犬好きにとって、ワンコとの生活は癒しとぬくもりが感じられる陽だまりのよう。しかし、ワンコたちは単にペットとしてだけでなく、訓練を積んで危険な災害現場で働いたり、視覚や聴覚に障害がある人の支えになったりしてくれています。
わたしたちと同じようにワンコを愛する国アメリカには、色々な形で私たちを助け、癒してくれるワンコを表彰する賞が存在します。有名な賞の一つである”spcaLA National Hero Dog Award™ (国民のヒーロー犬賞)”の今年の受賞「犬」は、なんとネコのタラでした。
ヒーロー犬アワード2015とは
今回ご紹介する「ヒーロー犬アワード2015(Hero Dog Awards™)子供や動物への虐待および育児放棄に立ち向かう非営利団体”American Humane Association“が開催するものです。
8匹が競うヒーロー犬アワード
毎年恒例で行われるこの賞。アメリカ全土から集ったヒーロー犬たちは、警察犬や介助犬などの8つのカテゴリに分けられ、そこでのNoワンを競います。さらに、投票により今年の「NOワン!」が選出されるという流れです。投票はネットを通じて7月から9月まで行われ、9月19日に予定される授賞式(会場はなんとthe Beverly Hilton)で発表されます。専用のレッドカーペットも敷かれるという授賞式で、優勝犬にはヒーロー犬NO.1の称号と賞金が渡されるそうです。
投票権はアメリカ限定
残念ながら、日本からは投票することができません。アメリカ在住であれば、18歳以上の方が投票権を持ちます。WEBサイトから一日に一回投票できるため、毎日投票してもOK。お気に入りのワンコ達を期間中何回も応援することができるシステムになっています。
ファイナリストになったヒーロー犬たち
We're celebrating this July 4th holiday by announcing our 2015 Hero Dog Awards finalists! Congratulations to the eight…
Posted by American Humane Association Hero Dog Awards on 2015年7月4日
ファイナリストになったヒーロー犬ってどんなコだろう。彼らの活躍を、ちょっとだけですがご紹介します。お名前のアルファベット順に掲載していますよ。
・アクセル:介助犬のヒーロー
アクセル(Axel)は、戦闘地域から帰還後、PTSDを発症してしまった兵士たちに寄り添い、安心感を与える介助犬(セラピー・ドッグ)です。アクセルの助けを借りて元気を取り戻したハーグ海軍大佐(Captain Jason Haag (USMC, Ret.))は、「アクセルはぴったりと寄り添ってくれたので、平和で安心できる環境にいられた。アクセルがいることで、自分が戦闘知識にいるのではないことを自覚できた」と推薦文に寄せています。精神的な苦痛にさいなまれたパートナーを救ったアクセルは、癒しのヒーローと呼ぶにふさわしい犬ですね。
– チャリティ・パートナー:Dogs on Deployment (DoD)
・チャラ:盲導・聴導犬のヒーロー
チャラ(Chara)は、もともとは聴導犬として活躍してきた犬です。しかし、ハンドラーが筋ジストロフィーを発症してからは、聴導犬としての働くだけでなく、この症状に苦慮するハンドラーを助けるスキルをも身につけたスーパーワンコなのです。たとえば、痙攣などの発作があるときは、発作の前に察知し警告するようになりましたし、ハンドラーの息子さんが呼吸困難に陥ったときに周囲に注意喚起を行ったというのです。ハンドラーさんとの深い愛情から活躍の場を広げるチャラは、No.ワン!に選出されてもおかしくない素晴らしいワンコなのです。
・チャリティ・パートナー:Guide Dog Users Inc.
