皮膚は、様々なかたちで内臓につながる身体の最大の器官です。健康状態に変化があれば、色や匂い、触りごごちなどの変化によって伝えてくれます。
愛犬をブラッシングするときや、マッサージをする機会に、毛をかき分けて皮膚の確認をしましょう。
犬の肌をチェックする
問題がないときの犬の皮膚は、以下のような状態です。
- 色のトーンが一貫している
- 触れたり、押したりしたときに、すぐに元に戻る
- 表面がスムース。うろこ、かさぶた、水ぶくれ、ざらつき、発疹がない
- 被毛の状態に問題がない(フケや脱毛がない)
- ノミとダニ、そのほかの虫がいない
上記に当てはまらないときは、皮膚、あるいは身体の内部で問題が起こっている可能性があります。とくに以下のような変化がみられたら、獣医師に相談した方が良いでしょう。
- 明らかに肌に異変がみられるとき(色の大きな変化、べたつき、脱毛など)
- 寄生虫がいる兆候
- 感染症の兆候(赤みやかゆみ、膿をもつ水ぶくれ)
- 皮膚の潰瘍(皮膚の表面が炎症を起こして崩れ、傷が深くえぐれたようになっている)
肌の問題を引き起こす一般的な原因
肌(皮膚)の問題を引き起こす要因には、以下のようなものがあります。
- アレルギー:犬も人間同様、食物、花粉、化学物質、埃、ノミやダニなど様々な物質に対してアレルギーを起こします。アレルギーは皮膚の赤みやただれ、脱毛、感染症などの原因になります
- 感染:傷やノミによる感染、または細菌や真菌による感染は、肌の問題の原因になります。感染による問題はすべて、できるだけ早く専門的な診断と治療を必要とします。真菌や疥癬が脱毛を引き起こすこともあります
- 入浴や水泳:過度の入浴、汚れた、または高塩素のプールでの水泳、汚染された川や湖での水泳は、肌に問題を引き起こす恐れがあります
- ノミ、ダニ、寄生虫:早期に獣医師とコンタクトを取りましょう。皮膚に小さくうごめく何かを発見したときは、すでに皮膚咬み傷をつけていたり、お腹に寄生している可能性が大です。毛の表面の白い粉状のものはダニ(ツメダニ)の可能性があります。毛の中に黒い砂状のものがある場合は、ノミの糞の可能性があります(白い紙の上に置き水を垂らして赤くなれば糞の可能性が大です)
「なんだかわからない湿った赤みが急に出てきた!」
動物病院に持ち込まれる皮膚のお悩みの一つに、「急に皮膚の一部が炎症を起こして脱毛し、赤く湿り気を帯びた状態(ただれた状態)になる」というものがあります。
特徴は、非常に短い時間で脱毛し膿疱(膿をもつ水ぶくれ)が形成されるという点、痛いほどのひどい痒みのために犬が異常にかきむしるという点です。半日ほどの短い時間で、患部は見るも無残な状態になり、匂いを発するようになります。
これは急性湿疹やと急性湿性皮膚炎と表現される状態です。犬は患部を舐めたり噛んだりして刺激する傾向があるため、短期間で驚くほど悪化することがあります。ゴールデン・レトリーバー、コッカー・スパニエル、ジャーマン・シェパードなどの被毛の厚い犬に発生しやすく、暖かい時期に多くみられますが、季節に限らず一年中犬を苦しめる可能性があります。
原因の多くは細菌による感染で、これは獣医師の処方する抗菌薬などで対抗することができるものです。非常に不快なため舐めたり噛んだりはひどくなる一方です。早めに動物病院で診察を受けましょう。
皮膚の健康を保つには
栄養バランスの取れた食事は、肌トラブルの予防に役立ちます。サプリメントの補給も役立ちますが、犬の体調に影響することもあるため、必ず獣医師に相談してから導入を決めましょう。
グルーミングは、犬の肌と被毛の健康を改善するための良い方法です。ブラッシングやマッサージで血行を良くするものですし、適切な頻度での入浴は犬の肌を健康にしてくれます。
ノミやダニ、寄生虫の予防薬を飲ませることをお忘れなく。投薬は、肌だけでなく全身の健康のためのもっとも効率の良い投資です。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Your Dog’s Skin 101: Health, Hot Spots, Problems – Dogtime
Featured image creditNatchaS/ shutterstock