬のペースで相手をするのではなく、ときには「ちょっと待ってね」と時間を空けて、こちらのペースでかまったり遊んであげたりしましょう。そうすることで愛犬に「待つ」ことを学習してもらい、飼い主への依存度が上がりすぎないよう注意するのです。

3. 事前に”留守番練習”をする

いつもは家族と一緒にいる犬が、ある日突然何時間もひとりにされてしまえば、不安になっても仕方がありません。本格的な留守番の前には(あるいは長期の休みが終わる前には)、犬にひとりで過ごしてもらうよう練習をしてしておきましょう。まずは5分間、次は10分、というように少しずつ長くして1時間、2時間とのばしていきます。最終的な目標時間になるまで、少しずつ少しずつ時間をのばしていくことがコツです。

4. ひとりで寝かせる

愛犬とベッドをシェアするのは悪いことではありませんが、旅行などでドッグホテルを利用する際などに分離不安のきっかけになる恐れがあることは否めません。普段から寝る部屋を別にしておくと、入院やホテル滞在がスムースになります。

5. お別れやただいまを大げさにしない

出発前や帰宅時は、大げさな挨拶は控えましょう。飼い主の不在はたいしたことではないことを覚えてもらうのです。出かけるときはさりげなく、「ただいま」の喜びは帰宅後落ち着いてからにしましょう。

6. テレビやラジオ、電気をつけたままにする

音楽やオーディオブックには、犬の心を落ち着かせる効果があると言われます。テレビやラジオをつけっぱなしにしておくのも良いでしょう。人間の声は、ひとりでのお留守番時のストレス減に役立ちます。

7. お楽しみと関連づける

お留守番を、何か愛犬の楽しみと関連づけるようにしましょう。留守番前に散歩をしたり、家の中で遊んだりすることでエネルギーが発散され、お留守番の時間をゆったりと過ごせるようになるかもしれません。

また、最初の15分ほどをやり過ごすための、熱中できるオヤツやオモチャを用意するのも有効です。留守番のときしか登場しない特別なオモチャや、おやつやフードが詰め込まれたオモチャがあれば、留守番も悪くないなと思ってくれるかもしれませんよ。

分離不安かな!?と思ったら

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image by Jaromir Chalabala / Shutterstock

犬が分離不安かどうかを判断するのは非常に難しいものです。排尿や破壊の問題があっても、分離不安ではないケースもあります。

たとえば排尿の問題は、尿路感染症、加齢による括約筋の緩み、尿路結石、膀胱結石、糖尿病、腎臓病、クッシング病、神経学的問題および性器の異常などの医学的問題、あるいは投薬によっても起こりえます。また、子犬は歯の生え変わり時期に不快感から周りのものを手当たり次第に噛むことがあります。退屈やストレスを抱える犬も、周りのものを盛大に破壊することがあります。

愛犬が分離不安かもしれないと不安になったら、まずは獣医師に相談してみましょう。健康上の問題がないかを確認することが大切です。そのうえで対処の方法を、専門家と共に探っていきましょう。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Separation Anxiety | ASPCA

Featured image creditNebojsa Markovic/ shutterstock

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