ヒトのオスが入り込む余地はない!?~『終生ヒトのオスは飼わず』

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皆さんこんにちは! 読書犬パグのぐりです。

気づけばもう3月。梅が満開かな? 僕、梅の香りが大好きなんです。花の咲き方は桜より地味。でも香りは桜に負けず劣らず素敵だよね。まだ寒さの残る中で咲く梅を見つけ、その香りがすると、確実に春が近づいてる!って、ちょっと嬉しくなるんです。皆さんはどうですか?

犬も猫も家族

終生ヒトのオスは飼わず (文春文庫)

さて、今日ご紹介するのは、ロシア語通訳者、翻訳家、作家だった米原万里さんの『終生ヒトのオスは飼わず』(米原万里著 文春文庫 2010年)です。僕、昔から米原さんの大ファンで。特にそのエッセイが好きでよく読んでいたんです。この方、動物が大好きだったそうで、たくさんの猫と犬を飼っていたことは、つい最近知りました。

この本は、米原さんが飼っていた猫と犬のことがつづられています。犬については、米原さんは生涯で何匹かの犬を飼ったのですが、中でもとても賢く、人間だけでなく猫からも絶大な信頼を得ていた「ゲン」を特に愛していたようです。しかしある日、ゲンは雷に驚いて自宅の庭から脱走して行方不明に。この本では、米原さんがゲンを探し求め続ける姿が描かれています。

どうやって探したか。行方不明になる数日前にある理由で鑑札をはずしてしまっていたゲン。だから見つけられても動物管理事務所に連れていかれてしまうのではないかと心配していました。動物管理事務所では、4日間は保護された犬の飼い主が現れるのを待ってくれるけれど、現れなければ殺処分されてしまう可能性が高いの。だから、4日ごとに米原さんは動物管理事務所へ電話をかけて、「ゲンは見つかりましたでしょうか」と確認していました。ある時なんて、仕事でロシアに出張した米原さんは出張先から自宅の留守番電話をチェック。地球のどこにいても、4日おきの電話は欠かしませんでした。他にも近所に捜索願いのビラを貼り、似たような犬が歩いていないかと常に気にしながら生活していたのです。

時々「そっくりな犬がいる」との情報が寄せられると、米原さんはすっ飛んでいきますが、だいたい期待を裏切られる。本当に切ないです。保健所の職員さんも、4日おきに電話をかけてくる米原さんのゲンを気にして、似ている犬が保護されるとすぐさま米原さんに電話。本当に親身になって対応してくれました。でもやっぱり、ゲンは見つからない。

似ていた犬にも責任をもって…

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image by mor.nitesh / Flickr

ある時、ゲンと似ている犬がいる、と連絡を受け、動物管理事務所へ駆けつけた米原さん。ゲンではないとわかっても、そのゲンに似ている犬がどうしても気になって自分で引き取りました。そうやって米原家の家族になった犬はなんと2匹も。知り合いからは、そのうちゲンに似た犬で庭がいっぱいになるのではないかと言われる始末。でも、やっぱりほっておけないのでしょう。時々ゲンと比べてしまいながらも、米原さんはその、ゲン似のモモとノラを、責任をもって育てたのでした。

ありったけの愛情を注ぐ

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image by Kaiwen Sun / unsplash

犬に関する読みどころは、このゲンを軸として進められるのですが、他は猫たちの物語。米原家にはターニャ、ソーニャ、無理、道理、ソーニャの子どもの龍馬、志摩、耶麻と、たくさんの猫たちが変われていました。ソーニャはブルー・ペルシャですが、生まれてきた子は他の猫さんの血を受け継いでいて、親猫とは似ていません。でも米原さんは子どもたちの貰い手を必死で探します。

3匹の子どもの中でも龍馬はとびきりの臆病者で、見に来てくれたお客さんの前へ自分からは決していかないのです。それでも米原さんの努力のかいあって、耶麻と龍馬は2匹セットで吉岡忍さん夫妻のもとへもらわれていきました。が…。

とにかく毎日いろいろなことが起こる米原家。万里さんは、生涯ご結婚はされなかったので、この本のタイトルがついたのだと思います。これだけの大家族と一緒に暮らしていては、それはまあ、ヒトのオスは割り込めなかったのだろうなと思い読み進めてみたら、元TBSアナウンサー・宇野俶子さんの書かれた解説の最後にこうありました。

作家としての万里さんは、持ち前の正義感と時代を見通す力、弱者に寄り添う優しさで現実を切り取り、小説やエッセイ、評論、コラム、ノンフィクションなど多くの作品に結実させた。万里さんの愛と関心は、もっぱら生類と人類に注ぎ込まれ、「ヒトのオス」は割り込むすきがなかったのだ。それは確かだ。(p255)

そう、万里さんはありったけの愛情を生類、つまり生き物に注ぎました。そして人類にも。その一端がわかるのが本書です。ではなぜ万里さんがそういう人に育ったのか? それはご自分のご両親のことを書かれた文章からなんとなく読み取れました。動物のことだけでなく、自身のことをつづったエッセイも一緒に収録されているのがこの本のもう一つの魅力だと思います。


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Featured image credit mor.nitesh / Flickr

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