犬にもプロポリスは効果的? ミツバチからの贈り物はワンコに何をもたらすのか

健康管理
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みなさんはプロポリスをご存知ですか?

プロポリスは今や、認知度の高いサプリメントの一つですから、使ったことがある方も少なくはないと思います。

では、ワンコにプロポリスというのはどうでしょう。え〜!ワンコにプロポリスって、与えても大丈夫なの? 与えたとして、一体どんな効果があるの?? 今日は、そんな疑問にちょっぴりお答えしたいと思います。

プロポリスってどんなもの?

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image by Jukhie Damak / Shutterstock

そもそも、プロポリスって何でしょう。まずはミツバチの巣を思い浮かべてみてください。

ミツバチの巣箱の中は小さな仕切りがたくさんあって、かなり丈夫そうなつくりをしていますよね。この仕切りや壁は、ミツバチが一生懸命集めてきた木や植物の樹脂によって強固に支えられているのです。この樹脂こそが、プロポリス。巣を頑強にするだけでなく、中に住むたくさんのミツバチが細菌などに感染しないよう守る役割も果たしています。

プロポリスには、フラボノイドやコーヒー酸エステル、ジテルペンという成分が含まれており、静菌作用や殺菌作用、抗ウイルス作用、抗真菌作用があります。それ以外にも、腫瘍に対する効果が確認されています。

ワンコに対するプロポリスの効果

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お耳にも、いいのかな? image by mykeyruna / Shutterstock

ワンコ達に与えた時には、以下のような様々な効果が期待できると考えられています。

・外耳炎

外耳炎は、外耳道の炎症を起こす病気で、耳垢が増えたり痒がったりという症状を示す、よくみられる病気です。暑さや湿気により発生することもあります。外耳炎に罹ったワンコの耳垢を調べてみると、マラセチア菌が分離されることが多いといわれています。また、黄色ブドウ球菌もマラセチア菌と一緒によく分離されます。

この外耳炎の新しい治療法として、プロポリス抽出液の局所的投与(耳の中に直接注入する方法)が報告されています。プロポリスには、広域性抗菌作用(たくさんの種類の細菌に対して効果を示す)や抗炎症作用があることが知られており、犬の外耳炎にも効果を示すとされています。また、副作用がなく、安価であることも利点と考えられています。

・歯周病

歯周病は発生率の高い病気です。では、どのようにして歯周病が起きるのでしょうか。まず、細菌や食べかす、細胞残渣などと唾液が混ざり合い歯の上にプラークが形成されます。このプラークは、硬くなり、歯石となって歯肉炎を起こします。そして炎症が広がり、歯周病を発生して、最終的には歯が抜け落ちてしまうことになりかねません。

歯周病を予防するには、プラークの形成を防止しなくてはなりませんが、クロルヘキシジンなどの抗菌薬では副作用があるため、長期間使用することはできません。そこで、プロポリスなどのナチュラルプロダクトによる歯周病の予防について研究が行われています。エタノール抽出プロポリスは歯肉の炎症を抑え、細菌の活性を抑える効果があると思われるため、副作用のない、口内殺菌剤として使用できるのではないかと考えられています。

・細菌性感染

黄色ブドウ球菌という細菌は、ワンコに様々な感染性疾患を引き起こすことが知られています。プロポリスは、この黄色ブドウ球菌に効果を示すことが確認されていますが、その効果はペニシリンによる細菌増殖抑制効果よりも弱いことが明らかにされています。実験では、20~40%のアルコール抽出プロポリスを患部に塗布することにより効果が得られたという報告があります。

・皮膚糸状菌症

糸状菌は、爪や毛などの角質組織や皮膚の角質層に住み、人にも感染するので注意しなくてはならない感染菌です。これまで犬の糸状菌症に対していろいろな治療法が試みられてきましたが、なかなか効果がみられなかったり、強い副作用を示したり、確実な治療法は確立されていません。ある研究では、皮膚糸状菌症に罹った3匹のワンコに対して市販のプロポリスシャンプーを週に1回、3~8週間使用し、同時にプロポリス軟膏を患部に塗布しました。すると、治療を開始してから2週間後には糸状菌は陰性となり、3匹のワンコの症状が良化したそうです。

・腫瘍に対する効果

これまでの研究によると、プロポリスは犬の可移植性性器肉腫や犬骨肉腫に効果があると考えられています。犬骨肉腫に関しては、ジオプロポリスという特別なプロポリスが効果を示すと報告されています。このジオプロポリスは、Melipona asciculate Smithという学名の、針を持たないミツバチが植物から樹脂を集め、それに土や粘度を混ぜて作る特別なプロポリスのことをいいます。ジオプロポリスは、抗菌作用や抗炎症作用のほか、抗腫瘍活性作用があると考えられています。

犬のクッシング症候群という病気は、副腎や下垂体の腫瘍により発生することが多いといわれています。ある研究では、様々なステージのクッシング症候群に罹ったワンコに、水とプロポリスを混和した溶液を12時間ごとに3ヶ月間経口投与したところ、3匹のワンコが完全に治癒したと報告されています。

このほか、プロポリスには免疫賦活効果(ワクチンの効果を長く持続させたり、ワクチンの効果を高める)や眼病への効果、肝臓疾患への効果なども報告されています。


このように、ワンコに対してもプロポリスはとても効果的であると考えられていますが、安全で効果的な使用法についてはまだ確立されていないため、使用する際には十分な注意が必要です。まずは動物病院で診断を受け、獣医師に相談してから使用することをおすすめいたします。

◼︎以下の資料を参考に執筆しました。
[1] Propolis in Dogs: Clinical Experiences and Perspectives

Featured image from jadimages / Shutterstock

 

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