犬は65歳以上の健康を守る〜飼い主は1日平均22分多く歩く(英研究)

サイエンス・リサーチ
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犬を飼うことは、高齢者の健康維持に大きく貢献するようです。最近発表された研究により、犬の所有者は非所有者に比べ一日平均22分多く歩き、座り時間が大幅に短いことがわかりました。

65歳以上の犬の飼い主は適度に活動している

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お散歩、まだ? image by Tony Alter / Flickr

リンカーン大学とグラスゴー・カレドニアン大学の研究者らが行った最近の研究によれば、犬を飼うことは高齢者の活動レベルを維持することに役立っているそうです。

犬の所有者は一日にして平均22分多く歩き、2760回多くステップを踏むそうです。また、運動量の増加だけでなく、これを適度なペースで行なっていることもわかりました。犬の所有者の歩行ペースは1時間あたり3マイル(約4.8km)で、これは米国疾病予防管理センター(CDC)が考える”中程度の強度”に該当します。先行研究は、”中程度の強度”の歩行は高血圧、高コレステロール、2型糖尿病のリスク低減に効果があることを示しており、人々は適度に歩くほど健康効果が上がると言われています。

活動の総量を総合的に分析

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遊びましょ〜 image by Oscar Rohena / Flickr

「犬を所有することが、活動が増しても高齢者の健康を改善する可能性があるかどうかを評価することに興味がありました」と語るのは、プロジェクトリーダーであるミルズ博士(Dr Daniel Mills, a Professor of Veterinary behavioral medicine at the University of Lincoln)。これを明らかにするために研究者らは、参加者(43匹の犬とその所有者および非所有者、人間はいずれも65歳以上)にactivPALというモニターを装着し、身体活動(PA)および座る行動(SB)を測定しました。

activPALでは数値的な情報のほか、立ったり歩いたりのパターンや参加者の活動の強さを測定できます。防水のため夜間や入浴中も継続して使用でき、参加者たちは3週間や1週間などまとまった期間のこれを装着していました。データは1年間にわたり収集されたということです。「参加者は24時間モニターを見につけました。これにより、活動の総量についての真の洞察が得られました」とミルズ博士は語っています。

これらの客観的データに加え、飼い主による質問紙からの回答が併せて分析されました。研究者らは、犬の所有者の活動量に驚いたといいます。

犬を飼うことは”頻繁な動作”につながる

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さぁ、いくわよ〜 image by Michael Brace / Flickr

研究では、犬の飼い主はじっとしている時間が短いということもわかったそうです。座っている時間に大きな差はなかった一方で、立ったり座ったりの動作の頻度は、犬の飼い主の方が明らかに多かったというのです。

具合が悪いなと思うときでも、立ち上がってちょっと体を動かすだけで気分が良くなることはありますよね。起き上がり移動するだけでも、肉体的および精神的健康の向上にしっかりと効いてきそうです。WHOは、週に150分ほど中程度以上の運動を推奨していますが、犬を飼うだけでこの基準をほぼ達成できてしまいます。

孤独感を癒し、活動レベルの維持にも役立つ犬たち。高齢者が犬と暮らすというのは、やはり素晴らしいことのようです。もちろん犬を適切にケアできるか、そして将来にわたりケアし続けることができるかは、常に十分に検討をすべき問題ではありますが。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Dall, P. M., Ellis, S. L. H., Ellis, B. M., Grant, P. M., Colyer, A., Gee, N. R., … & Mills, D. S. (2017). The influence of dog ownership on objective measures of free-living physical activity and sedentary behaviour in community-dwelling older adults: a longitudinal case-controlled study. BMC Public Health, 17(1), 496.

Featured image credit luckyno3 / Flickr

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