犬たちは長い改良の年月の間に、犬種なりの個性と特性を育ててきました。
ジャンプが得意、走るのが早い、不審物の捜索に長けている、穴に隠れた動物を見つけるのが得意…。国際的な畜犬の統括団体である国際畜犬連盟(Fédération Cynologique Internationale)に公式に登録されているのは332犬種ですが、分類によっては数千犬種とも言われる中には、救助や捜索が得意という犬種もあります。
今日はそんな”お助け”ワンコたちをご紹介。メジャー犬種からマイナー犬種まで、捜索に長けた犬達が勢ぞろいですよ〜。
1. ラブラドール・レトリバー(Labrador Retriever)
家庭犬としても人気のラブラドールですが、優しい気質と訓練のしやすさから、補助犬としても大活躍。食べるのが大好き、遊ぶのが大好きという明るい性格のラブラドールは、訓練だって楽しんでしまう才能の持ち主です。
2. ジャーマン・シェパード(German Shepherd)
警察犬(K-9)や軍用犬として人間たちを助けてくれるの犬といえば、やっぱりジャーマン・シェパードです。卓越した捜索力と救助力から、1930年代にはすでに米軍に公式に認められる軍用犬として大活躍をしていました。
3. ボクサー(Boxer)
筋肉質のがっしりとした身体つきのボクサーは、ドイツで最初に警察や軍隊で採用された犬。体格の良さが注目されますが、実はとても賢い犬。トレーニングには知的な遊びを取り入れるのが良いと言われています。好奇心が強く訓練も好き、しかも飼い主に忠実と、弱きを助ける力強い文武両道のワンコです。
4. ドーベルマン(Doberman Pinscher)
筋肉質でスラリとした美しい外貌が魅力的なドーベルマン。彼らもまた、非常に知的な犬たちです。家庭犬としても人気がありますが、警戒心が強く番犬向き、すなわち”外に強面”な犬であるがゆえ、飼う場合には飼育環境やトレーニングを十分に考慮する必要があります。飼い主の忠実に応えようとする感性と頭の良さで、人間たちをお助けします。
5. オーストラリアン・シェパード(Australian Shepherd)
豊かな被毛、そして瞳の色に注目が集まる美しい犬オーストラリアン・シェパード。しかし彼らの特筆すべき点は、外貌の美しさだけではありません。何をおいても飼い主を喜ばせようとする性格が素晴らしく「飼い主の望んでいることを第6感で察する」と言われるほど。牧羊犬として有名なこの犬は、非常に多才であり、競技犬、麻薬探知犬、聴導犬、捜索犬・救助犬と様々な分野で活躍しています。
6. バーニーズ・マウンテン・ドッグ(Bernese Mountain Dog)
長いあいだ、スイス・アウプスの谷間でワーキング・ドッグとして活躍してきた犬。力仕事で頼りにされてきたワンコたちは、肉屋の犬、チーズ製造所の犬など、店の名前で呼ばれていたそう。従順で忍耐強い性格が人気のこの犬は残念ながら寿命が短く、概ね7歳から9歳ほどで虹の橋を渡るそうです。
7. ワイマラナー(Weimaraner)
トレードマークのシルバー・グレー単色の被毛は光沢に溢れて魅力的。あまりにも美しい犬であるために、作出したワイマール大公国では外界に触れないよう用心深く守られていたそうです。猟犬としての能力は非常に高く、従順で訓練しやすいだけでなく、”お助けワンコ”らしくとにかく飼い主を守りたいという欲求が強いそう。服従競技では素晴らしい成績を上げる、飼い主のプライドをも守り抜くワンコさんです。
8. ボーダー・コリー(Border Collie)
「世界で最も優秀な牧羊犬」とも言われるボーダー・コリー。敏感・機敏・仕事熱心。能力がある上、とにかく仕事するのが大好きなので、お仕事犬としては引っ張りだこ。もちろん捜索や救助にも、その力は如何なく発揮されます。
9. ブラッドハウンド(Bloodhound)
「魔法の嗅覚」を持つといわれる犬。有能なブラッドハウンドは、24時間前に人間が残した匂いをわずか18分でたどることができると言われます[1]。アメリカでは逃亡した犯罪者を600人以上見つけたという逸話も残っているとのこと。探索・捜索犬としての才能は天性のもののようです。
10. セント・バーナード(St. Bernard)
山岳救助犬といえば、セント・バーナードを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。雪崩に巻き込まれた人間を救助する役目を担ったのがこの犬種です。すでに18世紀末には救助犬として名を馳せており、ビクトリア朝の有名な動物画家、エドウィン・ランドシアの絵の題材にもなっています。
11. ベルジアン・マリノア(Belgian Malinois)
アクティブで訓練しやすいことで知られるベルジアン・マリノア。最近になって、警察犬として非常に優れていることが知られるようになり、母国のベルギーでは警察や税関で活躍しているそうです。与えられた仕事に常に真面目に取り組む理想的なお仕事ワンコです。
12. ボルトガル・ウォーター・ドッグ(Portuguese Water Dog)
漁師の仕事を助ける役割を果たしてきた犬。魚を追い込むという本来業務の他に、伝令犬としても活躍。このほか、非常に視力が良いという特徴を活かして、見張り犬としても大活躍したそうです。また、ほえ声は高低のある非常に特徴のあるもので、霧笛の代わりに吠えることで衝突を防ぐ役割も果たしたのだといいます。
13. アラスカン・マラミュート(Alaskan Malamute)
力強さと忍耐強さの代表選手、アラスカン・マラミュート。ソリ犬として力を発揮してきたこのワンコは、体重の半分の重量の荷を運ぶことができるそう。強靭さと持久力、そして我慢強い性格から、捜索と救助の世界でも力を発揮しています。
14. ダルメシアン(Dalmatian)
輸送警備犬として活躍してきた犬。その後、消防活動に従事するようになります。家事が発生すると、消防署員や消防に従事する馬を先導しいち早く駆けつけ、消防活動の間は馬車内からものが盗まれないよう警備犬として活躍しました。美しいだけでなく、火災から人々を守る為に力を尽くす犬として長らく活躍してきた”お助けワンコ”です。
15. ブーヴィエ・デ・フランドル(Bouvier des Flandres)
もともとは牧畜犬、運搬犬として使用されていた犬。今日では主に農場における番犬として、または防衛及び警察犬として活躍しています。頭の良さに加え、鋭い嗅覚と決断力を持つワンコで、仕事をするのも大好き。ネロのことだけでなく、広く私たち人間を守ってくれるのです。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] デズモンド・モリスの犬種事典―1000種類を越える犬たちが勢揃いした究極の研究書 | デズモンド モリス, 大木 卓, Desmond Morris
[2] 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ(JKC) – 世界の犬 : 1G 牧羊犬・牧畜犬 : ふ : ブービエ・デ・フランダース – BOUVIER DES FLANDRES
[3] Dog Breeds – Types Of Dogs – American Kennel Club
Featured image credit Roger Winkler / Flickr
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