犬ぞりレースでドーピング疑惑〜禁止薬物に陽性反応

びっくり
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the WOOF専属ライター犬、ライチがお届けする世界の犬ニュース。今日は、世界最大の犬ぞりレースで、一部の犬に禁止薬物の陽性反応が確認されたニュースです。


犬ぞりファンの犬にショッキングなニュースです。犬ぞりレースの最高峰アイディタロッドは、参加した一部の犬に禁止薬物テストで陽性反応が出たことを公表しました。

これは、アイディタロッドが1994年に禁止薬物のテストを開始して以来、初めてのことです。

薬物検査は、2017年3月に行われたレース終了の6時間後に実施されています。反応が出たのは、オピオイド系鎮痛薬のトラマドールで、検査の15時間前まで投与されたと推定されています。

アイディタロッドは、毎年3月上旬に米アラスカ州で行われる長距離レースです。マッシャーと16匹の犬がチームを組み、8-15日かけてスタート地点のSettler’s Bayから約1000マイル先のノーム(Nome)に設置されたゴールを目指します。アラスカでは非常に人気のあるスポーツイベントで、地元ではテレビ中継も行われます。優勝したマッシャーは一夜にして著名人の仲間入りをし、上位入賞者には賞金および副賞が授与されます。2015年の優勝賞金は69,000ドル(約770万円)、副賞は新しいピックアップトラックでした。

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Aliy Zirkle’s team on Anchorage’s Fourth Avenue at the start of the 2003 Iditarod – image by Donna Dewhurst / Wikipedia

約1000マイルを駆け抜けるレースは、犬にとってもマッシャーにとっても極めて過酷です。今回の事件は、トラマドールの投与により犬のパフォーマンスを向上させ、賞金獲得を目指した悪質なものと見られていますが、現在のところマッシャー(犬ぞり師)名や犬の名前は公表されていません(※)。当時の規則では、不正使用の証明義務は理事会側が負うとされていましたが、理事会側は「意図的に薬物を投与したことを証明できない可能性がある」としており、処分することで生じる法的懸念を避ける意図が働いたようです。

※2017/11/9追記:その後運営委員会より、Dallas Seavey氏であることが公表されました。本人は疑惑を否定し、2018年大会の参加を辞退。委員会は、客観的証拠がないことから処罰なしとの決定を下しています。

今回の事案を受け理事会は、薬物を意図的に使用していないと証明する義務をチーム側に負わせるよう、規則を変更すると報じられています。

マッシャーのBurmeister氏はガーディアン紙のインタビューに「これは特殊なケース。犬ぞりレースでマッシャーが自分の犬にドーピングなどしないことを、みなさんが信じてくれることを願います」と答えています。


犬スポーツ界で起こった今回のドーピング疑惑。ただでさえ「犬ぞりレースは動物虐待」とする保護団体などからの圧力がかかるアイディタロッドにとって、今回の事件は大きな痛手となりそうです。

Featured image credit Ralf Κλενγελ / Flickr

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