・ダックス:警察犬のヒーロー
法の番人といえば、ダックス(Dax)です。ダックスは、違反者を取り締まるために働く警察犬の中から選ばれたNo.ワン!。同僚でありハンドラーでもあるアルバリーニ(Officer Chris Alberini)さんを、実際に命の危機から救ったヒーロー犬です。2013年7月2日、容疑者捜索のために呼ばれたアルバリーニさんとダックスは、潜伏先とみられる家屋へ進入します。ダックスは屋根裏に容疑者が潜んでいることをいち早く察知、果敢に飛びかかって容疑者を制圧しました。この活躍なくしては、ショットガンで打たれていたであろうとアルバリーニさんは語っています。相棒の危機から救ったダックスは、最高の警察犬といえるでしょう。
・チャリティ・パートナー:K9s4COPS
・グローリー:火災現場で活躍するヒーロー
グローリー(Glory)は、火災現場に駆けつけて、放火の証拠を探し出すプロ。彼女の鋭い嗅覚は、放火を拡大させる助燃剤の成分である炭化水素化合物をすばやく検知し、被害拡大を防ぎます。こうした犬たちの活躍なくしては、原因物質等の発見に数週間かかるのだといいます。厳しい任務を遂行する消防士さんたちを癒す役割をも担っているともいいます。グローリーは、地域に火災の恐ろしさを教える活動にも意欲的で、学校などでの広報活動でも重要な役割を担っています。地域を守るひたむきなヒロインの姿に、感動しちゃいますよね。
・チャリティ・パートナー:ProjectPawsAlive.org
・グローリー:捜索救助犬のヒーロー
8歳のブラッドハウンド、グローリー(Glory)は迷子ペットの捜索・救助の訓練を受けた資格を有する犬です。これまでにも多くの家族の元へ、愛するペット家族を連れ戻した経験があります。高速道路の上、工場の片隅など、迷子ペットが身を寄せている先へハンドラーを誘導し、無事に保護することに成功しています。迷子のペットのために、何時間もひたむきに探し続けるグローリーは、ヒーローの名に恥じない勇気と忍耐力を見せつけてくれます。
– チャリティ・パートナー:The National Search Dog Alliance
・ハーレー:困難に立ち向かうヒーロー
ハーレー(Harley)は、10年間をパピーミルの狭いケージの中で過ごしました。現在は、暖かい家庭で元気に暮らすハーレーですが、長く厳しい生活環境から身体は痛めつけられ、片目の視力は奪われたままです。不幸な生い立ちをもつ彼の存在は、”Harley to the Rescue”という救助活動推進の原動力となっています。そして、彼自身も様々なイベントに参加して、命の大切さを伝え、パピーミルの撲滅を目指す活動に献身しています。生きるレジェンドともいえるハーレーは、まさにヒーロー犬を体現する一匹です。
– チャリティ・パートナー:New Leash on Life
・ハドソン(鉄道の子犬):セラピー・ドッグのヒーロー
「鉄道の子犬(the Railroad Puppy)」として知られるハドソン(Hudson)。3週齢のときに兄弟犬2匹とともに、ニューヨークの線路脇で発見され、救助されました。虐待の際に受けた傷の治療のために左後脚を切断されたハドソンは、以来、義足を使う日々を過ごしています。今ではフカフカではない脚ですが、そのことは彼の活躍を全く妨げるものではありませんでした。ハンドラーとともにセラピードッグチームを立ち上げ、活躍の場を広げることで、同時に動物虐待という問題を私たちに問いかけています。学校や病院、デイケアの施設などで活動するハドソンは、辛い過去を乗り越え多くの人に笑顔を与える、癒しのヒーロー犬です。
・チャリティ・パートナー:Hand in Paw
・ランボー:軍用犬のヒーロー
軍用犬だったランボー(Rambo)は、爆発物除去の仕事で功績を残し軍曹にまでなったアメリカン・ヒーロー。現役時代には、基地および地域コミュニティーで622のミッションに参加しています。時間にすると994時間も働いたワーカホリック犬でした。退役した現在でも仕事熱心なところに変わりはなく、老人の慰問を行ったり、子供たちと触れ合ったりと活躍の場は広がるばかりです。様々な団体のマスコットとして活動し、どの年代の人とも交流できるランボー。上院議員とも仲良しという交友関係の広さは、まさに地域の頼れる兄貴分といったところでしょううか。どこへ行っても愛されるヒーロー犬なのです。
・チャリティ・パートナー:America’s Vet Dogs, the Veterans K9 Corp
いかがですか?どのワンコも一生懸命に生き、他のワンコや人間、地域のために力を尽くしています。ひたむきなワンコの姿を見聞きすると、どの子にも賞をあげたくなってしまいますね。
あなただったらどのワンコに投票しますか?
[1] パピーミル(英語:Puppy mill)は、英語で「子犬工場」を意味し、営利を目的として犬などの愛玩動物を劣悪な環境下で大量に繁殖させるブリーダーのことを指す。puppy millの意味 – 英和辞典 Weblio辞書
[2] 鉄道の子犬:数年前に3匹の子犬たちが、虐待された状態で発見されたニュースがありました。わずか生後3週間で、どのワンコもつま先を負傷していました。発見されたのが鉄道の線路上だったので「鉄道の子犬たち」と呼ばれました。⇨参照:Hudson the Railroad Puppy Is Now a Therapy Dog With a “Blade Runner Paw” – Dogster
h/t to URL:2015 Voting | Hero Dog Awards, 翻訳:Stylo