犬(狗)という言葉が使われている諺(ことわざ)や故事成語をご紹介する”イヌコトバ、ヒトコトバ”。
今回は、我々人間を戒めるためにイヌたちが一役買ってくれた諺や成語をご紹介します。
人間なら犬より素晴らしい生き方をせよ
「犬ですらこのように振る舞うのだから、人間ならもっと良き生き方をせよ」という、犬たちを褒めているんだか貶しているんだかわからない戒めが幾つかあります。
有名なのが、犬は飼えば三年恩を忘れぬで、犬の面倒を3日みれば3年は慕ってくれるということで、人間も同じように恩を忘れないようにしなければならないという戒めです。飼い養う犬も主を知るも同じような意味で、犬ですら主に恩を感じるのだから人間が恩を知るのは当たり前、てな感じです。猫が参戦してくる犬猫にも馴染めば思うという言葉もあり、これは’犬や猫もこちらから可愛がってやれば懐いてくるように、取るに足らない者でも目を掛けてやれば恩に着るものだ’という意味なのだそう。
犬を’食うだけの存在’と言い切っているのが食うだけなら犬でも食うという諺。「ただ食って生きているだけなら、犬と変わらないじゃないか。生き甲斐になる仕事をし、世の中の為になることをするのが人間だ」という意味なのですが、最近では犬たちも人間の役に立っていることがわかってきていますから、こんなことを言ったら犬たちに気分を害されてしまうかもしれません。
犬も尾を振るというのは、「犬でも尻尾を振って愛嬌をふりまくのだから、人間も無愛想で人づきあいの悪いのはよくない」という内容。無愛想なのは良くないとしても、犬のようにいつも元気に大好きアピールをするというのも、相手の誤解を招くことになるのではないかと、ちょっと心配です。
犬の皮の何が悪いんじゃ!
犬の皮だって立派なんです!と涙の訴えが舞い込んできそう。内は犬の皮、外は虎の皮とは、「 家では貧しい暮らしをしていても、外に出るときは立派な身形(みなり)を整えなさいよ」という戒めの意味があるそうです。犬の皮と虎の皮が異なるわけでも、品質の良否を語っている訳でもなく、’虎の皮’が威勢の良さや勢いを表している訳なのですが、犬ちょっとガッカリ。
虎より勝ると言ってくれているのが、生ける犬は死せる虎に勝るという言葉。「死んでは何もならない。生きて動いていればこそ、どんな動物でも役に立つものである」という意味です。少なくとも死んでいる虎には勝ったぞイヌ!似たような意味で吠える犬は眠れる獅子より役に立つというものもあります。
昔から棒との関係が深い犬たち
犬のご馳走といえば骨、犬のオモチャといえば棒。実際に骨を与えたこともなく、棒を投げたこともないのですが、このイメージは強く強く私たちの頭に染み付いています。
昔の人にとっても’犬と棒’は結びついていたのでしょうか。でしゃばると思わぬ災難にあうという戒めの言葉、犬も歩けば棒に当たるに出てくる’災難’は棒。普通に歩いていて棒に当たる確率ってあんまりないと思うのだけれど、なぜ棒なんだろう。枝かな。疑問です。
ところでこの有名な諺は、一方で良いことに出会えるという意味をも持っているそうです。「じっとしていないで、何でもいいからやってみれば思わぬ幸運にあうことのたとえ」なのだそう。案外、良い言葉だったのですね。
棒つながりでもう一つ。飢えたる犬は棒を恐れずとは、「空腹の犬は、人間が犬を追い払うために持った棒にも恐れずに、食べ物にありつこうと近づく。同じように人間でも困窮すると、悪事や危険なことにも手を染めてしまう」という意味の言葉。昔はそこいら中に棒が落ちていたのでしょうか。
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素晴らしき哉、ワンコ!尊敬の念すら沸き起こる犬たちの活躍を見よ! | the WOOF
途中で「ほんまかいな?」と思ってしまうものもあるけれど。それでも登場する犬たちの素晴らしさには、ちょっとウルっときてしまいます。