“ベイビートーク”は犬との関係構築に有効(研究)

サイエンス・リサーチ
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犬に対して甲高いあやすような話し方をするのは、飼い主にはよくあること。ちょっと恥ずかしいこの話し方は、もしかしたら犬との関係構築に有効かもしれません。

ヨーク大学の研究者らは、高い声での話しかけが犬の注意を喚起し、人間との関係構築を助ける可能性があることを示しました。


人が赤ちゃんに話しかけるときに行う特徴的な話し方は、対乳児発話(IDS:infant-directed speech)や、ベイビートーク、マザリーズなどと呼ばれ、乳児の言語獲得や社会性の発達に影響を与えるとして注目されてきました。

このベイビートークは対イヌでも研究がなされ、子犬の注意をも喚起することが確認されています。しかし、この話し方に影響されたのは子犬のみで、成犬についてはほとんど影響がないことが示されていました。

今回の研究は、先行研究で示されたセオリーが別の実験設定で確認されたものです。研究者らは実験によって、ベイビートークが犬になんらかの影響を与えるのかを確認しようとしました。ヨーク大学心理学科のSlocombe博士は、次のように述べています「この高いピッチのリズミカルなスピーチは、人間と犬の間で一般的に行われるものです。しかし、このスピーチが赤ちゃんに恩恵をもたらすように犬にも良い影響を与えるかは、あまり知られていません。動物と人間の社会的な絆が、コミュニケーションの内容によって影響を受けるかを確認したいと考えました」

今回の実験は、2017年の設定とは異なり、犬と同じ部屋にいる人間が発話する形で行われました(先行研究では犬のみが録音されたスピーチを聞いた)。これにより、犬にとってより自然な設定となり、そこにいる人間とどう接触するかも確認できるようになりました。

研究者は、成犬30匹に対して一連のスピーチ実験を行いました。実験では二人が発話をします。一人は甲高いベイビートークで「イイコね」とか「お散歩行く?」などと発話し、もう一人は自然な発話方法で「昨日は映画に行った」などの犬と関係のない話をする形です。

この設定で、発話中の犬の注意のありかたと、発話後の犬の行動とが観察されました。結果、犬は、犬関連の内容をベイビートーク口調で話す人と交流したがり、たくさんの時間を過ごしたがったことがわかりました。

次に、ベイビートークをする人が犬に関係のない話をし、自然な発話をする人が「お散歩する?」などの犬関連の内容を発話しました。この場合は、犬の好みは大きく偏ることはなかったそうです。成犬の場合は、声のピッチやトーンだけで興味を引くことは難しいようなのです。

研究者らは「成犬には、犬関連の話題を甲高い感情のこもった声で発話されることが必要であるようだ」とコメントしています。


ということで、犬の注意を引くのに甲高い声を発する”ベイビートーク”は役に立ちそうです。でも、大人になった犬は内容もよく聞いていますから、全然興味のない話題を振っても効果はありません。「オヤツ」や「散歩」などを散りばめた会話こそが、彼らとの関係をより良好なものにしてくれそうです。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Benjamin, A., & Slocombe, K. (2018). ‘Who’sa good boy?!’Dogs prefer naturalistic dog-directed speech. Animal cognition, 1-12.
[2] ‘Dog-Speak’ important for social bonding between pet and owner – News and events, The University of York

Featured image creditschankz/ shutterstock

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