犬もテレビを見ているの?〜品種や個性によって「テレビっ子」になるか否かが決まるみたい

生態・行動
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テレビ番組を楽しんでいるワンコさんを、時折見かけますよね。

サッカー観戦に興じたり、競馬で走るお馬さんに夢中になったり。その姿は、テレビ番組を観て楽しむわたしたちの姿と、大きな違いはないように思います。

彼らはテレビ画面に映っているものを、どのように「見て」いるのでしょうか。

テレビ番組は犬の目に、どんな風に映るんだろう?

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おてれび、観すぎた © Ermolaev Alexander / Shutterstock

どうやら犬たちは、テレビに映っているものが何であるかを、ある程度特定できるようです。2013年に”Animal Cognition“に発表された論文[1]によれば、犬は視覚によって対象を識別したりカテゴライズすることができるそうで、他の動物の中から「これは犬だ」と判別できるのだといいます。

また犬はヒトと同様に、網膜上に像を結びこれを脳に伝えて「見える」という感覚をもちますが、網膜にある光の刺激により興奮する細胞の構成が異なっているため、ヒトに比べて色覚が劣っています。赤い色に対して敏感な錐状体が少ない犬たちに赤い色は見えにくく、青と緑、およびその組み合わせによってものをみていると考えられています[2]

さらに異なる点は、犬の目が人間よりも速く画像を感知するということです。獲物を襲い倒す必要があるため、眼球を動かすための筋肉はよく発達しており、性格で機敏な眼球の動きが可能なのだといいます[2]。タフツ大学のドッドマン教授(Nicholas Dodman)は、昔のテレビは毎秒表示できるコマ数が少ないため、「犬にとってはチカチカして見える」と語っています[3]

こうした研究成果を活用しているのが、あのDOGTVです。色覚が劣る犬たちにあわせて番組内の色彩を調整し、HDTVという高度な放送方式であることを十分に活用して1秒ごとに表示されるコマ数を多くすることで、犬たちを惹きつける番組をつくっているのだそうです。

世界の犬たちを魅了するDOGTVの秘密は、こんなところにあったんですね。

テレビ好きな犬かどうかは、品種や個性によって異なる

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いろいろ、ちがう © Dora Zett / Shutterstock

うちのコ、テレビはあんまり好きじゃないみたい。そう仰る飼い主さんもいらっしゃるでしょう。うちの犬も、視覚的にテレビに魅了されることは殆どありません。

テレビの中の犬が吠えるのを聞いて、興奮してしまう犬がいます。テレビに登場する動物に向かって吠えるコもいれば、それに飽き足らず、テレビの後ろを確認するコもいます。一方でテレビに鈍感な犬もいて、テレビで犬を見てもあまり関心を示さないコもいます。

ナショナル・ジオグラフィックの記事では、テレビ好きか否かは犬種や個性による、とまとめています。犬の個性、たとえば気質な嗜好などによって、テレビ好きか否かが分かれるのではないか、としています。

そして、品種によっても違いがでると指摘しています。たとえばハウンド種は、嗅覚刺激に反応に比べると視覚刺激による反応は薄いそうです。一方牧羊犬は、小さな画面上の動くものに大きく反応するといった具合です。確かに、品種によるこうした違いは、テレビ好きかどうかに大きく影響しそうですよね。


「テレビを観るか否か」というテーマ一つをとってみても、ワンコごとに違いは出るんですね〜。ところで、やっぱりテレビの見過ぎは近視になるのでしょうか。ちょっと気になります。

h/t to Why Do Dogs Watch—and React to—TV?, 翻訳:小林美紀


[1] Autier-Dérian, D., Deputte, B. L., Chalvet-Monfray, K., Coulon, M., & Mounier, L. (2013). Visual discrimination of species in dogs (Canis familiaris). Animal Cognition, 16(4), 637–651.
[2] 猪熊寿. (2001). 『イヌの動物学』. (林良博 & 佐藤英明​, Eds.). 東京大学出版会.
[3] Why Do Dogs Watch—and React to—TV?

 
Featured image from Patryk Kosmider / Shutterstock

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