韓国当局は、動物愛護活動家らの犬食慣習廃止の声を受け、国内最大の犬肉処理場解体に動き始めました。
ソウル南郊に位置する城南市太平洞(Taepyeong-dong)にある処理場は、2日間にわたる解体・清掃作業ののち、公立公園として整備されるとのことです。
脂がのった赤肉がエネルギーを増すと信じられている犬肉。毎年約100万引きが”夏の珍味”として消費されています。
しかし最近では、犬がペットとして受け入れられていることや、海外から強く批判されていることなどから、特に若い人の間では犬食はタブーとなりつつあります。
最近では犬の屠殺を禁止する法律の整備や、市民などによる犬の保管・屠畜施設の撤去の動きなどもあり、レストランの数も減少の一途をたどっています。かつては1,500超と言われたレストランも、2015年には約700にまで数を減らしているのです。
今回閉鎖の対象となったのは、ソウル南郊の太平洞という地域です。数百匹が収容可能な6施設が存在したこのエリアは、主要な犬肉供給源のひとつとしてその名を知られていました。施設には、何百ものワイヤー、屠殺のための感電装置、そして死んだ犬が束になって積まれていたと言われ、残虐さにおいて国内でも批判の対象になっていました。
処理場を営む事業者は、許可なしに地域を使用してきたと伝えられており、裁判所がこれを根拠に強制執行を支持する判決を下したことで、市議会が閉鎖と解体に動いたということです。
Humane Society International(HSI)のキム・ナラ氏は「韓国の市民としても活動家としても、処理場閉鎖という歴史の一部になれたことが非常に喜ばしい」とコメント。
「数え切れないほどの犬たちが何年にもわたりこの場所で恐ろしい運命に直面したことを思うと、震えが止まりません。城南市の汚点です。ブルドーザーで撤去される様子を見られてとてもうれしいです」
活動家らは今回の動きを「全国の犬肉処理場閉鎖の扉を開き、産業全体の減速を早めるもの」と歓迎。「歴史的瞬間だ」と喜びの声をあげています。
しかし、犬食そのものを禁止する方向へは、それほどスムーズには進まないかもしれません。昨年の調査によれば70%の韓国人が「犬を食べない」と回答した一方で、慣習を禁止すべきとする人は約40%にとどまっており、「犬食は文化」「文化は維持すべき」とう考えが依然として強く残っているからです。
ただし、食用犬の飼育や処理に関して「より人道的な条件のもと行うべき」という意見は根強いことから、畜産に関する福祉規則や別の法律によって保護される方向へは進むかもしれません。
h/t to South Korea closes largest dog meat slaughterhouse – BBC News
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