皆さんこんにちは。とうとう僕の苦手だったジメジメの季節が到来しているようですが、お元気ですか。WOOFOO天国出張所の勤務犬、パグのぐりです。
いやあ、こういう季節は涼しい映画館で面白い映画を観る! おすすめです。コーラとポップコーンなんてあったらもっといいね~。
話題のストップモーション・アニメ
というわけで、観てきました。5月25日に公開された『犬ヶ島』(ウェス・アンダーソン監督 コーユー・ランキン、リーブ・シュレイバー他出演(声)、2018年 アメリカ 20世紀フォックス映画配給)。もうご覧になりましたか? 犬好きの方々には気になる映画ではないでしょうか。
この映画、僕が一番興味をそそられたのは、全編ストップモーション・アニメだということ。つまり、パペット(人形)をちょっとずつ動かしながらコマ撮りをして、それをつなげて編集しているんです。以前、NHKのキャラクター、「どーもくん」のCMがこのストップモーション・アニメの手法をとっていて、なんともあったかみがあって興味を持ちました。『犬ヶ島』はCGが使われていないというのでびっくり。かなりアナログな作りになっています。
今昔ごちゃまぜな日本
さて、物語は、20年後の日本にある市、「メガ崎市」。ここで長年権力の座に君臨している小林市長が、市内の犬をすべて排除すると明言。犬たちはゴミ島へ送られてしまいます。ゴミ島では、劣悪な環境の中で生き延びた犬たちが暮らし始めていました。そこに、自分の飼い犬を探しにやってきた唯一の人間が。それは小林市長の養子のアタリ少年でした。アタリは自分の犬を探す中で、他の犬たちと出会い、最終的には養父である小林市長の陰謀を暴き、阻止していきます。
元野良犬だったチーフをはじめ、教師に飼われていた気のいいレックス、タレント犬だったキング、野球チームのマスコット犬だったボスなど。それぞれの過去をもちながら、ゴミ島で出会った犬たちは結束し、アタリを先頭に冒険を続けます。
政治のブラックな面や、正直者(ドッグ病の血清を開発する科学者)がつらい目にあってしまうシチュエーションなど、ウーム、日本をよく見ているな、と思わせるストーリーもちりばめられ…。一方で、メガ崎市の街並みは近未来的なのに、犬たちをゴミ島へ送るのはものすごくアナログな滑車だったり、物語中に出てくる電話が、あのダイヤル電話だったり(飼い主Nさんの小さいころは実家も黒電話だったらしい。本人いわく「停電しても関係なく使えるすぐれもの」だったそうです)と、今昔織り交ぜた不思議な雰囲気もありました。
日本を好きでいてくれる外国人監督
監督のアメリカ人、ウェス・アンダーソンは、日本が大好きなんだって。特に黒澤明監督の映画や宮崎駿監督のアニメからは多くのインスピレーションを受けているとのことです。太鼓を使ったBGMが印象的ですが、これも黒澤映画を意識したものだそう。黒澤映画を観たことのない僕にはよくわかりませんが、知っている人が見たらピンとくるのかもしれません。
声優陣も豪華。オノ・ヨーコは、劇中で科学者の助手を務めているその名も「ヨーコ・オノ」の声を担当。ほかにも渡辺謙や野田洋次郎(バンド「RADWIMPS」のボーカル)も声で出演しています。
アタリの声を担当したのは、コーユー・ランキン。カナダ人の父と日本人の母をもつバイリンガルの11歳(イケメン。HPで写真確認できるよ)。彼の話し方は独特で、アタリの雰囲気をうまく作っているなって思った。滑らかな日本語ではないんだけれども、そのたどたどしさに逆にひきこまれるというか…。わざとそういう役作りをしたのかもしれませんが。
僕が興味をもっていたストップモーション・アニメの技法。やはり何か、CGとは違った、ちょっとあったかい感じの空気感があったように思います。登場人物や犬たちの動きはとても自然で、知らなければ、人形をちょっとずつ動かしながら撮影しているなんて思わないんじゃないかなあ。
この映画は上映時間101分。そのために作られた人形は1097体!そして14万4千の静止画が撮影されたそうです。もうどれだけ根気のいる作業だったのでしょうか。そんな現場の作業が、映画の公式サイトの「MAKING」でのぞくことができますよ。人形1体つくるのにも、相当な手間がかかっていることがよくわかります。
今昔入り混じった日本を表現しているので「本当の日本はこんなんじゃないのに」と思う人もいるのかもしれないけれど、僕はこんな作品を作ってしまうほど日本を好きでいてくれる外国人がいるということに感動しました。
見どころ満載です。ぜひ映画館でご覧になってみてくださいね。
映画『犬ヶ島』 公式サイト
日本を舞台に、失踪した愛犬を探す少年と、犬たちの壮大な旅と冒険を描く全編ストップモーションアニメのウェス・アンダーソン監督作品。大ヒット上映中!