みなさんこんにちは。僕、東京で暮らしているパグ犬「ぐり」です。
普段は本を紹介することが多いのですが、今日はDVDにしますね。たまには忙しい手をとめて、自宅で観てもらえたらいいなと思う作品を紹介します。
売れっ子小説家は強迫神経症
紹介する作品は「恋愛小説家」(ジャック・ニコルソン/ヘレン・ハント出演 ジェームズ・L・ブルックス監督 1997年)。強迫神経症の主人公がある女性に恋をし、それがきっかけで自身も変わっていく物語です。この作品で、ジャック・ニコルソンとヘレン・ハントはそれぞれアカデミー主演男優賞、主演女優賞を受賞しています。
売れっ子恋愛小説家のメルビンは、中年の男性。女性もうっとりするような恋愛小説を執筆するのに、私生活では極度の潔癖症で、身近な人との関係もうまく築けません。冒頭で、隣に住むゲイの画家サイモンが飼っている犬のバーデルも追い払うのですが、ひょんなことからこの犬を預かることになってしまいます。
目を見張る犬の演技
メルビンに預けられたら、バーデルはなぜかメルビンにとてもよくなつくようになります。メルビンも、一緒に散歩に出かけた時に、バーデルが自分と同じように道の継ぎ目をよけて歩くのを見て、一気にバーデルとの距離が縮まりました。それでも抱っこをするときの手にはビニール袋をはめているのですけれどね。
そう。この犬、映画の中でちゃんと道の継ぎ目をよけて歩いているのです。びっくりでしょう? また、おそるおそる人に近づくときはちゃんとほふく前進ですし、サイモンが戻ってきても、すっかりバーデルになついていて、つれない態度をとる演技もこなしています。
このバーデルという犬、犬種はブリュッセル・グリフォン。ベルギー原産の小型犬です。鼻ぺちゃだから、パグ犬の僕としては親近感があるんですよね。日本では、脚本家の三谷幸喜さんが飼っているそうですよ(「三谷幸喜のありふれた生活」 2013年8月1日朝日新聞夕刊)。
人と人との関係性に絶妙なアクセントを
この作品は、さまざまな人間関係を鮮やかに描き出しています。大きな軸になるのは主人公メルビンと、彼の行きつけの店でウェイトレスをしているキャロルとの恋愛ですが、そのほかにも隣人のサイモンとの関係、サイモンと恋人との関係、シングルマザーであるキャロルの、息子や母親との関係など、さまざまな人間関係の物語が並行して進みます。それが一番の見どころではあるのですが、そこに、人と犬との関係も加えられて、物語に絶妙なアクセントを与えています。
メルビンがバーデルを預かり、初めて一緒にキャロルのいる店へ行ったとき。歩道に待たせているバーデルを見つめているときにふと見せる、メルビンの笑顔はものすごく素敵です。数日を一緒に過ごしたバーデルを、飼い主に返さなくてはならないと知った時のメルビンの表情も見ものです。犬には、人気持ちをこんなにも動かしてしまう力があることを実感します。すべての犬好きの方に、観ていただきたい作品です。
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