集団感染対策はイヌにお任せ!〜病院内の衛生環境を守る細菌探偵犬(カナダ)

お仕事ワンコ
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2016年7月、バンクーバーの病院にフサフサ毛並みが美しい’細菌探偵犬’が就任しました。

彼の仕事は感染症を引き起こすクロストリジウム-ディフィシルという細菌を見つけ出すこと。この細菌は、病院や介護施設などで感染症を引き起こす恐れのある病原体であり、衛生研究所などから注意が呼びかけられているものです。

犬は、細菌が発する独特の匂いを察知する

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image by CityNews

厳しい訓練を終え、バンクーバーの病院(Vancouver General Hospital)に就任したのは、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルのアンガス(Angus、2歳)。彼の任務は、病院内に潜むクロストリジウム-ディフィシルという細菌を見つけ出し、ハンドラーに知らせることです。

クロストリジウム・ディフィシルとは腸の疾患を引き起こす細菌で、入院中の抗菌薬関連下痢症の20〜30%、偽膜性腸炎の90%を占めるものです[1]。下痢のほか、発熱、食欲不振、吐き気、腹痛、脱水が見られることもあり、軽い下痢症状に留まる場合もあれば、重症となり、腸閉塞・消化管穿孔・敗血症を起こしたり、死亡する場合もあるといいます[2]

免疫力の下がった人たちが集まる場所でこうした感染症を防ぐことは、治療と同じくらい重要なことです。発生を防止するためにはまず、細菌が潜む場所を特定し根絶しなければならないのですが、人間の肉眼で細菌を発見するのは不可能です。

細菌発見の秘策として投入されたのが、アンガスです。彼の仕事場所は、最も清潔でなければならない病院の、しかも新しい患者を迎える部屋だというから驚きです。

感染症を経験したハンドラー「予防のためにできることを」

どこよりも衛生的であるべき病室ですから、アンガスは素早く、無駄な動きをすることなく仕事を終えなければなりません。病室等で必要な確認を済ませたら、ウロウロすることなく所定の場所にお座りするそう。細菌チェックは通常、紫外線ライトを使って行いますが、アンガスはもっと早く、もっと正確に確認することができるそうです。細菌が特定された場合は、最先端のロボットがその場所を洗浄します。

世界で唯一のクロストリジウム・ディフィシル探知犬(※)は、ハンドラーであるツールベルグさん(Zurberg)の経験から誕生しました。クロストリジウム・ディフィシルに感染し、一度は死の淵を彷徨った経験を持つ彼女は、他の人にそうした辛い経験をさせたくないとアンガスの訓練を始めます。探知犬育成の資格を持つハンドラーは1年をかけて、アンガスに探知犬としての試験に合格させました。「アンガスはこの仕事に向いているの。いつだって忍耐強く、エネルギーに溢れ、活動的で自発的。そして探索への情熱に溢れているわ」

※ オランダで活躍していたクリフ(Cliff)が引退したことで世界唯一となった

病院側も、初めから全く問題なくアンガスを受け入れました。「みんな犬を飼っているからかしら。ダメって言った人は一人もいなかった」

憎き細菌を、それが高い場所にあっても低い場所にあっても、カップボードを前脚で開けてでも探し出すアンガス。資格の更新に必要な能力及び健康診断は、毎年受ける必要があるということです。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 鹿児島大学医学部Web
[2] 横浜市衛生研究所:クロストリジウム-ディフィシル感染症について

Featured image credit TheVillagesSuntimes

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