犬の嗅覚が人間のそれより優れているというのは、犬の飼い主でなくともご存知のことでしょう。匂いをキャッチする受容体の数が桁違いに多い犬は、脳も匂いの分析に働くようにできており、嗅覚の鋭さは人間の1万〜10万倍とも言われています[1]。
いろんな匂いを敏感にキャッチし、それにより刺激を受けるワンコたちですが、彼らにも苦手なニオイがあります。防虫剤やアンモニアなど、人間も嫌いな匂いもありますが、人間にとっては好ましいニオイであっても犬にとっては「クサッ!」となるものもあるのです。
口にしても安全なもの
・シトラスの匂い
レモン、ライム、オレンジやグレープフルーツ。私たちの気持ちをリフレッシュしてくれる爽やかな香りは、実は犬にとっては好ましいものではありません。全ての犬が忌避するほどではありませんが、レモンやオレンジの強い匂いを嫌う犬は少なくないのです。
幸いなことにこれらのフルーツは、犬が口にしても毒性がある食べ物ではありません。齧られては困る家具や、近寄って欲しくない場所に、絞り汁(あるいはジュース)を水で薄めたものをスプレーしておくというのは、愛犬のいたずらを防ぐ戦略的な方法です。カーペットや家具に使用する場合は、目立たない場所に試験的にスプレーし、色落ちなどを確認しておきましょう。
・お酢・ビネガーの匂い
お酢(ビネガー)の匂いが大嫌いという犬は、かなりの数に上ります。掃除や匂い取りに大活躍のお酢ですが、犬のニオイを消すために彼らに塗りつける(!)という使い方は、絶対にやめましょう。一方で、これも口にしても毒ではないものですから、カーペットや家具のカミカミ防止剤として使用することができるものです。近づいて欲しくない植物に吹きかけることも出来なくはないですが、繊細な植物を弱らせることもありますので、使用の際は少量で試してからにしましょう。
・チリパウダー・タバスコなどの刺激物の匂い
お料理にパンチを効かせたいときに使用する辛い調味料(チリパウダー、タバスコ、唐辛子パウダー、カプサイシンを含む食べ物など)なども、犬が嫌うニオイです。人間にも刺激を感じる匂いですから、犬たちにとってはかなり強く不快であることが推測できます。口にしても毒になるわけではありませんが、刺激が強すぎることは間違いないですし、人間がパウダーを手につけたまま誤って目をこすって酷い目に遭う可能性も考えられます。家具などに使用する忌避剤として使用するのはやめましょう。
口にすると毒になる可能性があるもの
・防虫剤の臭い
防虫剤は、虫除けだけでなく犬除けにもなるようです。人間も嫌う臭いですから、人間避けにとも言えるでしょうか。
締め切った場所で虫除けを使うと、人間もピリッと感を抱くことがありますよね。犬たちにとっては、かなりの刺激臭になるはずです。固形の防虫剤を使用するときは、犬の肉球の届かない場所に置くこと、スプレータイプを使用するときは、直接体にかかってしまうことがないように気をつけましょう。刺激になるだけでなく、口にすると毒にもなります。
・アンモニアの臭い
アンモニアも、チリパウダーなどと同様に、犬にとっては刺激の強すぎる嫌な臭い。濃度の低いアンモニア水を忌避剤として使用しても毒にはなりませんが、例えばシトラス水やビネガー水と比べれば危険度は高いものです。
・タバコやアルコールの臭い
個体差はありますが、タバコやアルコールも刺激が強く、これを嫌う犬は少なくありません。これらは犬が口にすると健康に大きな害を及ぼすものでもありますから、犬たちの肉球が届かない場所に置くように、常に細心の注意を払うようにしましょう。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] NOVA – Official Website | Dogs’ Dazzling Sense of Smell
Featured image credit Christine und David Schmitt / Flickr