犬の「大好きオモチャ」ってどんなもの?〜犬の関心がどう続くのかを英研究で振り返る

サイエンス・リサーチ
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ワンコさんに新しいオモチャを買ってあげたのに、すぐに飽きられて隅の方に追いやられてしまった。そんな経験、おもちではないですか?

2012年、比較認知科学雑誌”Animal Cognition”に、犬がオモチャに「慣れ」ることについての研究論文が掲載されています[1]。今日は、この研究を振り返ってみようと思います。

オモチャに対する「慣れ」を実験で確認

これは、新しいオモチャを使って、犬の関心がどう推移するのかを明らかにする目的で行われた研究です。

実験協力者は、16匹のラブラドール・レトリーバーの皆さん。人気犬種であり、遊び好きな品種ということで選ばれたのだそうです。

実験の内容は、犬にオモチャを与えて遊ばせ、その様子を観察・記録するというもの。犬にオモチャを一つ与え、一定時間遊ばせた後にこれを取り上げます。30秒のインターバルを置いて再度オモチャを与え、これを犬が自らやめるまで続けます。犬が遊びをやめたら(慣れたら)、新しいオモチャを与えます。次に与えたのは「色とにおい」が前のオモチャと際立って異なるものを与え、さらに次には「色」だけが違うもの、「におい」だけが異なるものを与えたのだとか。また、オモチャを替える際におく時間の間隔についても、10秒から15分と変化をつけたそうです。

実験からは、犬が新しいオモチャに抱く興味の度合いは逓減する、ということがわかったそうです。そして、「色とにおい」を変えたときと、「色」だけ「におい」だけを変えたときについて、犬が示す興味の度合いは大きくは異ならなかったのだそう。また、時間間隔の違いも、犬の遊び時間に影響を与えなかったということです。

犬の好きなオモチャってどんなもの?

ところで、犬はどのようにオモチャを認識しているのでしょうか。研究者のブラッドショーさん(John W. S. Bradshaw)は、「オオカミが獲物を認識しているのと同じではないか」といいます。

そうであれば、食べ物の味がするか、噛みちぎることができるものが、犬にとっては理想的なオモチャなのかもしれません。でも、それだと安全上の問題が発生しますよね。

研究者たちは、「適度に柔らかく容易に噛むことができたり、音がでたりするものが良い」と言います。噛んでも曲がらないほどに硬い素材のものや、音がしないものにはすぐに興味を失ってしまうのだそうです。「獲物つかまえたど〜、やったど〜!」という達成感が得られないのかもしれませんね。

飽きさせないために「一緒に遊ぶ」

オモチャに興味を失ってしまう要因として、研究者は犬がもつ「新しいものを探索する本能」を挙げています。

しょせんオモチャはモノ。すぐに慣れてしまい、退屈になってしまうようです。常に新しさを求めるワンコさんに最もよいのは、飼い主さんが一緒に遊んであげることなのです。

同じオモチャでも飼い主さんが工夫すれば、「すご〜い」という賞賛がもらえたり、一緒に飛んだり跳ねたりしてくれるたり、新しいことが一杯つまった遊びの時間にすることができますよね。

「犬のような社会的動物にとって、オモチャは人間が一緒に遊んでゲームの一部になって初めて刺激的なものになるのです。飼い主がかまってあげなければ、犬の関心を長くは引き付けることはできません」と研究者は語っています。


パピーでも、大人になっても、遊びに熱中できるワンコさんたち。そのひたむきな姿に癒されることは多いですよね。イキイキ、キラキラした姿をたくさん見るためにも、一緒にオモチャを追いかけましょう♪
 

h/t to Why Dogs Find Some Toys Boring : Discovery News


[1] Pullen, A. J., Merrill, R. J., & Bradshaw, J. W. (2012). Habituation and dishabituation during object play in kennel-housed dogs. Animal cognition, 15(6), 1143-1150.

 
Featured image by Inna Astakhova via shutterstock

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