ペットだって、町を代表する存在なんだという声が高まったようです。
スペインにある小さな町で、犬と猫を「人ではない町民」とみなし、その権利を尊重する法令が決議されました。
犬や猫に権利を認める「レネド宣言」
犬や猫に町の住民としての権利を認める法令が決議されたのは、スペインにある小さな町トリゲロス・デル・バレ(Trigueros del Valle)。スペインで初めて人間以外の生き物に権利を認めた自治体となりました。330ほどの住民のほとんどが、このユニークな法令に賛成の意思を表明したそうです。
「レネド宣言(Renedo Declaration)」と呼ばれるこの法案は、議員全員が参加する会議において、投票によってなされました。そして、続く町の議会でも満場一致で可決されました。
13の条文から成るレネド宣言には、「全ての住民は平等であり、同じ存在の権限がある」や「住民は人間か動物かにかかわらず、尊重される権利がある」といった内容が含まれています。
エスピノザ町長(Pedro J Pérez Espinosa)は「犬や猫は、1000年以上もの間、私たちと暮らしてきました。町長は人間の意思だけでなく、人間以外の意見を取り入れるべき存在です」との考えを明らかにしています。
動物に人間と同じ権利を与えるということ
宣言には、犬猫の権利を認めることに加え、動物に対する虐待などの行為に強く反対する条文が含まれています。
たとえば、「人間以外の町民を、人間の娯楽または気晴らしとして扱ってはならない(9a)」や「人間以外の町民を遺棄することは残酷かつ下劣な行為である(6b)」などがその条文です。スペイン中の動物愛護団体がこの宣言を賞賛しており、これが国全土に広がってくれることを願っています。
さて、スペインといえば闘牛。でもトリゲロス・デル・バレでは、闘牛などの動物を使った暴力的「スポーツ」にもNoを突きつけたことになります。スペインでは伝統的に行われてきた闘牛ですが、2010年にカタロニアがスペイン本土初の闘牛廃止の評決をとったことを始めとして、近年では厳しい監視の元におかれているようです。
「動物の権利と文化」というテーマは、日本でも議論される難しい問題です。国や世界で見解を統一させることは極めて困難ですが、この町のように規模の小さな組織体であれば、住民の意思を確認し、その意見を反映させることが叶うのですね。
アメリカでは今年5月、大学のリサーチラボの四匹のチンパンジーを所有物ではなく法的に人と認める決定が裁判所によりなされました[1]。人と同じ権利を認めるのが良いのかはわかりませんが、人間の勝手で動物達の自由を奪ったり傷つけたりすることは、やってはいけない行為だと思います。法令でそれをやめさせることができるのならば、やっぱり有効なのかもなぁ。
h/t to Spanish town votes to give cats and dogs same rights as humans – Independent.ie
[1] Judge Recognizes Two Chimpanzees as Legal Persons, Grants them Writ of Habeas Corpus : The Nonhuman Rights Project
Featured image by Liliya Kulianionak / Shutterstock