ロサンゼルスのビーガン人口は、まもなく3万以上増えるかもしれません。正確には人口ではなく犬の居住者です。市の動物衛生委員会が、シェルターに保護されている犬へのビーガン食提供を検討しているそうです。
ロサンゼルスといえば、オーガニックやビーガン文化のメッカ。食や環境に対する意識が非常に高い土地柄です。
そのロサンゼルスで、非常に実験的な試みが行われようとしています。シェルターの犬居住者の食事を、従来の鶏やターキー、羊をベースにした食事から、完全ビーガン食へ変更しようというのです。
この提案は、ハリウッドの脚本家であるロジャー・ウォルフソン委員によってなされたもの。ワシントン・ポスト紙によれば、彼はこの提案にあたり、ビーガン食が雑食である犬の多くの健康問題を”取り除く(eliminate)”と主張する研究を引用したとのこと。これに限らず、犬の食事を再考することは、はるかに重大な問題に取り組むことにつながると主張しています。ドッグ・フードの主要成分である肉の産業に与える環境面、そして倫理面に切り込むというのです。
現在、シェルターで与えられているのは、ごくごく普通のターキー、チキン、ラムなどが主成分のドッグ・フードです。そして、ロサンゼルスの6つのシェルターには、毎年3万3千の犬が新たに保護されています。
この提案を支持するのは、ミュージシャンや動物権利活動家、弁護士など。L.A.のシェルター犬を”ミート・フリー(肉を食べない)”の先駆けとすることに、意欲を燃やしています。ウォルフソン委員は会議において「私たちは、動物を食べる目的で育てて殺すことを、他の手段が一つもない場合に限定すべきということを受け入れなければならない」と主張しています。
犬は完全なビーガンになれるのでしょうか?ビーガンとは、絶対菜食主義者あるいは純粋菜食主義者と訳される、動物由来の食事や製品などの一切の使用を行わない人々のこと。信条による個人差や程度差はあれど、ビーガンは卵や乳製品を含む一切の動物由来の食品を口にしないのだそう。
プルパス獣医師は委員会において、(ビーガン食では)犬に十分なたんぱく質、カルシウム、リンが奪われる可能性があり、怪我をした犬や妊婦、授乳中の子犬には不適切であるとして、この提案を受け入れないよう提言したのだそう。プルパス氏が意見を求めた獣医学の臨床栄養士、シェルターの専門家、ペットフード会社と協働する学識者も同意見であると証言しています。
ただしプルパス獣医師は、ビーガン食そのものを不可能だと切り捨てている訳ではありません。個人レベルでいえば、犬はベジタリアン、オーガニック、グレインフリー、グルテンフリー生食、ビーガンなどの様々な食事で上手く犬の飼育をしている人々がいることを認めています。ただ、こうした個人レベルでの成功事例は、シェルターでグループで飼育されている場合と大きく異なるとして、反対の意を唱えているとのことです。
プルパス獣医師はこの他に、コスト面と掃除の負荷の2つの理由からシェルターの食事を現在のフードで維持するように求めています。すなわち、ビーガン食は既存食に比べ4倍多く費用がかかること、植物由来にすることで排泄物の量が増え、掃除作業が増える可能性があるという点です。
NBCによれば、11月28日の会合を起点として2ヶ月間の調査期間をもち、この提案が実行可能かどうかの確認を行う予定とのことです。
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