犬はイヌ仲間と”分け合う”〜そして相手との関係によって行動を変える(研究)

生態・行動
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犬たちが人間とオヤツを分け合う、なんていう心温まる話を聞いたことがあります。何て優しいワンコさんなんだろうと驚いてしまいますが、一方でこれは犬が社会的だから起こす行動ではなく、人間に従属しているが故の行動だという意見もあります。

それでは、犬は犬に対して”ものを分け合う”とか”相手だけに得をさせる”という行動を起こすのでしょうか。この場合には”従属”の要素が少なくなりそうですから、気になるところです。オーストリアのUniversity of Veterinary Medicine Viennaの研究者たちが、16匹の犬を対象に実験を行いました[1]

犬は親しい犬と”シェア”できる

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俺たち、仲良しだよな〜 image by Soloviova Liudmyla / Shutterstock

犬たちが向社会的であるかを確認するために行われたのは、”バーを引くタスク”というもの。1匹(A犬)の前にあるバーを操作すると、他の犬(B犬)の前にあるトレイが動く仕組みになっています。操作によって動くトレイには、オヤツが乗っているものと何も乗っていないものの2種があり、A犬はどちらを動かすかの選択ができます。

実験は5つの制約条件下で行われました。(1)AB犬が親しくB犬がトレイを受け取ることができる、(2)AB犬は初対面でB犬がトレイを受け取ることができる、(3)AB犬は親しく、A犬はB犬の近くにいるが、B犬はトレイを受け取れない、(4)AB犬は初対面でA犬はB犬の近くにいるが、B犬はトレイを受け取れない、(5)A犬のみ、という違いです。ちなみにA犬は操作するだけで、自身は何ももらえません。犬が利他的行動をとるのかをテストする試みというわけです。

結果、A犬はオヤツ有りトレイをB犬が受け取れるよう操作することがわかりました。とりわけ、B犬が親しい犬である場合には、その頻度が多くなったそうです。

仲間に優しいコを育てられる!?

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しかしこれは俺のもんじゃ〜! image by Soloviova Liudmyla / Shutterstock

この実験では、犬たちが社会的な振る舞いをすることと共に、親しさの度合いが行動に影響を与えることがあることも示されました。初対面の犬を前にした時は、トレイの操作を行わなかった犬もいたといい、よく知らない犬に対しては向社会的行動は控えめであったと研究者は語っています。

向社会的行動(prosocial behavior)は、他者に利益をもたらそうと意図された自発的行動のこと[3]。人間以外の動物にも見られる行動で、これまでにラットやコクマルガラスを対象とした研究が行われてきましたが、知見の蓄積はそれほど多くはないとのことです。

気になるのは、こうした社会性をどのようにして身につけたのか?ということです。論文の筆頭著者であるMylene Quervel-Chaumette博士は「現時点ではオオカミの気質が受け継がれてきたことによるものか、あるいは家畜化の過程で培われてきたものかはわからない」と語っています[4]

また、飼い主が自分の犬を「他の犬に優しいコ」に育てることができるかも、わかっていません。犬種や個体によって気質や性質の違いがあることを考えると、優しい犬に育てるというのも不可能ではないという気もします。

飼い主さんが思う「うちのコって、私のことや他の犬のことも気にしてくれる優しいコなの」という感覚は、どうやら間違ってはいないようです。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Quervel-Chaumette, M., Dale, R., Marshall-Pescini, S., & Range, F. (2015). Familiarity affects other-regarding preferences in pet dogs. Scientific reports, 5.
[2] Vetmeduni Vienna : Dogs give friends food – Familiarity promotes prosocial behaviour
[3] 中島義明 (Ed.). (2011). 『心理学辞典』. 有斐閣.
[4] Can dogs be kind? Study says yes, it’s a dog-treat-dog world! – TODAY.com

Featured image : The donor dog (right) can pull a tray and donate food to the receiver-dog (left).Photo: Mylène Quervel-Chaumette/Vetmeduni Vienna

ウレシイ、寂しい、がっかり ・・・犬のキモチは顔の表情からわかるらしい(米研究) | the WOOF

遊んでいると笑顔を見せてくれたり、「じゃあお留守番ね」と言ったとき、「はぁ?なーに言っちゃってんの?」みたいな顔をされたり。 犬って表情豊かだなぁと思うこと、たくさんありますよね。わたしたちはどの程度、ワンコ達の表情からそのキモチを理解できるのでしょうか。

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