「世界で最も賢い犬」と呼ばれたボーダー・コリーのチェイサーが2019年7月23日、虹の橋の向こうへ旅立ちました。15歳でした。
チェイサーは、サイスカロライナ州スパルタンバーグ出身。8週齢からWofford大学名誉教授のジョン・W・ピリー教授と働きはじめ、2018年6月に教授が亡くなるまで精力的に活動しました。
チェイサーは、1,022のオモチャの名前を記憶し、これらを識別して持ってくることができました。「モノには名前がある」という概念を理解したのは彼女が5ヶ月齢のころ。幼少(犬)のころから賢かったチェイサーは「羊の名前を覚えられることで有名になり、ピリー教授とともに仕事をする中では、「家」「木」「ボール」などの一般名詞のほかに、固有名詞があることも理解しました。また動詞、前置詞なども理解し、複数の文法要素をもつ文章も理解できたとされています。
2004年から3年間、チェイサーは一日4〜5時間、モノの名前を覚える訓練を続けました。「40回名前を言った後にチェイサーば隠されたそのモノを探す」というのが1回のトライアルですが、素晴らしい短期記憶をもつチェイサーは、たとえそれが初見のモノであっても一回の試行で名前を記憶することができました。
複数回トライアルを続ければ、長期にわたって記憶を保持することもできました。また新しいモノの名前を推察することや、模倣によって新しい行動を学ぶこともでき、犬の学習能力を世界に広く知らしめました。
ピリー教授は、動物は人間が理解しているよりずっと賢いという信念をもっていました。チェイサーも教授の期待を裏切ることなく次々と新しい記録を打ち立て、「犬は報酬システムに反応しているだけ」「限られたコマンドとトリックなら学ぶことができる」といった世間の常識を打ち破り続けたのです。
チェイサーは現在、サウスカロライナ州の墓地に眠っています。
家族は7月27日、チェイサーを偲ぶコメントを発表しています。「2019年7月23日火曜日、チェイサーはジョン・ピリーの冒険に加わるための、新しい翼を手に入れました」
「ピリーの妻である私サリー・ピリー、およびロビン、デヴは、彼女が去るその瞬間も一緒にいました。安らかで美しく、そして静かな旅立ちでした」
「彼女は最近まで元気いっぱいに過ごしていましたが、数週間前から急に体調が悪化し、自然に命を終えました。彼女は他の犬たちと同様に、ピリー教授の遺灰と共に眠っています」
「皆さんへのお返事が遅くなってしまことを、どうかお許しください。私たちは皆さんを愛し、そして感謝しています。チェイサーが遺した功績をお伝えし続けたいと考えています。彼女のストーリーはまだ終わっていません。私たちには彼女が灯した明かりを照らし続けなければなりません」
今年5月、the Hub City Animal Projectは子供博物館の敷地内にチェイサーの像を作ることを発表。
「世界一賢い犬」は新たな生をうけ、これからも世界中の犬を見守り続けます。
Featured image : Pilleybianchi / wikipedia