犬の熱中症〜「暑い車に残した犬はわずか6分で死亡する」

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暑くても暑くなくても、犬を車に残すのは、彼らの命を奪う危険な行為です。

「わずか6分」キャンペーン

RSPCA オーストラリアは、”Just Six Minutes“キャンペーンを展開しています。「温度の上がった車では、犬が死ぬまでにかかる時間はわずか6分ですよ」と、ついつい軽く考えてしまいがちな飼い主に、強いメッセージを送っています。

オーストラリアのみならず、イギリスやアメリカでも同様なキャンペーンが展開されていますが、それでも犬を車に残す人は後を絶ちません。RSPCA(英国動物虐待防止協会:The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals)の緊急ホットラインには、2018年6月25日から7月1日までの1週間で、熱中症関連の報告が1,123件寄せられました。1時間に7コールあった計算になります。

RSPCA オーストラリアは”Just Six Minutes“の中で、以下のような注意を呼びかけています。

  • 外が涼しい日でも、急速に外気温の2倍以上に達することがある
  • 窓にスモークがあっても、日陰に駐車しても、あるいは窓を開けたままにしても、車中温度を下げることには繋がらない
  • 自宅での緊急ケアは、犬の体温を下げることを目的に行う。冷たい水を噴霧、扇風機などで風を送る、脇の下や足の甲や鼠径部を水などでこすることも助けになる
  • 熱中症は緊急事態。安全のためには、獣医師に確認・検査・診断してもらうべし
  • 短頭種の犬(パグやブルドッグなど)は、息をするのが難しいので、より熱中症になりやすい。肥満犬、シニア、心臓病、豊かな被毛を有する犬も同様に、リスクが高い

体温上昇や熱中症で犬の身体に何が起こるか

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image by Jorge Zapata / Flickr

熱中症は、身体に熱を蓄積することで起こる、体温の上昇と中枢神経系の機能不全を伴う身体の異常です。

犬では、熱中症の危険因子は、暑さ(とくに高湿度の環境)、過度の身体活動、肥満または15kgを超えるサイズにあります。また、短頭種の犬、上気道閉塞および長期的に発作に苦しむ犬は熱中症になりやすいと言われます。

熱中症が恐ろしいのは、症状や影響が目に見えるものだけではないということです。

身体の熱が増すにつれ、身体機能が壊れ始めます。心臓の働きが弱くなると、血液の循環も悪くなり、身体は熱を放出しにくくなります(この悪循環が続きます)。血圧が低下し、内臓や身体に血液が回らなくなります。熱は見えない部分で、犬の身体に大きなダメージを残すのです。

犬の体温が44度に達すると血液が循環しなくなり、腎不全や脳酸素の欠乏、内出血を引き起こします。この時点で犬の命を救うことができても、脳の損傷を止めることができず、パーソナリティの変化、知覚の喪失、認知の問題がみられることもあります

重度の症状では、たとえ早期に適切に治療を行ったとしても、過度の炎症や凝血障害の治療法がないために、約50%の確率で死亡します。

熱中症は動物病院へ直行すべき緊急事態へ

愛犬が熱中症の症状をみせたらどうするか、現実的な準備をしておきましょう。上に動画を見ていただくとわかりますが、症状がみられる犬を前にすると、飼い主さんもショックを受けます。ましてや外出先の場合は、できることも限られると考えたほうが良いでしょう。

携帯の「よく使う番号」にかかりつけと24時間対応の動物病院の番号を登録し、すぐに連絡できるようにしておきましょう。

熱中症は、緊急事態です。とにかくすぐに動物病院へ連れていくことが肝要です。

犬の身体を冷やすのは、応急措置としては正解ですが、「犬を救う」という意味では不十分です。家から動物病院が遠いとか、出先で近くの病院がわからないというときでも、なんとか犬をクールに保ちながら病院へ急いでください。症状が落ち着いたときも、念のための検査は必ず受けるようにしましょう。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Just Six Minutes
[2] It takes just six minutes for a dog to die in a hot car
[3] Jennifer K. Vanos, Ariane Middel, Michelle N. Poletti, Nancy J. Selover. (2018) Evaluating the impact of solar radiation on pediatric heat balance within enclosed, hot vehicles. Temperature 0:0, pages 1-17.

Featured image creditHanne Van Oeckel/ unsplash

人が犬を車に残す、可笑しくて全く笑えない理由 | the WOOF イヌメディア

外の気温がそれほど暑くない日であっても、車の中の温度は猛烈に上がります。たとえば屋外が22℃の日でも、閉め切った車内の温度は1時間以内に47℃ほどに達することがあります。 車中に残された犬は、死に至ることもあります。たとえ冷房を入れていても、窓を開けていても、リスクの大きさは変わりません。

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