あなたの犬が攻撃的なのはホルモンのせいかもしれない

サイエンス・リサーチ
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お散歩中に出会う犬にも様々な気質のコがいます。リードを引っ張りワンワン吠える犬、飼い主に穏やかに寄り添う犬もいますよね。

この気質の違いには、ホルモンが影響しているらしいのです。アリゾナ大学の研究者らは、高レベルのバソプレッシンと低レベルのオキシトシンが犬の攻撃的な行動に影響する可能性を示唆しました。

攻撃的な犬はバソプレッシン値が高い

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image by Pauline / Flickr

研究を行ったのは、アリゾナ大学イヌ認知センターのマクリーン准教授ら。かねてより、犬の攻撃性に興味を持っていた教授は「攻撃性を生み出す生物学的プロセスに介入して影響を及ぼす方法があれば、犬と人間に大きな利益をもたらす可能性がある」とコメントしています。

研究者らのアプローチは、犬のオキシトシンとアルギニンバソプレッシンのレベルを調べるというものです。オキシトシンは良好な関係が築かれている時に分泌される「幸せホルモン」などと呼ばれるもの。そしてアルギニンバソプレッシン(AVP)は、攻撃性や行動力に関係すると言われるホルモンです。

2回の実験が行われ、犬のオキシトシン及びバソプレッシンレベルが測定、比較されました。実験協力犬として、様々な年齢、品種、性別なリードを引っ張り癖がある(攻撃的な)犬(1)と、同じ年齢・品種・性別の攻撃性の低い犬(2)が集められました。犬たちはいくつかのストレス状況に晒されるたのち、ホルモンレベルが測定されました。

結果、実験中に吠えや唸りなどの攻撃性を示した犬は高いバソプレッシンレベルを記録しました。一方のオキシトシンレベルについては、(1)と(2)の間に明らかな差はみられませんでした。

介助犬はオキシトシンレベルが高い

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image by Julie Falk / Flickr

次に研究者らは、トレーニング中の介助候補犬群(3)と、他の実験協力犬(家庭犬)のオキシトシンレベルを比較しました。結果、介助候補犬のオキシトシンレベルは他の実験協力犬に比べ、高いレベルにあることがわかりました。しかしバソプレッシンレベルに関しては、これら2つの犬群の間に大きな差異は見出されませんでした。

介助犬は、親しみやすさ、落ち着いた気質、攻撃的な行動がないとなどの基準で選定され、飼育されている犬の集団です。マクリーン准教授は「介助犬のオキシトシン値が高いことは、彼らの行動様式に一致している。彼らは非常にフレンドリーで、人や他の犬に攻撃性をみせることはない」と説明しています。

またマクリーン准教授は、今回わかったことが犬の攻撃性の抑制の助けになる可能性を示唆しています。「バソプレッシンが攻撃性を促進するなら、これを影響するような医薬品の開発も可能になる」とのことですが、そのためにはセロトニン、テストステロン、オキシトシン、バソプレッシンといった他のホルモンとの相互作用をさらに探求する必要があるようです。

ちなみに、人との触れ合いはオキシトシンレベルを上昇させるだけでなく、バソプレッシンレベルを減少させるそうです。そしてその効果は人間側にも及ぶのだそう。犬のナデナデは、犬のホルモン反応を引き起こしますが、私たちのホルモンに変化が起こというのです。


ひどく攻撃的になった犬への介入手法が増えるのは、非常に喜ばしいことですよね。ただ、薬による介入の道が開かれるにはまだまだ時間が必要です。現時点リードの引っ張りに悩む飼い主さんは、毎日のナデナデを長めにして愛犬を穏やか度合いをアップさせてくださいね。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] MacLean, E., Gesquiere, L., Gruen, M., Sherman, B., Martin, W. L., & Carter, C. S. (2017). Endogenous Oxytocin, Vasopressin and Aggression in Domestic Dogs. bioRxiv, 151514.
[2] The hormone that could be making your dog aggressive | EurekAlert! Science News

Featured image credit Jeff / Flickr

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