ヒトのガン治療薬の研究にワンコが活躍するって本当?

サイエンス・リサーチ
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犬はガン治療という点でも、ヒトの助けになってくれるのかもしれません。

イリノイ大学のファン教授(Timothy Fan)らは、犬への理学療法や治験が、ヒトのガン治療薬の開発に寄与する可能性を示唆しています(2015年6月8日-9日に開催された”National Cancer Policy Forum“で発表された)。

犬はガン治療への新たな道を拓くのか

ファン教授によれば、人間と犬は生理学的にかなり似ており、人間と犬のガン細胞についても共通点があるといいます。たとえば、年齡を重ねるとガンになる傾向がある点や、腫瘍が自然に大きくなる点で似通っているそうです。自然発症した初期段階の腫瘍をもつ犬に、ヒトのために開発された薬や療法を試すことは、ヒトと犬の双方にメリットがあるとファン教授は語っています。

たとえば、犬とヒトの腫瘍の成長スピードを比較するなど、これまでになかった視点での調査が可能になる点が一つ。さらには、マウスやラットでは試験できなかった薬について、犬で治験したうえでヒトの治験にすすむことができる点などもあります。最新の薬を試すことで、ガンを発症した犬の命を救う期待は高まるといいます。

犬の利用した療法や治験がすすんでいる

新しいガンの理学療法に犬を利用する研究は、すでに実施されているそうです。たとえば、2007年には、抗がん剤PAC-1をリンパ腫、骨肉腫を発症したペット犬に適用する研究が行われました。この結果、PAC-1は人間にも有効である可能性が示され、現在はヒトの臨床段階に進んでいるといいます。

なぜ犬なのか。なぜマウスやラットではいけないのか。その答えは、人間とマウス・ラットとの免疫システムの違いや酵素の違いなどによるそうです。生理学的に異なる生き物で試験をするのはそもそも困難ですし、結果がどう出たとしても活用できないこともあるというわけです。人間と同じ状態にするために、人為的にマウス・ラットを操作しなければならず、そのために限定的な効果しか得られなかったのかもしれないとファン教授は語っています。

もちろん、マウスやラットを用いる利点(入手のしやすさ、ライフスパンが短い点)や、犬を利用できない点(犬にみられない腫瘍が存在する点など)もあります。とはいえ、ヒトにより近い犬の協力を得ることで拓ける可能性に、ファン教授は期待をしているようです。「犬で有効という結果が出たら、ヒトにも良い結果を得られる期待は高まります」

 

h/t to Drug trials in pet dogs with cancer may speed advances in human oncology

 

Featured image from Kefca / Shutterstock

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