犬が泥を食べるのは珍しいことではありません。しかし飼い主目線では、泥を食べるのは望ましい行動ではありませんし、できればやめさせたいところでしょう。
犬はなぜ泥をを食べるか?
犬が泥や草といった食物として適当でないものを食べる行為は異食症(ピカ:pica)と呼ばれます。異食の理由は様々で、心身の健康に問題がある場合のほか、または栄養失調の可能性もあります。
・理由1:退屈
あなたの愛犬は少ない刺激の中、余りにも多くの退屈な時間を過ごしているのかもしれません。退屈な犬は、奇妙な行動を示す傾向がありますが、泥を食べるという行為も、それらの奇妙な行動の一つというわけです。
・理由2:ただ好き、味も好き
犬はゴミや汚れ物などの、舌や鼻を刺激するものが大好きです。また時にはその噛みごこちや味わいを好んでいる可能性があります。
・理由3:必要な栄養素を補う
ビタミンやミネラル欠乏が土を食べる理由だという説もあります。この場合、犬は不足する栄養を補うために、ミネラルなどが豊富な土壌を食べるというわけです。また、貧血の犬が鉄分を補うために土を食べるという説もあります。
人間の異食症においても、理由の一つに栄養素不足が挙げられていましたが、2011年に発表された研究[1]により「(異食症の人が食べた)土壌は栄養豊富ではない」ことがわかりました。人間についてはこの理由は適用できなさそうです。
・理由4:消化不良、胃痛、寄生虫
消化器の不調、胃痛や胃の持たれが、泥を食べるという行為につながるとも言われます。胃や腸の汚れを落とすスクラブ剤のように作用させようとして、泥を食べる可能性があるというのです。寄生虫がいる場合も、不快感から泥の食事に向かうことがあるようです。
・理由5:他のものを食べている
実は土や泥ではなく、泥の下に隠れた草や、誰かが落としたハムやパンの切れ端を食べようとしているのかもしれません。
・理由5:周囲の探索
泥を食べているのがおチビの子犬なら、単に口や舌を使って周囲を探検しているのかもしれません。犬の口は知識獲得の重要なツール。臭いと味を確かめて、それがなんであるかを学んでいきます。ただし、泥を食べても栄養にはならないので、継続的な習慣になる前の早い段階でやめさせておかなければなりません。
泥を食べる私の犬、心配すべき?
愛犬の泥の食事がほんのたまにのことならば、それほど心配する必要はないでしょう。一方、毎日の食事プランに泥が組み込まれているのなら、動物病院に相談すべきです。栄養失調、または胃腸の健康を損なっているか、肝臓病その他の病気の可能性があるからです。
退屈やストレスなどの要因が考えられる場合も、獣医師に相談をしましょう。精神的な原因から行動に問題が起きている場合、その修正は難しく時間がかかることが予想されます。
ほんの時々”泥食い”をする犬なら、毎日適度な運動をすること、新しい遊びを取り入れてみること、新しいコマンドにチャレンジするなど、犬を退屈させない工夫をしましょう。新しいオモチャの導入や、最近使っていないオモチャの復活なども効果があります。泥を食べさせない環境の整備も有効です。お散歩のリードは短めをキープして、食べにくい状況を作るというのも有効です。もちろん、コマンドで注意を飼い主側に引き戻せるなら最高です(アイコンタクトできたらご褒美を!)。
病気などの健康上の理由で泥を食べているのではないのなら、ちょっとした工夫でこの困った習慣をやめさせることができます。毎日の生活を振り返り、原因となるものの予測をつけたら、解決するよう工夫をしてみましょう。
◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] [Journals]: Eating earth can be good for the belly, researcher finds
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