イヌ社員が働くオフィス〜4本脚スタッフの受け入れに必要なこと

世界の犬事情
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犬が職場にいるとスタッフのストレスレベルが下がるとか、犬の存在がチームの結束と信頼を促進するとか。犬が職場にもたらす利点には様々なものがある模様。

心理学者のColarelli氏は「犬はストレス、心拍数、血圧を下げ、社員は孤独を感じにくくなる。また、犬がオフィスにいるとき、人々は親しみやすくなり、親しみやすさを感じる。さらに、メンバー間の協力や積極的な行動を増やす可能性が高くなる」とコメントしています(The Guardian)。

英国ネスレがイヌ社員を迎えるまで

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会議中です! image by Lottie / Flickr

利点についてはよくわかるし、そうなればいいなぁと思っても、実際に導入するのはなかなか難しいものです。社員数が少ないとか、社歴が短いなどで比較的コンセンサスを取りやすい企業であれば道は開けるかもしれません。一方で、社員が多い大企業にはハードルが高い難題でしょう。不幸な人を生み出すのなら、なんのために施策を実施するのかわからなくなってしまいますよね。

大企業はどのようにイヌ社員を迎えるのでしょうか。ネスレUKは2015年より、本格的に愛犬同伴での出勤を制度として導入しています。Gatwick本社に出勤するイヌ社員は、平均25匹ほどに上ります。

ネスレといえば、ネスカフェやマギー・ブイヨン、キットカットなどで有名の大企業。愛犬家ならPurinaブランドの会社で通るでしょうか。英国法人のGatwick本社だけでも1000人超の社員が働く大きな会社です。

2015年初頭には、すでに「犬に優しい会社」として知られるようになっていた同社ですが、そこに至るでまでに長く入念な準備期間がありました。Gatwickに事業所を移転した2012年、それまではPurinaのペットケア部門のみに許されていた犬連れ出勤を全社に広げようとプロジェクトが立ち上がりました。実際に制度としてスタートしたのは2014年のことですから、プロジェクトの開始から2年は事前の準備に費やしたということになります。

「一緒がいいね」という考え方

ネスレUKの人事担当ディレクター、Steadman氏はHR magazineに、制度を作るためには時間をかけること、そして熱意だけでなく懸念事項も処理することが重要であると答えています。ポイントは、イヌ社員の選定、犬と離れていたい人に配慮すること、複数部門での協働、社員が納得し自発的行動にうつるまで待つことであるようです。

同社に”常勤”が許されるイヌ社員は、健康や行動についての一定の基準を満たしていなければなりません。飼い主である社員についても同様です。試験にパスしたのちも、試用期間が設けられ、実際の職場での行動がチェックされます。制度発足以来、基準をパスした犬はわずか50匹。人間社員と同様かそれ以上に狭き門を通過しなければなりません。

犬と離れていたい人については、「犬がいないエリア」を作るなどで対応しています。アレルギーは大きな問題ですが、これについては専門家のアドバイスを受け施設や設備の見直しを行ったそうです。エレベーターやミーティングルームは完全に分離されていますし、食堂など、4本脚社員が肉球プリントを残すことは一切許されないエリアもあります。

ネスレUKの同制度の導入は、「ペットと人は一緒にいた方がより良い」という考え方にに基づくものですが、これ以外にも「ネスレは新しいことへの挑戦を歓迎する」というメッセージを発信する目的もあるのだそう。確かに、多くの人を巻き込まなければならないプロジェクトの完遂は、「犬に優しい会社」というイメージ戦略以上の会社の姿勢のアピールになっている印象です。

前出のSteadman氏は、「(制度の内容は)会社の規模や設備などによって変えれば良い。とにかく事前の考慮が必要で、焦って導入するのはダメ。社員との関わりを増やし、彼らがどう考えているのかを確認して、その情熱に寄り添いつつ懸念事項をつぶしていく」ことが必要と述べています。

h/t to Dogs in the office: How Nestlé makes it work

Featured image credit Kristopher Volkman / Flickr

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