犬に靴は必要か?〜飼い主さんが判断するための材料まとめ

お世話・グルーミング
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犬に靴を履かせるか否か、というのは飼い主さんにとって悩ましい問題ですよね。犬はそもそも靴なんか履かないわけだから不要だとも思えるし、履かせたほうが良いように感じる状況もある。さて、どう判断したら良いのでしょうか。

今日はそんな「靴問題」について、考えてみたいと思います。

「犬を守るため」なら犬靴は必要

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冷たすぎるのが苦手なワンコもいる image by Photology1971 / Shutterstock

靴を履かせる理由はいくつもあると思いますが、『犬に洋服の良い点・悪い点』でお伝えしたとおり、一般的に犬服に求められる機能といえば愛犬を守ること。犬靴についても同じことがいえるので、肉球を傷つけるような過酷な状況において靴を履かせるという選択は、犬のための良い選択ではないかと思います。

一方で、オシャレをさせたいという理由であれば、愛犬のためではなく人間のための選択です。そもそも、犬は靴を履かないのが自然な状態。人間のエゴを満たすためだけなら、特に必要はないでしょう。

ハードなお外遊びにはブーツを履かせたほうが良い

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肉球にやさしいの image by LiniaS / Shutterstock

普段の生活の中なら、犬靴の必要な局面はそれほど多くないと思います。しかし、ご主人のレジャーに同行するアクティブワンコなら話は別。日常生活と大きく異なる環境でのアドベンチャーには、犬の安全にも注意が必要です。

たとえば山登りの場合、焼けたアスファルトや腐葉土の道を歩いたり、冬であれば氷や雪道を長時間歩いたりすると、肉球が切れたりマメができたりして数日間歩けなくなることもあるそうです。溶岩の岩場や、除雪剤などの化学薬品、砂利や麦や稲などの切り株などでの怪我も心配です。

1994年創業の犬用アウトドア・ブランド「RUFFWEAR(ラフウェア)」の公式ブログ内で、開発担当のパトリック・クルスさんはこう振り返っています。

ブーツ(Grip Trex™)を開発する以前にも、愛犬をマウンテンバイクの旅に連れて行っていました。その頃は、犬にブーツなんて必要ないと思っていたんです。けれどその後、開発段階のGrip Trex™を愛犬「オーティス」(オーストラリア・キャトルドッグ)に履かせてみたら、27キロを走った後も、30分足らずの休憩の後にまた走ることができたんです。

山道を一緒に走った後は3日間ほど、なるべく足を使わないようにして過ごしていたブーツを履く前のオーティスと比べれば、すごい変化でした!単なる筋肉痛だと思っていたのですが、実際は石道を歩くことによる打撲や足裏の痛みのせいだったんです。イヌ用登山ブーツは犬の脚(肉球)を防御する役目を果たしてくれるのです

「ハードなお外遊び」をするときは、特別な用途のために開発されたイヌ用のギアを装着してあげたほうが良さそうですね。店舗などで相談し、実際に履かせてみて決めることをお勧めします。

災害救助犬のブーツ使用はハンドラーの判断による

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ハンドラーさんはわかってくれる image by Marcella Miriello / Shutterstock

ブーツをはくと、イヌのパフォーマンスも数段アップ。そしてイヌの体にもやさしいと聞けば、可愛いワンコに靴を履かせたほうが良いように思いますよね。

それが、災害現場での救出活動なら、「働くワンコに靴を!」と思ってしまうのは自然かもしれません。ただこうした環境下で活動する犬の場合、靴を履かせることが必ずしも正しいとは限らないということには、注意が必要です。

2014年に起きた広島土砂災害で災害救助犬が出動したことは、ご記憶の方も多いと思います。このとき、認定NPO法人 日本レスキュー協会さんには「災害救助犬にも足を保護するブーツを履かせてほしい」との訴えが多数寄せられたそうです[2]。過酷な状況で働く犬をみて、そう訴えたくなる気持ちは痛いほどわかります。協会のほうでも「犬たちの脚を守ってあげたい」と思って、検討がなされたようです。

ただ、このときは結局、犬にブーツ着用はさせませんでした。この判断を行ったのは犬のパートナーとなるハンドラーさんで、現場状況を把握したうえで、救助犬たちができるだけ身を守りながら良い仕事ができるとして決定したのだそうです。

犬たちは足の裏(パッド)から多くの情報を得ているそうで、その情報源を遮断してしまうことは、逆に犬を危険にさらす恐れもあるようですね。爪による踏ん張りが効かなくなることもあるようで、当時の広島土砂災害の現場ではむしろ履かせないことが安全を確保できると判断されたようです。

ちなみに、国際的な災害救助犬基準においても、ブーツを履かせることが義務としているわけではなく、やはり現場でハンドラーが判断しているのだそうです。

必要か否かは、犬をよく知る飼い主さんが判断する

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靴、いらないよ image by Rita Kochmarjova / Shutterstock

RUFFWEARと災害救助犬の例から得られるメッセージは、「靴を履かせるか否かは、ワンコをよく知る飼い主さんが最終的に判断を下すのが良い」ということではないでしょうか。もちろん、専門家やブランドなどの担当者さんのアドバイスを聞いたうえでのことではありますが。

履かせると決めたなら、靴選びを楽しみましょう。でも、ちょっとその前に、人間のブーツと同様にイヌのブーツにも慣らし期間が必要なので覚悟をしておきましょう。靴を履くことは、犬にとっては初めての経験ですし、上述のとおり肉球から得ていた様々な情報が遮断されることになるので、運動能力にも大きな影響があるでしょう。

何事も始めが肝心。ワンコが恐怖心を払拭できるよう、上手に誘導してあげなければなりません。最初に登山ブーツはかせたときは、「ブーツダンス」と呼ばれるヘンテコな動きをすることが知られていますが、あまり嘲笑してはダメ。ワンコが「もういや!」って思うかもしれません。靴をはかせたら、すぐにその犬が好きな遊び、例えばボール遊びやモッテコイ遊び、あるいは一緒に駆けっこなどをして、「ブーツ=楽しいこと」と覚えてもらいましょう。個体差はあるものの、案外早く慣れてくれるようですよ。

この慣らし期間が終われば、ワンコのブーツ装着も準備完了です。


これから、ワンコと一緒にアウトドアを楽しもうと思っている、とか、災害に備えて靴に慣れさせておきたいとお考えの飼い主さんは、犬靴について検討をはじめてはいかがでしょうか?

新しく靴を買ってみたよ!という方や、初めて靴を履かせたときは大変だったという経験をお持ちの飼い主さんは、その楽しい体験をぜひこちらまでお知らせくださいね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] 【ネパール地震】救助犬の靴について | 国際協力NGO ピースウィンズ・ジャパン(PWJ) によれば、「靴を履かせることにより、 ➀犬の汗腺がある足裏の肉球を塞ぎ、熱中症に繋がる可能性がある、➁ぬかるんだ場所で靴を履かせることで、踏ん張れず、逆に足が滑って怪我をする可能性がある、➂登り上がるときに爪を立てて引っかけることができず危険である、などの懸念があります」とのことです。
[2] 災害救助犬のブーツについて | 災害救助犬・セラピードッグを育成、派遣する認定NPO法人 日本レスキュー協会

Featured image from Vitaly Titov & Maria Sidelnikova / Shutterstock

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