犬は飼い主の特性を反映する〜あなたがリラックスすれば犬も穏やかに(研究)

サイエンス・リサーチ
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犬に問題行動が多いのは、あなたの神経症的な気質が伝播しているのかもしれません。犬は飼い主のパーソナリティ特性を反映しているとする論文が、科学雑誌PLOS ONEに発表されました。


研究を行ったのは、ウィーン大学のSchoberl博士ら。実験には、132人の飼い主とその犬たちが参加しました。

研究者では実験と質問票が用いられ、飼い主のパーソナリティ特性と、飼い犬の実験的状況への反応との関連が調査されました。犬たちは実験室で、飼い主と離れ離れにさせられたり、歩きにくい場所を歩かされたり、スキーマスクを被った見知らぬ人間に近づいて来られたりというチャレンジングな状況に対峙し、その状況への対応が観察されました。さらに、ストレス反応を確認するため、心拍数や唾液コルチゾールが計測されました。飼い主は質問票により、その性格が5因子モデル(※)により分類されました。

※ 5因子モデル(ビッグ・ファイブ)では、人間の性格を(1)Neuroticism(神経症傾向、情緒不安定性)、(2)Extraversion(外向性)、(3)Openness to Experience(開放性、知性)、(4)Agreeableness(調和性)、(5)Conscentiousness(勤勉性)に記述することが可能とする(参考:wikipedia)。

結果、神経症的傾向があるとされた飼い主の犬は、ストレスに上手に対処できないことが示されました。一方、ゆったりした犬はそうしたパーソナリティ特性を持つ人間の飼い犬であることが多いと判明しました。論文の筆頭著者であるSchoberl博士は「神経症傾向や情緒不安定性に分類される飼い主は、行動にも(そうした特性が)出る。犬たちは飼い主の感情を読み、世界は危険な場所だと考えるようになり、過剰に反応するようになるのかもしれない。悲観的な人の飼い犬は、他の犬に比べてストレスにうまく対応できないようだ」とコメントしています。

なお、人間が影響を与えるように、犬の特性も人間に影響を与えることはあるようです。しかし、人間が犬に与える影響の方が、犬が与える影響より大きいのだそうです。Schoberl博士は、BBCのインタビューに「犬は飼い主の心の状態に敏感で、それを映し出すこともある」と答えています。

この研究は、神経症傾向の人の犬の全てがストレス耐性が低いことを示すものではありません。しかし、飼い主の穏やかな心持ちが愛犬をリラックスさせるというのは、間違いなさそうです。我が子が困った行動をしたら、飼い主自らがリラックスして良いお手本になるというのが良いのかもしれません。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Schöberl, I., Wedl, M., Beetz, A., & Kotrschal, K. (2017). Psychobiological Factors Affecting Cortisol Variability in Human-Dog Dyads. PloS one, 12(2), e0170707.
[2] ‘Dogs mirror owners’ personalities’ – BBC News

Featured image credit MythicSeabass / Flickr

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