【犬本紹介】映画出演犬はこうして演技する『いつもとなりに犬がいた』~ドッグトレーナー物語

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皆さんこんにちは~!天国在住の読書犬・パグのぐりです。

この原稿がアップされる頃には、もう梅雨明けしているかな? 今はまだジメジメアツアツの日が続いているみたいだけど。

夏になると、アスファルトがアッチッチッてなるんだよね。僕たちの肉球、やけどしちゃうから、飼い主の皆さんご注意お願いいたします♪

あの有名作品の立役者

いつもとなりに犬がいた

さて、今月はちょっと面白いお仕事をしている方が書いた本を紹介するね。『いつもとなりに犬がいた』(宮忠臣著 PHP研究所 2009年)は、日本初のドッグトレーナーである著者が、これまでに一緒に仕事をしてきた犬たちのことを書いた本です。

ドッグトレーナーは、映画やドラマ、CMに出演する犬、通称「俳優犬」の訓練やケアを担当する人。宮さんはその仕事を日本で初めて始めた方で、これまでに『南極物語』『マリリンに会いたい』『クイール』『ディロン~運命の犬』など、数多くの作品にかかわってきました。

もともとは警察犬の訓練士だった宮さん。その後独立して自分で訓練所を始めました。その頃に、知り合いから声をかけられて、映画『南極物語』に関わるように。知ってた?『南極物語』の撮影って、北極でしたんだって。でも、季節の都合で途中で一度日本に戻らなくてはならなくなり、犬たちに最適な環境はと探して選んだのが、北海道の稚内。蚊もいないので、フィラリアの心配のない、そして夏もそれほど暑くならないこの土地は犬にとっても最高でした。そこで、市の依頼もあって、動物ふれあいランドを運営しつつ、トレーナーの仕事をしていきます。

どんな犬が向いている?

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image by Eselsmann™ / Flickr

宮さんがかかわった、わりと近年の作品には、以前このコーナーでも紹介した『マリと子犬の物語』や『犬と私の10の約束』があります。あの映画に出てきた犬たちの演技、素晴らしかったよね。映画って脚本があって、セリフも動きも決まっている。人間はまだしも、どうして犬たちもあんなに上手に演技ができるのか、僕、不思議だったよ。

その謎解きがこの本には書かれているんだ。まず、制作サイドから「こういう犬を」と依頼されると、宮さんの犬探しがはじまります。どんな犬が俳優に向いているんだろう?宮さんはこう書いています。

どこに行っても、誰がいても物怖じしないくらい度胸のある犬でないと、撮影現場はこなしていけません。そしてときには、僕も驚いてしまうような、思った以上に良い動きをしてくれる。それぐらい活発な犬がベストなのだと思っています。(p108)

なるほど。宮さんは、警察犬や盲導犬が俳優犬に向いているとは必ずしも言えない、と書いています。適材適所って、犬にもあるんだね。まあ当たり前か。それはきっと人と一緒だよね。

いろんなネットワークも使って、適任と思われる犬に出会ったら、撮影の数か月前から宮さんはその犬と一緒に生活するそうです。そして訓練に入る。たとえば、撮影中はトレーナーが声を出して犬に指示を出すことはできません。だって、他の俳優さんたちが台詞を言っているかもしれないし、無音のシーンかもしれないし。だから、声を出さないでも指示を出せる訓練をするのです。

ですが、どれだけ訓練を積んでも、撮影現場で思わぬことが起こる。土砂降りのシーンで犬が雨を怖がり出す、宮さんと犬のパートナーシップはばっちりでも、共演する子役の子が実は犬嫌いとか。「もはやこれまでか」と思うことも何度もあったそうです。でも宮さんはあきらめない。犬をよく見て、自分のしてほしいことをなんとか伝えて、手を変え品を変え、難局も切り抜けてきました。

犬たちの撮影秘話

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image by Kevin O’Mara / Flickr

作品によってのちょっとした裏話もこの本の読みどころです。たとえば『犬と私の10の約束』。田中麗奈さんと共演したソックスの名演技、皆さんの記憶にも残っていると思います。ソックスの本名は忍(シノブ)、もともと警察犬の訓練所でのんびり過ごしていた犬だったそうです。宮さんは彼女を見つけた時に一目ぼれ。その美しい毛並みからたたずまいまで、女優としての輝きを感じ、スカウトしました。

が…。それまで訓練所という特定の場所でのんびり過ごしていた忍にとって、多くの知らない人がいる撮影現場は未知の場所。最初はおびえてしまい、宮さんを慌てさせました。でもその弱点が分かったから、宮さんはなるべく忍と一緒にいろんな場所に行き、初めての場所に来ても動揺しないように訓練していきます。そしてその結果があの映画の名演技へとつながったのです。

どう? もう一回あの映画、見たくなりません? 僕は見たくなったよ。この本、前半の大部分は写真集になっているの。いろんな映画に出た犬たちが見られます。犬好きの皆さんであれば、だいたいはすでにご覧になっている映画の犬たち。懐かしさも感じられる1冊。オススメです!


いつもとなりに犬がいた
宮 忠臣
PHP研究所
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Featured image credit Joe Loong / Flickr

ドッグトレーナー, 南極物語, マリと子犬の物語, 犬と私の10の約束

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