【追記あり】犬は’本当に’あなたの言葉を理解している〜言葉の意味を左脳で理解(研究)

サイエンス・リサーチ
この記事をシェアする
追記:2017年4月7日Science誌は、当記事の元論文”Neural mechanisms for lexical processing in dogs“について、不注意により(脳の)左右が逆に報告された旨を発表しました。MRI画像の座標を解釈する際の誤りであるとその理由が説明されています。Science誌は、誤りは論文の主な結論には影響しないとして、HTMLとPDFの内容を修正し掲載しています。

改訂版の結論は、犬の脳には「意味のある単語を処理する際に半球バイアスがあった」です。修正論文では、左右を変更した修正箇所と左右の参照を行わない修正がありました。当記事はこれへの対応(修正)は行わず、2016年8月31日に発表した内容で掲載を続けます。(2017年4月12日 編集部)

犬たちは、どうやら本当にあなたの言うことをわかっているようです。

犬たちは私たちが発する言葉を、意味とイントネーションを統合して理解しているとハンガリーの科学者が発表しました。論文(”Neural mechanisms for lexical processing in dogs.”)は、9月2日付の科学雑誌Scienceに掲載されます。

13匹の脳は語る

122833 web

image credit : Borbála Ferenczy

犬が人間の声のトーンに反応することや、犬たちがモノの名前や文法を覚える事ができること、そしてコマンドを理解して従うことなどは、すでに多くの研究結果から明らかになっています。

しかし、これまでに行われてきた研究では、主に観察という手法が使われてきました。この手法は多くのことを明らかにできる一方で、別の要因(例えば声のトーンや飼い主の仕草など)からの影響を除くことが難しいという側面も持っています。このため、犬が「言葉そのものを理解している」と結論付けることはできず、あくまでも「行動観察からの推論」に終始していました。

しかし今回の研究では、fMRIを使って犬の脳をスキャンし、言語への反応を確認するという手法が用いられました。言葉という刺激を受けた犬の脳では、一体何が起こっているのでしょうか。

意味は左脳が、トーンは右脳が反応した

122832 web

image credit : Enik? Kubinyi

研究を行ったのは、ブタペストにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学
Eötvös Loránd University)の科学者たち。協力犬は、ゴールデン・レトリバー、ボーダー・コリーを中心に、チャイニーズ・クレステッド・ドッグやジャーマン・シェパードを含む13匹で、いずれもトレイナーの声の録音を聞く間、スキャナの中でじっとしているように訓練された犬たちです。計測の際にも拘束されることはなく、いつでも協力をやめてスキャナから離れることができるという状態です。

実験で犬たちは、馴染みの女性トレーナーからお馴染み言葉を聞かされます。聞かされるのは、「よくできたね!」「イイコ」という褒め言葉群(1)と、そして「もし」「まだ」などの犬にとって意味をなさない言葉群(2)の2パターンで、それぞれに’自然なトーン’と’喜んでいるトーン’の両方で発せられました。

結果、(1)の褒め言葉群を発した時は、声のトーンにかかわらず犬の左脳が反応しました。一方、(2)の犬にとっては意味をなさない言葉群では、左脳が反応しなかったとのこと。「音がこの違いを生み出しているのではない」とAttila Andics博士。「犬にとっても言葉が意味をなすことを、この結果は示している[1]

意味とトーンと含めて言葉を理解

犬たちの脳は、トーンによる違いもしっかり認識していました。イントネーションを変えたとき、右脳が反応を見せたのです。「左脳は言葉などを認識し、右脳は視覚・聴覚などの五感を認識する」という人間の脳の反応と同じものです。

さらに、褒め言葉群を聞いた犬の脳では別の部位、すなわち報酬系でも反応が見られました。「犬達は、(意味とトーンという)2種の情報を統合している。私たちと同じように」とAndics博士。意味とトーンが補完する形で、彼らは言葉を理解しているようです。

それでは犬たちは、私たちのちょっとした呟きや、教育上よろしくない言葉なども’理解’しているのでしょうか?残念ながら、そういうことではないようです。この研究は、私たちの発する言葉が犬たちにとって意味のあるものだということを示す一方で、「犬が言葉を完全に理解できるとするものではない[1]」(ニューヨーク市立大学のHecht氏、今回のメンバーではない)のです。

とはいえ、犬の脳は人間のそれと非常によく似た動きをすることは間違いがないようです。犬たちは想像以上に、私たちに近い生き物なのかもしれませんね。そして犬が言葉を理解するならば、他の動物だって同じなのかも。人間は、私たちが考えるほどには’特別’ではないのかもしれません。


犬は私たちが発する言葉の意味を、どうやら本当に理解しているらしいのです。あなたの気持ち、そして愛の言葉は彼らに伝わっています。たくさんの優しい言葉を、彼らにかけてあげてくださいね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Video: Your dog understands more than you think | Science | AAAS

Featured image credit Enik? Kubinyi

犬はヒトの言葉が分かるのか?ワンコは飼い主さんのことを理解しようとしているよ | the WOOF

「お散歩に行くよ!」と言ったら嬉しそうに尻尾を振ったり、叱られたらしょんぼりと落ち込んだり…。 イヌと暮らしていると「ウチの子は人間の言葉が分かる!」と思う瞬間がありますよね。ワンコたちが人間の言葉を本当に理解しているのか、その質問に答えた米国の興味深い番組をご紹介しましょう。

the WOOF イヌメディア > すべての記事 > イヌを知る > サイエンス・リサーチ > 【追記あり】犬は’本当に’あなたの言葉を理解している〜言葉の意味を左脳で理解(研究)

暮らしに役立つイヌ情報が満載の「theWOOFニュースレター」を今すぐ無料購読しよう!

もっと見る
ページトップへ