犬の睾丸で億万長者になった男の話

グッズ・サービス
この記事をシェアする

「犬にとってボールは大事なものだ」という信念のもとに起業し、億万長者になった男がいます。

発明家で起業家のグレッグ・ミラー氏がその人です。彼は、去勢後のペット向け擬似睾丸”Neuticles”を開発し、大成功を収めています。20年で売り上げたのは50万セットほど。平均価格は310ドルですが、カスタマイズする場合には追加料金が必要になります。たとえば動物園のゾウのために作った睾丸は2,800ドル(約30万円)でした。

去勢犬の悲しい目が背中を押した

2192 1 thewoof

image by Fake Dog Testicles Made This Man A Millionaire | CNBC – YouTube

擬似睾丸?なんのために?と思う人もいるでしょう。ミラー氏によれば、擬似睾丸は「去勢された犬が喪失感を味わわずにすむ」ためのもの。擬似睾丸というアイディアは、ミラー氏の愛犬バック(ブラッド・ハウンド)が去勢後にうつ状態になったことにより思いついたのだそうです。

もともと去勢には反対の立場をとっていたミラー氏でしたが、バックがメスを求めて徘徊し始めるようになると考えを改めるようになります。「安全のため、逃走を防ぐためにも去勢は必要」という点には納得するものの、愛犬が神からもらった姿は変えたくありません。そこで獣医師に睾丸のインプラントを懇願しますが、にべもなく却下されてしまうのです。

手術は成功し、バックは無事に家に戻りますが、ミラー氏の見立てでは心には変化があったようです。手術後のバックは、かつて睾丸があった場所をペロペロと舐め、「ボールはどこに行ったの?何が起こったの?」と問いかけるような目で見つめるようになったということです。

悲しげな愛犬の姿に背中を押される格好で、ミラー氏は擬似睾丸のプロトタイプ作成を開始します。かつて「馬鹿げたアイディア」と切り捨てた獣医師をも巻き込み、32人の投資家からの資金も得て、偽睾丸づくりが始まったのです。

立派なボールの開発を目指して

とはいえ、生き物の身体に入れるものですから、そう簡単にできるわけがありません。集めた10万ドルはすぐに底をつき、クレジットカードの枠もなくなります。家を抵当に入れるなどしてなんとかしのぎ、ようやく1995年、最初のNeuticlesの発売にこぎつけます。

発売当初はメディアにも取り上げられ、話題にもなりましたが、その後は鳴かず飛ばずの閑古鳥。このころは、家にある電球はたった一つという貧乏っぷりで、移動するときは電球を持ち歩く状態だったそうです。「自分たちがやり遂げられるとは思えなかった」と弱気になったミラー氏でしたが、なんとかかんとか踏ん張って、広告戦略やプレゼント戦略、そして獣医師ネットワークの構築などに取り組んで、ビジネスを軌道に乗せることに成功します。

その後の改良をへて、現在もっとも人気があるNeuticlesは、女性の豊胸手術に使用するものと同じようにシリコンでできています。Webによると、Neuticlesのサイズは11種類で、現在も製品ラインは拡大しています。敏感な皮膚の犬や、アレルギーをもつ犬に合わせた製品も登場するそうです。

アメリカでは大きな成功を収めているNeuticlesですが、禁止されている国もあれば、「美容目的の手術は虐待だ」という人もいます。動物が見た目のために困惑すると考えるのは行きすぎた擬人化である、という意見もあるのです。過去四半世紀にわたり、合併症や手術中の事故などは発生していませんが、「アンチはたくさんいますよ」とミラー氏は語ります。

ビジネスでは、顧客の求める価値を提供することが大切だと言いますが、ミラー氏もそのことを深く理解している様子です。「犬の所有者が本当の顧客だ」ということを認めています。実際、Web上には「彼は男だし、去勢しても変わらず男に見えるようにしてやりたかった」「うちの犬は(去勢後も)失ったことに気づいていません」などの飼い主の熱いコメントが並んでいます。

h/t to Neuticles testicular implants for dogs have made Gregg Miller rich

Featured image creditmeredith hunter/ unsplash

犬の性別〜オスとメスでは何が違うのか? | the WOOF イヌメディア

犬を見慣れているプロであっても、顔だけでオスとメスとの違いを言い当てるのは非常に困難です。”女のコのように”優しい顔をしているオスもいれば、キリリと勇ましいメスもいます。

the WOOF イヌメディア > すべての記事 > イヌと暮らす > グッズ・サービス > 犬の睾丸で億万長者になった男の話

暮らしに役立つイヌ情報が満載の「theWOOFニュースレター」を今すぐ無料購読しよう!

もっと見る
ページトップへ