なぜ犬は吠えるのか〜吠え声に隠された犬のキモチ

生態・行動
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ボディランゲージで気持ちを表現することが得意な犬たちですが、声(音)によるコミュニケーション能力も捨てたものではありません。

吠えるか否かは交配の歴史による

吠える、唸る、クンクン鳴く。さらには、遠吠えによる合唱が得意なワンコも存在します。その他の特性と同様に、犬が吠えるか否かにおいて遺伝子の果たす役割は大きいようです。番犬や猟犬としての「知らせる」役割を求められていた犬(種)は、その能力を伸ばすべく選択的に交配されてきたのです。ビーグルやクーンハウンドなどの猟犬は、太く長い声で吠えることで知られています。牧畜犬(ハーディング)も、家畜をまとめるために吠声を使います。

猟犬でもサイトハウンド(視力により獲物を追跡しる犬たち)は、あまり吠えない部類に入ります。ヨーデルに似た声を出すことで知られるバセンジは、吠えることはありません。視覚と嗅覚を使った狩りの能力を買われたこの犬種は、吠えることがないという理由もあり、安定的な人気を誇っています。

犬たちが吠える理由

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犬たちは、様々な理由で吠えるもの。大きな声でワンワンされるのは、人間にとっては困ったことですが、犬にとっては相応の理由があるのです。

・「ここは私の場所だぁ!」「守り抜くぞぉ!」

多くの犬は、他の人や動物が自分の領土(家や庭)に近づくと、吠え声を発します。切迫した吠え声は、脅威が近づくにつれて大きくなり、犬は犬に応じて、この種の吠え声はかなり切迫して狂ったようであるか、攻撃的と感じられるものです。このタイプの吠え声の間、犬は緊張し警戒を解かないばかりか、攻撃的になっていることがあります。

・「怖いよ!」「危険が迫ってるよ!」

危険が迫っていることを感じると、犬たちは大きな声をあげ、家族に警戒を促します。警戒心の強い犬は、命の危機から家族を守ることもあるかもしれませんが、集合住宅などではご近所からの白い目を集める原因を作るかもしれません。

警戒吠えをコントロールするためには、犬を刺激から遠ざけることが一番の方法です。玄関に近づけないようにゲートをつける、ベッドは窓から離れた場所に置くなど、ちょっとした工夫が役に立つものです。吠えが始まったら(始まる前にでも)、犬が好きなもので気を引いて、吠える対象から注意を逸らすという方法もあります。大声で叱りつけることは逆効果になります。

・「アレ欲しい」「コレやりたい」「ねぇ聞いて!」

吠えることで自分の望みを叶えたい…。そんな理由で吠えるワンコは、望みを叶えれば叶えるほど吠えがエスカレートするものです。はじめはグルル程度の可愛い鳴き声でも、要求が通らないと「オヤツ欲しいの!」「抱っこして欲しいの!」と大きな吠え声に変わり、あなたを困らせます。

要求吠えは、無視することで止めることができます。非常に簡単ですが、非常に有効な方法でもあります。ただし、可愛い愛犬を無視することも、鳴き声を放置するのことも、結構な苦痛を伴います。彼らの執拗さを見習って、忍耐強く無視し続けるしかありません。

吠える原因を特定して、吠える前に静かにさせてご褒美をあげるというのが理想的。「吠えなければご褒美がもらえる」ではなく「吠えた後に静かにすればご褒美がもらえる」という望ましくない学習をされるのは、できることなら避けたいところですよね。

・「私は孤独。とっても不安」

不安を感じた犬、パニックを起こした犬も、大きな声で吠えるもの。感情を高ぶらせて、甲高い声で繰り返し吠え続けます。体力が続く限り吠えつづけるコもいます。

ひどく不安を感じることで、健康を損なうほどに激しく長く吠えつづける場合には、分離不安が疑われます。簡単に矯正することは難しいもの。まずは獣医師(専門家)に相談し、対処方法を検討しましょう。

・「退屈だ、退屈すぎる!」

社会的な生き物である犬は、孤独や退屈がとっても苦手。暇を持て余すとやることが「はぁ、退屈。暇つぶしに吠えてやるか」とワンワンワンを始めます。

退屈吠えをやめさせるのは簡単です。退屈を感じさせないことが、落ち着いた犬に育てるコツ。お散歩を長くしたり、コースを変えたり、時間がないのならプロのドッグシッターに頼んだり、犬の学校に預けてみたり。お留守番の時だけに使う、オヤツをいれられる特別なオモチャを与えることで、退屈を紛らわせることもできます。

・「嬉しい、楽しい、大好き!」

嬉しい、楽しいを表すのに、ワンワンと吠えてしまうコもいます。ピョンピョンと飛び跳ねたり、走り回ったりする際に吠えるコは、喜びの表現かもしれません。ハーディング(牧畜犬)に分類される犬には、楽しい気持ちを声で表現するコが多いです。

どんなに吠えても周囲に迷惑をかけない環境にあり、あなた自身も気にならないのなら、喜んだ時に吠えることくらい許してあげるという考え方もあります。しかし、吠えるのをやめさせたいのであれば、「嬉しい、楽しい」と感じる対象を取り上げる(隠す)という対処法で矯正することは可能です。吠えが始まったら「ダメ」などの分かりやすい合図を示し、対象を隠す(ドッグランなどで興奮しすぎた時は、一度外にでる)ことで、落ち着きを取り戻させるのです。

・「おかえり!また会えて嬉しいよ」

「おかえり、おかえり、おかえり!」と喜んでもらうのは嬉しいけれど、ワンワンワンは困りもの。大きな声でご挨拶をする犬は、少なくはありません。

興奮を抑える王道は、犬の相手をしないこと。飛びついてワンワンワンが始まったら、一旦外に出て落ち着くのを待ち、静かになったら穏やかに「ただいま」を伝えましょう。犬たちのペースに乗せられないように注意をしましょう。

来客に「いらっしゃい!いらっしゃい!」と熱烈歓迎を伝える犬への対処法も同じ。別の部屋で待機させる、リードを使うなどして犬が落ち着くのを待つことで、大きな声でのご挨拶を抑えましょう。


吠えるという行動は、犬にとっては普通の行動ですが、人間にとっては困った行動。過度に吠えるようならやはり、なんらかの対策を考えなければならないでしょう。まずは獣医師さんに相談を。吠えに関わらず問題行動の背景には、なんらかの健康上の問題が隠されているかもしれないからです。

犬の”問題行動”にお悩みのかたは、まずは動物病院で健康問題がないかどうかを確認したうえで、愛犬にぴったり合った問題行動への対処を考えるようにしましょう。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] What different dog barks mean – Business Insider
[2] What Dogs Are Saying When They Howl | petMD
[3] Why Do Dogs Howl? 5 Reasons
[4] Why Dogs Howl and How to Stop Dog Howling

Featured image creditStockSmartStart/ shutterstock

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