皆さんこんにちは。東京のパグ犬「ぐり」です。
突然ですが、ジャック・ラッセル・テリアってご存知ですか?
「そんな有名な犬種、知っているにきまっているでしょう」ですって? ごめんなさい~。そう、確かにもう十分日本でも有名な犬ですよね。僕はパグですが、近所にジャック・ラッセル・テリアの友だちがいます。笑顔がステキで、すっごく運動が好きで、毎日たーくさん散歩していますよ。
今回ご紹介するのは、ジャック・ラッセル・テリアの写真集です。ある会社員さんが飼っていたジャック・ラッセル・テリアが、赤ちゃんを産みます。出産のとき、その後の子育て、そして…犬の日々を無心に追ったたくさんの写真が、丁寧に編まれた一冊です。
生まれる
主人公は、ルーシーという女の子。ひょんなきっかけでお見合いをして、赤ちゃんを身ごもります。9週間の妊娠期間を経て、いよいよ出産。出産中の苦しそうなルーシーの表情。「お母さんってすごい」読み手をそう思わせる一枚です。そして、長い時間をかけて、やっと子犬たちが生まれてきます。
新しい飼い主さんに出会うまで「ニコ」「サンコ」「ヨンコ」と名付けられた子犬は、みんな女の子。まだ目のあかないうちから、お母さんのおっぱいを探し当てて無心に吸い付きます。どんなに小さくても、生きていく力をもっている。そんなことを感じさせてくれるシーンです。
じゃれあって育つ
よく、犬に社会性が身に付くのは、小さい頃の親やきょうだいとのかかわりから、といいますよね。ルーシーの子どもたちも、おっぱいを飲んで寝ているだけのときから、徐々に成長して、少しずつきょうだいたちとかかわるようになっていきます。遊んだり、喧嘩したり。毎日毎日、疲れるまで遊んでは寝る、その繰り返しです。
そして、遊びや日常の中で、ちょっとずつそれぞれの個性が表れてきます。リーダー的存在のサンコ、元気印のニコ、末っ子で甘え上手なヨンコ。お母さんのルーシーはそんな3匹を時には叱り、たしなめつつも、いつも最大限の愛情を注いで育てていきます。
新しい世界へ
優しいお母さんの元ですくすくと成長した3匹。まずはサンコが新しい飼い主さんとの生活を始めることになります。続いてニコ。ヨンコは? それは本を読んでのお楽しみです。それぞれの生活を始めたルーシーと子どもたちは、1年後に再会します。しばらく離れていても、会えばあっという間に一緒に暮らしていたあの頃に舞い戻る。きっと人間もそうですよね。同窓会で再会して、一気にタイムスリップしたようだった、とよく僕の飼い主さんも言っているし。
もう1匹のこと
ここまで読まれて、子犬の名前に「あれ?」と思った方もいるかもしれません。そう。なぜ「イチコ」が出てこないのか、と。ルーシーと3匹の子犬たちの物語が終わった後、この本にはもうひとつ「ハロー、グッバイ。-そして、イチコのこと。-」という章があります。飼い主とルーシーとの出会いからルーシーのお見合い、結婚、妊娠、そして出産のときのことがこまかく書かれているのです。そこにイチコのことも出てきます。
子犬はかわいいと誰もが思いますよね。この本に出てくる子犬たちもすごくかわいいです。だけど、なんというか、ただかわいいだけの本ではないのです。ルーシーの姿が本当に美しくて、きっとこの本を手にした誰もが、母親の存在を強烈に意識すると思います。何かそうしたメッセージを自然と読み手が受け取る、そんな本なのです。
眺めているだけで幸せな気持ちにさせてくれます。
ぜひ手に取ってみてくださいね。
東京糸井重里事務所
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