人と動物との心のコミュニケーション 〜アニマルセラピーを知っていますか?

犬に関わるお仕事
この記事をシェアする

こんにちは、ペットシッターふらCOCOです。私は高校卒業後、ペット関連の専門学校でアニマルセラピーを学びました(『ペットシッターになることを考えたきっかけと取得してよかった資格』)。

今日は、最近注目の分野といっても過言ではない「アニマルセラピー」についてお話しさせていただきます。少しだけですが、私自身の体験なども加えていますので、ぜひ楽しんでお読みくださいね。


アニマルセラピーの種類とは

アニマルセラピーとは、「動物とのふれあいや相互作用から生まれる様々な効果を医療や福祉、教育の現場で活用[1]」した活動であり、目的などによりおおまかに以下の3つの分野にわけられ、専門性も異なります。

  • 動物介在活動:AAA(Animal Assisted Activity)
  • 動物介在療法:AAT(Animal Assisted Therapy)
  • 動物介在教育:AAE(Animal Assisted Education)

動物介在活動とその効果

動物介在活動は、動物とふれあうことによる情緒的な安定、レクリエーション・QOLの向上等を主な目的としたふれあい活動です[1]

動物介在活動の場合は、個人への明確な目標や方針を定めることはありません。ボランティアさんなどが、動物を連れて施設等を訪問するというスタイルが多いです。動物とのふれあいを通して、その方の心の安定に繋げたり、会話を引き出したりすることが目指すものです。生活の質を向上させることによって、不安な心を和らげるといった効果もあります。一般にアニマルセラピーとよばれる活動の多くはこのタイプです。

動物介在活動による訪問は、複数の方を対象に行われます。たとえば犬を介在させることで、隣に座った方と自然な会話や笑顔が生まれることもあります。普段の生活の中で会話するきっかけがなかったとしても、犬がいることで自然な優しい空気が流れ、「昔、犬を飼っていたんですよ」といった自然な会話やコミュニケーションに繋がるようです。会話や笑顔が生まれるという嬉しい瞬間に立ち会えることは大きな喜びでもあります。

寝たきりの状態になっている方のもとに、犬を連れて訪問するという活動もあります。ベッドから手を出して犬に触れて頂いたり、手招きをしてくださるなんていう嬉しい経験ができるのも、こうした活動の素晴らしいところです。許可が下りていれば、犬と添い寝をするというような方もいらっしゃいます。利用者の方が、本当にリラックスした優しい表情になるので、こちらまで暖かい気持ちになります。

動物介在療法とその効果

動物介在療法は、人間の医療の現場で専門的な治療行為として行われる動物を介在させた補助療法です[1]。補助療法のひとつに音楽療法がありますが、症状を緩和させたり、患者さんの自然治癒力を高めるような効果があると言われています。

怪我をした患者さんの身体的訓練に、犬を介在させる場合を例にとります。患者さんにとって、ボールを投げるという動作はとてもつらいものです。この辛い訓練の中に、ボール遊びが好きな犬を介在させ、「犬の為」にボールを投げてもらうのです。大好きなボール遊びですから、犬もせっせとボールを運びます。とても辛い訓練なのに、動物を介在させることでリハビリへの意欲が向上したり、楽しい気持ちといったプラスの効果が出ることがあります。訓練もすすみますから、患者さんは前向きな気持ちや自信を取り戻すことにもつながります。

動物介在療法では、医療の各分野の専門家がチームをつくり、目標達成のために一丸となって努力をするのです。チーム活動については都度評価を行い、再考しながら患者さんごとにプログラムを作っていくことになります。

動物介在教育とその効果

動物介在教育は、動物を教育のツールとして活用し、教育の質および学習意欲の向上を目的に行われる活動[2]です。小学校などに動物とともに訪問して、正しい動物とのふれあい方や命の大切さを子供達に学んでもらう活動がこれにあたります。

動物介在教育では、学習の目的や目標が設定され、教育(学習)計画に基づき、ハンドラーや専門家、教員などで構成されるチームをつくって教育活動の範囲で実施・評価をされます[2]

子どもたちにとって、動物は様々なことを教えてくれる存在です。命の大切さだけでなく、優しい言葉や思いやり、いたわりの心を学びます。お世話をすることの大切さを通して、責任感や協調性を学ぶこともできます。自分がお世話をする対象がいることによって、自立心や忍耐力を学ぶこともできるのです。

最近では、小さな子どもがいる家庭でも、犬や猫を飼うという方が増えてきました。子どもにとって、動物との生活自体が教育につながっているのでしょうね。兄弟のような、友達のような、愛すべき存在が家族にいることで子どもの心も安らぎ、慈しみの気持ちも育まれると言われています。また、実際に触れ合うことで、動物と安全に接する方法も自然に学ぶことができるという効果もあります。

人と動物の心に関わる分野だからこその奥深さ

アニマルセラピーと言われる分野は、人の心に関わる分野としてとても奥の深い分野です。人は昔から動物と共に生きてきました。そして、動物と関わることで癒しの心も感じてきたのです。孤独の心を癒しストレスが減る、愛情を送る存在ができる、生活のリズムを整えてくれる。動物からは数え切れないほどのパワーを受けとっているのだと感じます。

だからこそ、人は動物から与えられる以上の愛情を、注いであげなければならないのではないかと、私は思うのです。そうしてはじめて、お互いにとって幸せな関係を築くことができるのだと考えます。

アニマルセラピーを学ぶことで、そして活動に従事することで、動物との関係について再考することができました。これからも深く学んでいきたいし、多くの方に知っていただきたのがこのアニマルセラピーという分野です。


[1] JAHA – 公益社団法人日本動物病院協会 – アニマルセラピー
[2] ASAET | 動物介在教育療法学会 | 動物介在教育の定義

 
Featured image by oneinchpunch via shutterstock

the WOOF イヌメディア > すべての記事 > イヌと暮らす > 犬に関わるお仕事 > 人と動物との心のコミュニケーション 〜アニマルセラピーを知っていますか?

暮らしに役立つイヌ情報が満載の「theWOOFニュースレター」を今すぐ無料購読しよう!

もっと見る
ページトップへ