このほどイギリスで行われた信頼度調査[1]で、獣医は、95%という高い割合を獲得し、絶大な信頼を勝ち得ていることが分かりました。
獣医師への信頼度が高い英国
マーケットリサーチ会社、ICM Unlimitedが3月18日から20日まで行ったオンライン調査には2002人が参加しました。調査の回答割合は、「動物病院に行く」が53%、「動物病院に行かない」が11%、そして「ペットを飼っていない」が38%でした。
信頼度は「まあまあ信頼している」が61%、「信頼しきっている」は34%あり、合わせて95%の人が信頼していることが分かりました。この数字は、検眼医と同率で、一般開業医(93%)、歯科医(90%)、警察官(79%)を上回る結果です。
また、獣医のもとを訪れた人で、診療対応に「非常に満足」が38%、「満足」は40%あり、78%は、ほぼ満足していることが分かりました。ちなみに、この数字は、一般開業医の77%を上回っています。
でもやっぱり高いよね、と思っている人は30%程度
「金額に見合う価値がある(value for money)」という点では、70%が「適正」、「良好」、「優良」という評価を付けています。概ね良い評価を得ている獣医ですが、「金額に見合う対応」という点で、30%が「よくない」、あるいは「全くよくない」という評価を行っていることが気になります。
“Value for Money”は「支払(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)を供給するという考え方のこと[2]」という考えです。これに対する「不満足」回答が30%寄せられているということになります。別のサイトでも、「処方箋料が高い」、「高額な商品を勧められる」などの苦情を見かけることがあります。
人を診る病院でも、「医は仁術なり」を基本理念としながらも、大きな病院ほど経営手腕が問われるのは仕方ないことかもしれません。民間の動物病院ももちろん、利益を上げることが求められます。格安な初診料を提示すれば、新しい患者を多く取り込めるでしょうが、入口は安くても、注射やサプリメントなどいろいろと付加され、結局高額になったという例も少なくはありません。
飼い主さんが「良い獣医さん」を見極める目を養おう
日本でもペットブームなどを受けて、獣医志望や動物病院開業が増加しているといいます。病院等が増えれば過当競争になるのは当然のこと。そうなると、どうしても、経営を維持するための方策を取らざるを得なくなります。検査や投薬が多くなる、関連商品を勧める、ペットショップと慣れ合いの関係になるなど、問題が多くなるのかもしれません。
素晴らしい設備を持った、ホテルのような病院があるでしょう。優秀な獣医を揃えた病院もあるかもしれません。しかし、最終的には獣医がどれだけ動物に愛情を注いでいるか、親身になって相談に乗ってくれるかを見極める目を、飼い主側が養う必要があるのでしょう。
h/t to Do vets need more business sense? – Telegraph
[1] Public trust in the professions – May 2015 | VetFutures
[2] バリュー・フォー・マネー(VFM、Value for Money)|内閣府 PFI事業導入の手引き
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