皆さんこんにちは~。読書犬パグのぐりです。冷房病、大丈夫ですか?
地上にいたときの飼い主Nさんはものすごい冷え性で、一年中分厚い靴下はいて寝るほどなんですけれども、夏の外出は恐怖だってよく言っていました。暑い外を歩く時より、ガンガンに冷房の効いた室内にいることのほうが苦手だそうです。
夏の冷房は意外とつらかったりするみたいだね。一方で熱中症も怖い季節。温度調節を上手にして、快適に過ごしてくださいね。
北海道で暮らす黒ラブ
さて、今日ご紹介する本は、日本国内でも比較的快適な夏が過ごせる北海道が舞台のノンフィクションです。『SONIA―白くなった黒ラブ・ソニア―』(ジュリアン出版編 2006年)は、北海道に住む葛西孝二さんとその愛犬、黒いラブラドールレトリバー・ソニアのラブストーリーです。10代の、年頃の娘さんを溺愛していた葛西さんはある日、妻からかわいい黒ラブの仔犬をプレゼントされます。それからというもの、葛西さんの暮らしは、ソニアと名付けたこの犬中心のものとなっていくのです。
ソニアは美しい黒ラブでした。本書はたくさんの写真も掲載されていますが、ソニアの体はつやつやと光っていることが、白黒写真でもわかります。
「真っ黒で毛艶の良い美人のワンちゃんですね」と今日もほめられた。
「おてんばで、困るんですよ、コイツは」と答えながら、
内心うれしくてしょうがない。(p24)
この気持ち、よくわかる~ってNさん言ってた。人が大好きな僕も、散歩のときによくいろんな方から「あらかわいい~」と声をかけられて、Nさんはそのたびに「ありがとうございます」と言いながら、内心「そうなんですよ、かわいいんですよ、ぐりは」って思ってたって(笑)。犬を飼っている人はきっとみんなそうなんじゃないかなあ。こうして飼い主に愛される僕たち犬は、本当に幸せです。
飼い主を病魔が襲う
毎日2時間の散歩も、ごはんをあげるときも、どんな瞬間も葛西さんはソニアがいとおしくて仕方がない。そんな様子がこの本からは伝わってきます。でも、その幸せな日々は長くは続きませんでした。
ある時、葛西さんの体を病魔が襲うのです。それはかなり重症で、入院と手術を余儀なくされました。でも葛西さんはソニアに会いたい、もう一度一緒に歩きたいと頑張ります。すっかり体力をなくし、歩くのもやっとの状態でしたが、なんとか退院。やっとソニアに再開できた葛西さんでしたが、その体を今度は別の病魔が襲うのです。
そして葛西さんは亡くなります。
悲しみが体に表れる
その後、ソニアの体には少しずつ異変が起こりました。あれだけ黒く艶めいていた毛がだんだんと白くなっていくのです。
犬は、飼い主が亡くなったことを感じ取ります。ソニアは愛するお父さんがいなくなってしまったことを知り、悲嘆に暮れていたのではないでしょうか。人間も、心が弱ると体にいろいろな症状が出ると聞きます。おそらくソニアもそうだったのでしょう。徐々に白くなっていったソニアの体は、その後一体どうなったのでしょうか…。
この本は、人と犬のつながりがどれだけ深く、その両者の愛がどれほどに大きいものであるかを、飼い主の死後、ソニアの体に起こった変化によって実感させてくれます。たくさんの写真と、やさしい文章が、この1人と1匹のたどった軌跡を丁寧に描き出します。つらい局面も含みますが、読後感は決して悲観的ではない、むしろどこか暖かい気持ちにさせてくれる内容です。どうぞ読んでみてくださいね。
ジュリアン出版
売り上げランキング: 623,301
Featured image creditAndré Spieker/ unsplash