犬もしゃっくりをします。特に子犬は本当によくしゃっくりをするものです。人や犬だけでなく、横隔膜を持っている生き物は全て、しゃっくりという現象に襲われるのです。
犬にも起こる「しゃっくり」
しゃっくりとは、「横隔膜の痙攣 (けいれん) により、急に空気が吸い込まれ声門が開いて音を発する現象」(デジタル大辞泉)です。すなわち、横隔膜をもつ生き物は全て、しゃっくり現象を経験する可能性があるということになります。
犬もしゃっくりをします。とりわけ子犬はしゃっくり現象に襲われることが多く、子犬が成熟する中で経験する”成長痛”のようなものだと考える獣医もいるそうです[1]。しゃっくりは一般的に成長につれて減少し始め、8ヶ月〜1年であまり起こらなくなります。
似たような症状に「逆くしゃみ」がありますが、これは鼻から空気を吸い込むことによって起こる不随意運動で、声帯が閉じるしゃっくりとは異なります。
犬のしゃっくりは数分で治る短いものもあれば、数時間続く長めバージョンもあります。
なぜ犬のしゃっくりが起こるの?
しゃっくりが起こる原因は、まだよくわかっていません。犬についても同様で、明確な理由がなくても起こりますが、食べ過ぎや飲み過ぎ、疲労、激しい興奮、冷たい空気の吸い込みによって起こることが多いようです。
しゃっくりが子犬に多いのは、エネルギーと興奮のレベルが成犬に比べて高いからだと考えられています。身体が未熟なために起こるとも説もあります。さらに、「母親の胎内にいたときの名残である」という説もあります。胎内でのしゃっくりは多くの哺乳動物で報告されており、子犬が外での呼吸にに慣れるまで、しゃっくりが続くというのです。
まれに呼吸器障害、肺炎、喘息、心臓発作または心膜炎などが、しゃっくりの原因になっていることがあります。症状が数時間続く場合や、ゼーゼー音が加わったとき、呼吸が不規則になったり呼吸困難な様子がみられたときは、獣医師の診察を受けましょう。また筋弛緩剤やその他の薬剤の影響により、しゃっくりが引き起こされることもあります。投薬の影響が疑われる場合も、獣医師に相談しましょう。
どうすれば止まる?どう手助けできる?
しゃっくりは、肺が環境に適応すれば自然に止まるものです。人間界では「水を飲む」とか「息を止める」とか「びっくりさせる」などの民間療法がありますが、実際に機能するかはわかっていません。
犬のしゃっくりが止まらないからといって、犬をびっくりさせるのはやめましょう。しゃっくりが止まる可能性より、犬があなたに不信感を抱く可能性の方が高いです。
どうしても助けの手を差し伸べたいのなら、以下の方法を試してみてください。
- 犬の呼吸が穏やかになるよう、背中や胸をさすってあげましょう
- 水を飲ませましょう。フルーツを加えるなど甘みを加えてあげると呼吸を整えるのに役立つことがあります
- 部屋を暖かくしてあげましょう
- フードをゆっくり食べてもらう工夫をしましょう。急いで食べることが原因になることがあります
まれにしゃっくりが長時間続く場合、投薬治療(横隔膜の筋肉を緩める薬剤が使用される)や手術での治療も選択肢になってきます。しかし、本当にごくごく稀なケースです。
繰り返しになりますが、子犬であれ成犬であれ、しゃっくりは自然におさまるです。しゃっくり現象が始まったからといって、遊びを中断する必要も、心配しすぎる必要も、びっくりさせる必要もありません。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Can Dogs Get Hiccups? – American Kennel Club
Featured image credit Pål-Kristian Hamre / Flickr
犬のくしゃみと逆くしゃみ〜病気か興奮か?その原因と対処法を探る | the WOOF イヌメディア
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