皆さんこんにちは! WOOFOO天国出張所勤務・読書犬パグのぐりです。お元気ですか?
こちら、天国はいつも穏やかな気候で、それこそ毎日「春」みたいな気分なのですが、地上ははやばやと「夏」のように気温の高い日もちらほら出始めたとか。ちょっと汗ばむ日もあるよ!と、地上での飼い主だったNさんからメッセージが届きました。桜が終わって、新緑の季節。きっと美しい木々の葉が「まっていました!」とばかりに、元気にしげりはじめているんだろうなぁ。
あの有名女優さんは大家族
さてさて、皆さんはインスタグラムって見ます? 僕、少しだけ見てるの。でね、なんでインスタを見るようになったかっていうとね、石田ゆり子さんという女優さんの、犬と猫たちのインスタが見たくて始めたのね。今回は、そんな動物大好きな石田さんの著書をご紹介しますよ。
『はなちゃんの夏休み』(石田ゆり子著 ほぼ日ブックス 2013年)は、2001年生まれのラブラドールレトリバー・「はな」(正式には「花」)が、ほぼ日刊糸井新聞編集長・糸井重里さんの飼い犬、ブイヨンに宛てた手紙で構成されています。ほぼ日の愛読者であったゆり子さんが、ある日糸井さんの事務所を訪ね、当時ほぼ日で連載されていた、ブイヨンの「きまぐれカメら」のまねっこをしてみたい、と糸井さんに話したことから、とんとん拍子で企画が立てられ、ほぼ日で始まったのがこの「はなちゃんの夏休み。」の連載でした。
冷静な目で「ばあや」を分析
はなは小さいころにゆり子さんの家へやってきて、最初の2年間くらいは、それはそれはやんちゃに過ごしたらしいです。でもこの連載当時はもう10歳くらい。だいぶ落ち着いて、おだやかな日々を過ごしておりました。
とはいっても、ここは石田家。犬と人だけではおさまりません。なんと先住猫が4匹もいたんです。この本は、写真と文章で構成されていて、主役はもちろんはななのですが、この猫たちも、たびたび登場します。ゆり子さんは「ばあや」として登場します。
さて、はなは名前からも想像がつく通り、メスのラブラドール。優しい笑顔でこちらを向いている写真を見て、内容も穏やかなんだろうなと勝手に想像しながらページをめくってみると…最初のほうに衝撃的な一文が!
ばあやはなまけもので
いつもぐずぐずしています。
だから四十になっても「ひとり」です。
ばかだと思います。
(「ぶいちゃん、はなちゃんです。」p11)
ね、びっくりでしょ。この後も、すぐに手工芸品を買ってきてしまうばあやや、月末になると天丼をもって現れる税理士の「こんのさん」が、買い物しすぎなばあやの領収書を見ては無駄遣いを叱っているなどなど、ばあやの日常を暴露しています(笑)。
天は人の上に…
さて、本書はほとんどがはなちゃんからブイちゃんへの手紙なのですが、たまーに、「ばあや」の文章も載っています。そこを読むと、ゆり子さんがどれだけ動物が好きで、愛していて、5匹の子たちにいつまでも健康で、元気にいてほしいと思っているか、が伝わってきます。
そしてこのばあやは、5匹がみんな平和に暮らせるようにと、はなが家族に加わったときに、彼女は猫よりも下である、という順位付けをしました。そうそう、僕たち犬は、自分がその家族の中で、どの位置にいるかを気にするからね。
それで、猫たちはみんな、はなちゃんよりも先にその家にいたから、はなちゃんが一番下になったの。いっちばん大きい体だけどね。でも、はなちゃんはこれに不満を持っています。
てんは、ひとのうえに、ひとをつくらず。
と、ばあやが教えてくれました。
しかしはなちゃんは、おもう。
てんは、いぬのうえにねこをつくった。
(「ちからかんけい。」p150)
この文章、うまい!と僕は思った。そしてはなちゃんは、自分がソファに乗りそうなだけでばあやからひどく叱られるのに、猫たちはどこにでも乗り放題。なのに怒られていないって不満をもらします。だけど、そんな理不尽さを感じながらも、自分の中で折り合いをつけて暮らしているのがはなちゃんなのです。大人!
4匹の猫のなかでも、仲良しな子はいて、はなちゃんが一番慕っているのは「ミント」。そしていつもはなちゃんが不満をもっているのが「どすこいおやじ」こと本名「アンジェリク」。「どすこいおやじ」ってすごいよね(笑)。
ゆり子さんは今、この当時とは違う猫4匹と犬1匹といっしょに暮らしています。いつまでも元気で、健康にと願った初代の5匹は、きっとものすごく幸せに暮らして、こちらに来たのかなって思います(そのあたりのことはこちらのサイトに)。そして糸井家のブイちゃんも、昨年こちらに来ました。みんな楽しく、元気に過ごしているから、心配しないでね。
動物たちの素晴らしいところは、「今この一瞬」を生きていることです。人間だけが、過去や未来に気を取られ、今を忘れてしまう生き物のようです。今、今、今の積み重ねで時間は出来ていて、ほんとは「時間」というものは存在しないそうです。(「ばあやでございます。」p194)
猫と犬。5匹が「今」を最大限に楽しく生きられるように、心から彼らに寄り添う「ばあや」ことゆり子さんの魅力も、十分に伝わってくる1冊です。
東京糸井重里事務所
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Featured image creditKevin Erdvig/ unsplash