我らが可愛い犬猫は、日々の暮らしに喜びをもたらしてくれる存在です。彼らは飼い主である私たちに幸福感だけでなく、規則正しい生活や適度な運動からの身体の健康にも貢献してくれます。
しかしそれだけではありません。ペットたちは家庭内での転倒による怪我の原因にもなり得るのです。
ペットに関連した怪我は、実はあなたが思うより頻繁に怒っています。アメリカの疾病管理予防センター(CDC)の推計によれば、犬猫が原因の転倒事故は毎年86,629件に登るのだとか。
犬や猫が引き起こす事故は、どのくらい一般的なのでしょうか?
犬猫が原因での転倒事故はどのくらい起こっているの?
2010年、アメリカの綜合研究所である疾病管理予防センター(CDC)は、ペット関連の転倒による怪我に関する調査を発表しました。
データは2001年1月1日から2006年12月31日までの全国の代表的な救急救命部門への訪問記録から得られたもの。CDCは実際に発生した7,456件から、アメリカでの犬猫に関連する怪我の発生は、年間で86,629にのぼると推定しました。
8万を超える大きい数字に少し腰が引けてしまいますが、米国で救急救命部門で処置される転倒事故はおおよそ800万件。8万6千件というのは、全体の1%にすぎないということです。
最も一般的な怪我/負傷は骨折、あざおよび擦り傷で、ほとんどは手足にみられるものでした。
犬と猫のどちらが人間を転倒させているのでしょうか?調査によれば、「犬は猫の7.5倍多く、人に怪我を負わせている」のだそう。調査を行なったStevens研究員は、「犬の方が大きくて強く、子供や女性が巻き込まれて転倒する可能性が高いから」と原因を分析しています。
実際、女児は男性に比べて2倍以上、転倒による怪我をしていました。年齢層では、子供と中年以上が救急救命部門に送られる確率が高かったということです。
犬猫関連の怪我のうち、4分の1以上は散歩中に発生していました。もっとも多い原因は、犬につまづいたことによる転倒(約31%)で、次がおよび犬に押される/引っ張られることによる転倒でした。猫による怪我のほとんど(約86%)が、家の中または家の周辺で発生しており、それ以外は猫を追いかけて転倒という理由もみられています。
アジア圏での調査も発表されています。2017年に中国および香港で行われた電話調査(n=6,570)によれば、過去12ヶ月においてペット関連の怪我があったと答えた人の数は84人で、全体の約1.28%を占めていると考えられます。
CDCは、飼い主は可愛いペットが事故の原因になりうることを知っておく必要があると述べています。そのうえで、転倒による怪我を減らすために服従訓練が必要であるとも述べています。
転倒事故を防ぐために
petMDは、転倒による怪我の背後に伸縮リードの存在があるとしています。長いリードは犬に行動の自由を与えすぎてしまい、外の刺激に反応して突発的に走り出すことがあるのだといいます。また、リード巻き込み時に怪我をするケースも多く発生しているのだそうです。広い場所で自由に遊ばせる機会を除いては、普段の散歩においては長さが固定されたリードを使用した方が安全です。
愛犬に、リードを緩ませた状態で歩くように訓練することも、転倒防止につながります。飼い主さんの足の周りをウロウロすることをやめさせ、常に片側を歩くように教えること(heeling)も危険を減らすことにつながるでしょう。
この訓練は中型以上の犬だけでなく、小型犬にも有効です。小型ワンコの引っ張る力も案外力強いものですし、足回りをウロチョロされれば、場合によっては大人であっても転倒してしまうこともあるでしょう。
犬による転倒を防ぐためには、犬と人間が一緒にトレーニングをし、関係を築き、常に穏やかでいられるように努力することしかありません。
犬猫により引き起こされる転倒は、私たちが思うよりも頻繁に発生しています。女性や子供だけでなく、どんな年齢層の人にも発生しえることなのです。事故という不幸な出来事を起こさないためには、犬と一緒に訓練を。訓練にかけた投資は、治療費を節約できるという良い結果として戻ってきますよ。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Stevens, J. A., Teh, S. L., & Haileyesus, T. (2010). Dogs and cats as environmental fall hazards. Journal of safety research, 41(1), 69-73.
[2] Chan, E. Y., Gao, Y., Li, L., & Lee, P. Y. (2017). Injuries caused by pets in Asian urban households: a cross-sectional telephone survey. BMJ open, 7(1), e012813.
Featured image creditKarin Hiselius/ unsplash